日本経済新聞社の子会社「ティー・シー・ワークス」(TCW)の不正経理事件を巡り、元社長らに同社が損害賠償を求めた訴訟の判決で、請求通り計約34億7700万円の支払いが命じられたという記事。
「判決によると、TCWは1997年ごろから建設会社との間で架空取引を行っていたが、建設会社の資金繰りが悪化。不正が発覚するのを恐れた嶋田元社長らは2001年、架空の工事代金名目で建設会社に約束手形を振り出すなどしてTCWに約35億円の損害を与えた。」
ここ数年IT企業の架空売上が問題となっていますが、この日経子会社のように、それ自体は目新しい不正ではありません。
架空売上を発見しにくくするためには、本当の売上の場合と同じようなキャッシュ(あるいは手形)の動き(原価の支払い、売掛金の入金)を、共謀者との間で作り出すのが効果的です(契約書、請求書なども正規の売上と同じように締結・発行する)。しかし粉飾のために動かしたキャッシュ(手形)が共謀者の資金繰りに使われてしまったらどうしようもなくなります。この元社長のように、個人的には何のプラスもないのに(少しはあったかもしれませんが)、莫大な賠償責任を負うことになります。
この事件が上場会社の子会社で、J-SOXの適用後に起きていたら、親会社の経営者も無傷ではいられないでしょう。
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