「トータルで約1億5000万円の利益があったと記憶しています」
日産自動車社長の不正報酬問題の記事。元代表取締役のケリー氏へのインタビューで、この問題を最初に報じた文春のサイトの記事です。
「西川氏が不正な報酬の受け取りに用いたのは、ストック・アプリシエーション権(SAR)である。これは日産が導入している株価連動型の役員報酬のこと。あらかじめ基準となる株価が決められていて、その価格と、権利行使したときの市場株価との差額を日産から受け取ることができる仕組みだ。
ケリー氏の証言によれば、西川氏の本来の「行使日」は2013年5月14日だったが、実際に行使されたのは同年5月22日。この約1週間で、行使価格は約120円(約10%)上昇している。」
「ケリー氏は「文藝春秋」のインタビューに応じ、こう明かしている。
「5月14日に一度行使したのに、その後に日付だけを変更して『再行使』し、当初の行使のときよりもずいぶん大きなお金を儲けた。約4700万円が上積みされ、トータルで約1億5000万円の利益があったと記憶しています。当然、特例中の特例です。私の知る限り日産史上初めて、行使日を後ろにずらしました」」
「西川氏はケリー氏に対し、「自分はSARを何株分持っているのか」と問い合わせをした上で、秘書室に行使日の変更をさせたという。
「(西川氏は)行使日が過ぎた後、株価が上昇したため、行使日を1週間後にずらせば、相当な儲けが出ると考えたのです」(ケリー氏)」
株価が上がったときに権限を行使するというのは、そういう仕組みの報酬ですから、問題ないのでしょうが、いったん行使した後に、その行使を取り消して、再度行使することを認めるというのは、2つの時点のどちらか高い方の株価で報酬を計算することを認めるのと同じですから、仕組みのルールからはずれた違法な行為でしょう。
そうだとすると、会計的には、費用を過大に計上して支払ってしまったということになるので、過大支払い時点にさかのぼって、差額分(4700万円)だけ費用を取り消して、西川社長への未収入金に計上すべきということになります。また、役員報酬の虚偽記載もあったということにもなります(計上もれではなく過大計上ですが)。
日産・西川社長、かさ上げ報酬の授受認める 指示は否定(朝日)(記事前半のみ)
「西川氏はこの株価連動型報酬について、「(金融商品取引法違反の罪で起訴された日産前代表取締役の)グレッグ・ケリー被告の事務局に任せていた」と説明。かさ上げの指示は「していない」と否定した。」
ケリー氏が西川氏に忖度して、勝手にやったとでもいいたいのでしょうか。ケリー氏のインタビュー内容とは矛盾しています。
大手信託銀3行も日産社長再任案に反対票(産経)
「反対票を投じたのは三菱UFJ信託銀行とみずほ信託銀行、三井住友トラスト・ホールディングスの子会社である三井住友トラスト・アセットマネジメント。
三菱UFJ信託は不祥事の発生で経営上重大な影響が出ていると判断する場合は原則的に代表取締役の再任に反対すると規定しており、西川氏は「日産の不祥事に関し責任があると考える」とした。また三井住友トラストは「(ゴーン事件など)一連の騒動のガバナンスに問題がある」と指摘している。」
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