東芝粉飾事件で経営者を刑事訴追するかどうかを証券取引等監視委員会と検察が協議する準備が始まったという記事。
佐渡賢一監視委委員長の任期と、「特設注意市場銘柄」指定解除の審査という、2つのタイムリミットがあるのだそうです。
監視委と検察で意見が違うぐらい難しい案件であるなら、もっと時間をかけて調べればよいのでは。人事異動がタイムリミットというのは本末転倒です。また、これだけの事件であれば、すんなり「特設注意市場銘柄」を解除せず、本当に改善されたのか、2、3年様子を見るべきでしょう。
特に論点となっているのはいわゆる「バイセル取引」だそうです。
「東芝はこの取引の盲点を突いた。決算期末に大量の部品を押し込み、一時的に利益を水増ししていたのだ。2012年以降、四半期末月の営業利益は同月の売上高を上回る異常値を示し、利益水増し額の合計は500億円を超える。」
記事によれば、東芝はこの不正処理額を営業外で徐々に処理しようとしていたようです。その際、デロイトトーマツに相談していたそうです。
「「PC事業の対策残」とは、バイセルで水増しした利益のうち、解消の必要があるものを意味する。対策残を「営業外損失」として処理するために、東芝は様々な工夫を凝らしてきた。損失処理額が100億円を超えると社外取締役に問題を報告する必要があるが、「100億円未満だと田中P(=社長)決裁なので承認が取りやすい」(文書より)。監査法人や税務当局に問題が露見すると過年度決算の修正に発展しかねないため、「マスキングスキームの説明・開示は行わない」(同)といった具合だ。
こうした議論はパソコン事業の経理担当から財務担当役員などを経て、最終的に田中に報告されていた。その過程で東芝が頼ったのが、財務アドバイザーを務めていたデロイトトーマツグループだった。別の資料には「デロイトに会計・税務面の意見を聞いたうえで実行案をまとめる」と記載されている。会計監査を担当していた新日本監査法人の目を欺くため、東芝は別の会計事務所の“知恵”を必要としていたわけだ。
ある関係者は「社外を巻き込んだ組織ぐるみの隠蔽工作があったのではないか」と指摘する。監視委もデロイトの関与を認識している。デロイトトーマツ合同会社は「個別案件にはコメントしない」としている。」
デロイトが、東芝ののれんの減損回避策をアドバイスしていたという報道はありましたが、バイセル処理にも関わっていたらしいというのは初耳です。
新日本は、株主代表訴訟で東芝株主から訴えられています。新日本としては会社が様々な手段で監査人をだましていたということを立証しようとするでしょうから、その裁判でこのあたりのいきさつがさらに明らかになるかもしれません。
最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事