MRI事件の摘発が遅れたのはなぜかという記事。
「(AIJ事件と)共通するのは、不自然な高利回りに顧客が不信を抱かなかったことに加え、金融庁と監視委が事業報告書などの虚偽を見抜けず、事件発覚まで十分な調査をしなかったことだ。
銀行預金の金利や国債の利回りが極端に低い中、高利回りでリスクの低い商品が仮にあるなら、誰もが投資したいと思うだろう。しかし、知人の証券マンやファンドマネジャーに聞くと、明らかに問題があるという。金融行政のプロである金融庁や監視委の担当者が、なぜ不正に気づくのがこれほど遅れたのだろうか。
ある金融庁幹部は「登録業者数の多さに対し、検査態勢が追いついていない面もあった」と話す。国家公務員の定数は全体的に削減されており、金融庁も例外ではない。
MRIと同様の第2種金融商品取引業者は全国で1200社以上あり、MRIが登録していた関東財務局では監督する業者が800社以上にのぼるが、調査や検査担当の職員は4人だった。」
粉飾を見逃した会計監査人が「監査体制が追いついていない面があった」などと言い訳したら、業務停止は必至です。担当者が4人しかいないといっても、4人しか配属させなかった責任はだれかにあるはずです。それに、MRIに対して今年の3月から行われた検査は、他の部署の応援を受けて多人数でやったようですから、通常時の担当者が少人数であっても、対応できないはずはありません。
以前聞いた話でありその後改善されているのかもしれませんが、監査法人の検査を監査経験のない者にやらせる、いつまでもダラダラと検査を続けているなどの無駄なことをやっているから、人が足りなくなるのであって、リスク評価をきちんとやって、リスクの大きな領域に人材を投入すれば、事前防止は無理だとしても、もっと早く摘発できて不思議はないように思われます。
また、いくつかのブログ等でも指摘されていましたが、MRI事件はAIJ事件とはまったく性格が違うと思われます。AIJ事件の場合、被害を受けたのは機関投資家であって、その投資内容をいちいち把握するのは難しいと思われますが、MRI事件の場合は、インターネットや雑誌広告で一般投資家向けに派手な宣伝をやっていたわけですから、ほんのわずかな「職業的懐疑心」を発揮すれば、あやしい金融商品、あやしい業者であるということはすぐに分かったはずです。
かつての平成電電や近未来通信といった投資詐欺事件は、現行の金商法制定前の事件でしたが、法律が変わっても、一般消費者への保護は不十分なままのようです。
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当サイトの関連記事(週刊ダイヤモンドが2007年に不自然さを指摘してことについて)
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