米大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PWC)の日本法人、PwCアドバイザリーに勤務していた経営コンサルタントが、資産査定を担当した際に入手した未公表情報を基に株のインサイダー取引をしたという記事。
このコンサルタントには、証券取引等監視委員会から、課徴金129万円の納付を命じるよう金融庁に勧告が出ました。
「監視委によると、男性は今年1月上旬、ユニクロを展開するファーストリテイリングが、株式公開買い付け(TOB)で高級婦人服販売「リンク・セオリー・ホールディングス」を完全子会社化するとの未公表情報を、リンク社の資産査定を一緒に担当していた同僚から入手。公表前に自分名義の証券口座でリンク社株20株を約210万円で買い付けたとされる。」
この法人はPwCのネットワーク・ファームという位置づけになるのでしょう。PwC傘下の他の法人(監査法人や海外のPwC事務所)とは別組織であり、他の法人は責任を負わないわけですが、共通のブランドを使い、共通の品質管理に従っているわけですから、何らかの影響はありそうです。
PwCアドバイザリー株式会社社員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
当社元従業員に対する証券取引等監視委員会による勧告について
「当社は従来より、従業員による内部者取引に関しては、日本におけるプライスウォーターハウスクーパースのメンバーファームとして、当社の社内規則上およびプライスウォーターハウスクーパースが定めたグローバル・ルール上も、厳格にこれを禁止し、グローバル・ルールに従った社内の管理手続き、従業員への教育・研修を実施してまいりました。」
いくつかの監査法人でも同様の事件が起きています。いくら社内管理手続きを強化し、教育研修を徹底しても、100%防止することは困難ですが(M&A関連業務をやっている専門の会社の従業員がインサイダー取引の禁止を知らないはずがない)、やらないわけにはいかないのでしょう。
TOB情報でインサイダー 税理士に初の課徴金勧告
株式会社ウィーヴ株券の公開買付者従事者からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
こちらは税理士によるインサイダー事件ですが、インサイダー情報は税理士業務に関連して入手したものではないようなので、PwCの事件とは少し違います。ただし、信用失墜行為があったとして税理士として何らかの処分を受ける可能性はありそうです。
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