昨日取り上げたビックカメラの所得隠し事件の記事。
「ビックカメラは02年、本社や本店の土地・建物などの不動産を約290億円でファンドに売却した。関係者によると、同社元社員が経営に携わっていた「豊島企画」(同渋谷区)も100億円近く出資していたという。
ビックカメラは、取引先に業務を委託し、それを豊島企画に下請けさせる形で3億数千万円を支払っていたという。しかし国税局は、豊島企画に業務の実体が無いことから、このうち約3億3千万円について、対価性の無い寄付金にあたり、経費計上は認められないと認定したとみられる。」
昨日取り上げた記事によれば、このファンドというのは匿名組合です。匿名組合はこの証券化スキームではSPCに当たるので、ビックカメラとの間で支配従属関係があっても、証券化の会計処理には影響しません。しかし、匿名組合に出資している会社(この例では「豊島企画」)との間で仮に支配関係があれば、話は別です。支配力基準により連結子会社として扱われるので、この会社が匿名組合に出資した金額は、5%ルールを適用する際の分子に加えられます。記事のとおり、それが100億円近くだとすると、約290億円のうち100億円ですから、それだけで3割を超えてしまい、オフバランス処理はできないという結論になります。
もちろん、元社員が経営しているというだけでは支配している(=連結子会社)ということにはなりませんが、 3億数千万円という不透明なカネの動きからすると、ビックカメラと豊島企画との間には非常に強い結びつきがあることは推測されます。
ビックカメラ:3億円所得隠し 東京国税局が指摘
「豊島企画は、金融機関からの借金で出資をしており、ビックカメラからは、その返済資金として実態のない費用約3億3000万円が取引先を通じて支払われたという。」
豊島企画という会社はペーパー・カンパニーだったようです。このペーパー・カンパニーは銀行借入により調達した資金を匿名組合に出資し、その見返りに匿名組合からの配当(その原資はビックカメラが支払っている家賃)を受け取っていたのはずですが、それだけでは借入利子をまかなえず、ビックカメラからこっそり補てんを受けていたということなのでしょうか。
(以上、報道に基づく単なる推測であることをお断りします。)
当社に関する一部報道について(PDFファイル)
会社のプレスリリースによれば、「・・・不動産の証券化は、多くの専門家のご意見を充分に伺い法的に何ら問題のないものとして実行いたしました」とのことですが、関係ある事実(豊島企画との関係、3億円の意味・・・)をすべて示したうえで、専門家の意見を求めたのかどうかが問題です。
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