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<福島廃炉費>分割計上容認、東電の債務超過回避…経産省案
東京電力原発事故の廃炉費用について、会計基準を改悪し分割計上を認める案を経産省が自民党に説明したという記事。
「東京電力福島第1原発の廃炉費用の確保や計上方法について、経済産業省が検討している枠組みの全容が判明した。東京電力ホールディングス(HD)が費用の一括計上で債務超過に陥らないよう、会計ルールを改正し、分割して計上することを認める。」
「福島第1原発の廃炉費用は、東電が2兆円を工面する計画だが、数兆円単位で不足する公算が大きい。経産省は年末までに見積額を出す方針。企業の会計ルールでは、費用発生が判明すれば速やかに計上する必要がある。東電も、不明だった廃炉費が明示されると負債に一括計上しなければならず、債務超過に陥る可能性が高い。広瀬直己社長は10月、債務超過を回避できるよう政府に対応を求めていた。
経産省が示した枠組みでは、電力会社の会計ルールを定めた「電気事業会計規則」を改正し、福島第1原発の廃炉費用を期間を定めて分割計上できるようにする方針。期間は今後協議する。ただ、確実に費用を確保できる裏付けがなければ安易に分割計上は認められないため、積立金制度創設などを検討する。
積立金制度は、東電HDがコスト削減など経営努力で捻出した資金を国の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に積み立て、機構が必要に応じて支出する仕組み。機構が廃炉の工程を管理するなど関与を強め、資金を安定的に確保する。」
「経産省は「福島第1原発の廃炉費用は東電が負担することが原則」としている。」
考えられる会計処理は、(1)廃炉費用のこれ以上の損失計上をやらずに積立金として「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に支払う金額だけを費用計上する(完全簿外処理)、(2)廃炉費用は一括損失計上するが、同額を「機構」に対する債権として計上(利益計上)し、その後は積立金として支払う金額だけを費用計上する、機構からの廃炉費用相当額の支給は債権の回収とする、という方法が考えられます。
しかし、廃炉費用は東電が全額負担するという原則は変わらないわけですから、積立金という仕組みをからませたとしても、それは単なる資金の移動にすぎません。廃炉費用は廃炉費用として合理的見積もりに基づき、一括損失計上した上で、積立金は機構に対する預け金として処理(支給があれば預け金の回収として処理)するのが正しい方法でしょう。あるいは、機構に対する積立金支払い義務を一括損失計上するというふうに考えてもよいでしょう。
もし経産省が提案しているこんなでたらめな粉飾スキームが、日本の会計基準としてまかり通るようであれば、かつてのレジェンド問題が再燃するかもしれません。(海外に日本独特の会計処理として発信すれば、クリエイティブ会計だといってほめられるかもしれませんが)
また、企業会計を監督している金融庁はどう考えているのでしょうか。財務諸表等規則で別記事業を決めているわけですから、電気事業会計規則が本来の会計基準に違反する規定を設けたなら、別記事業から外すべきでしょう。そもそも、会計基準設定のデュープロセスはどうなっているのでしょう。こういうでたらめな会計処理に仁王立ちになってストップをかけるのが監督当局の役割なのでは。
都合が悪くなると会計につけを回すという点が、粉飾決算が減らない根本原因のようにも思えるのですが。
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