金融庁は、「公認会計士試験合格者等の育成と活動領域の拡大のための当面のアクションプラン」の改訂を、2011年11月2日付で公表しました。
このアクションプランは、「公認会計士試験合格者等が経済社会の幅広い分野で活用されることを目指して」2009年7月に取りまとめられ、その後、2010年11月に改訂されています。
今回公表された改訂のポイントは以下のとおりです(プレスリリースより)。
(1)中小監査法人における有期雇用等による監査業務の補助に係る枠組みの整備
・中小監査法人において、合格者を有期雇用し、又は業務委託契約を締結して、監査業務の補助を行わせる枠組みを整備
(2)経済界における合格者の更なる採用の呼びかけ
・経済団体や証券取引所の協力を得て、PRチラシの配布や、EDINETや各種団体のサイトのトップページへの掲載を通じ、経済界に対し、有期雇用やコンサルティング会社等において財務分析に関する事務を行う場合であっても資格取得が可能であることを周知し、合格者のさらなる採用を呼びかけ
・併せて、証券取引所の協力を得て各企業に対してアンケートを実施し、合格者の採用実態等を把握
(3)実務従事の対象の拡充
・資格取得の要件となる実務従事の対象を、開示会社、開示会社及び資本(出資)金5億円以上の法人の連結子会社(海外の子会社も含む)において、原価計算や決算書類作成等の財務分析に関する事務を行う場合や、国及び地方公共団体において検査等以外の実務(財務分析)を行う場合にも拡大
・実務に従事する場合の雇用形態について、正職員以外の場合も排除されないことを明確化
(1)は会計士協会がすでに実施し、中小事務所に呼びかけているところです。(3)で挙げられている雇用形態についても、従来から、合格者が学生の身分のままで採用されたり、バスケットボール選手である合格者が大手監査法人に非常勤で採用されてニュースになったりしていますので、事実上かなり緩くなっているのを追認する意味しかありません。
実務従事の対象となる会社や業務を拡充するという点が実質的な改訂点といえるのでしょう。
それにしても、会計士試験の合格発表の時期に合わせるかのように発表するというのもすばらしいタイミングです(昨年の改訂も11月でした)。
全体としては、(正規雇用としての就職の面倒まではみないが)会計士試験合格から資格取得までのハードルをできるだけ低くして、滞留している待機合格者を、できるだけ消化しようという方向なのでしょう。
金融庁が会計士合格者の採用拡大で新施策、「5億円枠」撤廃へ(@IT)
公認会計士:実務経験の要件緩和へ(毎日)
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こちらの記事によれば、「来年4月にも内閣府令などを改正する」そうです。
現在の未就職者の状況について、以下のように書いています。
「金融庁は企業内で会計に詳しい人材のニーズが高まるとの見立てで、03年の公認会計士法で公認会計士試験を簡素化し、年1000人台だった合格者を2000~3000人に拡大することを目指した。しかし、その後の景気低迷などで企業などの採用意欲が高まらず、実務経験すら積めない合格者が続出。金融庁は合格者を年2000人未満に抑制したが、現在も900人程度が未就職者のままという。」
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