オンキヨーホームエンターテイメント(ジャスダック)が、債務超過が解消できず上場廃止になる見通しだという記事。
海外ファンドに与えた新株予約権のほとんどが行使されない見込みとなったようです。
「オンキヨーは長年の販売不振にコロナ禍の影響もあり、2020年3月期に33億円の債務超過に陥った。取引先などに株式を渡す代わりに借入金を減らしてもらったり、新株を発行したりして資本増強をはかったが、株価低迷で計画通りに資金が集まらなかった。
そこで、海外ファンドに大量の新株を格安で買える権利を付与。ファンドに権利を行使してもらうことで最大で62億円分を手当てしようとした。だが、ファンドは50億円分の権利を行使せず、21年3月期決算でも23億円ほどの債務超過のままとなる見通しとなった。」
オーディオメーカー オンキヨー 上場廃止の見込み(NHK)
「会社では財務状況を改善するため取引先など12社に新たな株式を発行し21億円余りの出資を受けたほか、カリブ海のケイマン諸島に拠点を置くファンドからも出資を受ける方向で協議を進めてきました。」
「東証はことし6月25日のオンキヨーの株主総会の後に提出される有価証券報告書で上場廃止の基準に該当していることを確認したうえで、上場廃止の決定を投資家に周知する「整理銘柄」に1か月程度割り当て、ことし7月末に上場廃止とする見通しです。」
会社のプレスリリース。営業債務の支払遅延が生じているというのは重症です。「米国の主要販売代理店の業績悪化に伴い債権の回収可能性が著しく低下した」という事情もあるようです。
上場廃止基準抵触の見込みに関するお知らせ(オンキヨーホームエンターテイメント)(PDFファイル)
「しかしながら、本日付「2021 年3月期通期連結業績予想の公表及び純資産の状況並びに営業外費用及び特別損失計上見込みに関するお知らせ」にて公表しましたとおり、支払遅延の解消の遅れや部品の供給状況の逼迫などによる売上及び利益の減少が見込まれることに加え、旧米国販売代理店の経営状況悪化による貸倒引当金の計上を見込んだことなどにより、当該業績予想における当期純損失は 5,980 百万円となり、結果として債務超過解消のための不足額が 2,319 百万円残る見込みとなりました。
第 11 回新株予約権及び第 12 回新株予約権は合計 5,000 百万円の増資を可能とするものであり、その行使について、当該新株予約権の発行日以降、継続して割当先の EVO FUND とは前向きな協議を重ねておりましたが、本日になって、EVO FUND としては、最終的にその行使をしない判断をされました。
そのため、2021 年3月期において、再び債務超過の見込みとなり、誠に遺憾ながら、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する見込みとなりました。」
直近の四半期報告書を見ると、監査人は「監査法人 Ks Lab.」というところです。
「継続企業の前提に関する重要な不確実性
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は2017年度より経常損失が継続しており、当第3四半期連結累計期間においても3,610百万円の経常損失を計上していること、取引先に対する営業債務の支払遅延が2020年12月末現在で6,673百万円(前連結会計年度末6,468百万円)存在していることに加え、当第3四半期連結会計期間末において3,069百万円(前連結会計年度末3,355百万円)の債務超過となっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。...」(第3四半期四半期レビュー報告書より)
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