年収2800万、農協トップ職員はなぜ「溺死」したか…JA上層部からの「不正追及」当日の悲劇と謎
農協の深い闇がヤバすぎた…22億円不正流用疑惑で営業成績トップの職員が溺死、さらなる複数の関係者
2019年に発覚したJA対馬という農協での巨額不正事件を詳しく調べた記事。
「全国に551拠点あるJA(農業協同組合)の大きな収益源となっているのは、「共済事業」と呼ばれる保険の販売である。その商品を専門に営業しているのが「ライフアドバイザー(LA)」だ。
彼らが毎年目標にしているのは、東京で開催され、優れた成績を残すと招かれる「LAの甲子園」で表彰されること。LAにとって最大の名誉であるとともに、金銭的見返りとして「特別手当」が支給される。」
不正を行ったとされる元職員は、表彰される常連だったそうです。
「県での表彰式でたびたび顔を合わせたJA職員が証言する。
「第一印象はおとなしい人なのに、一般的なLAの20人分以上の成績を挙げているというから、ギャップに驚きました。『LAの甲子園』でも、2位に圧倒的な差をつけていましたね。表彰式で見かけた際には、周りから崇め奉られている印象で、まるで『LAの神様』といった感じでした」」
しかし、この元職員が事故で亡くなる直前に、共済(保険)金を不正流用していた疑いが浮上したのだそうです。
「後にJA対馬が調べたところ、××氏が災害や事故の被害を捏造し、自分や第三者名義の口座に共済金が振り込まれるようにしていたことが判明。さらに共済金の振り込み先を、本来の契約者ではなく、自分や第三者名義の口座に変更していた。
名義人になっていたのは家族や友人、知人だった。口座は××氏が無断でつくった借名・借用口座で、職場にある彼の机の引き出しには、それら名義人の印鑑が束になって入っていたという。JA対馬の発表によると、一連の不正流用による被害総額は'10~'18年度で22億1900万円。」
「転落事故の当日は、一連の疑惑についてJA対馬の上層部から××氏が追及される日だった。」
不正は、この元職員の単独犯行とされたそうですが...
「遺族だけでなく、JA関係者にも××氏の単独犯行を否定する人間はいる。その一人が、'08~'11年に上対馬支店に勤務した元JA対馬職員のA氏だ。着任後、××氏が職員を使って不正をする現場を目撃したという。」
「A氏は、その後、××氏の手口は「犯罪行為」だと指弾する内部告発書を作成。JA対馬役員の自宅に出向き、直接手渡している。だが、彼らは厳正に対処するどころか、その告発を黙殺した。」
記事の見出しのとおり、闇は深いようです。
記事によれば、中央からのノルマが背景にあるようです。
「JA共済連は都道府県本部に、都道府県本部は自県のJAに、それぞれノルマを割り振る。JA共済連は、ノルマの達成度に応じて「付加収入」と呼ぶ手数料をJAに払う。これがJAにとって大きな収益源になっていることを強調したい。」
「JA対馬では、「××が一人でノルマの半分をこなしてくれた」と、JA対馬元幹部のB氏が明かす。そのおかげで、ほかの職員はさして自爆営業をせずに済んできた。組織としてはJA共済連から年間で3億円前後の付加収入が支給され、「実質的に××が収益の大半を稼いでいた」(B氏)という。これでは、役職員が××氏の不正を黙認し、加担していたとしても不思議ではない。」