マレリホールディングス(株)(資本金1億円だそうです)が、事業再生実務家協会に事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請したという記事。
負債は1兆円以上あるそうです。
「2020年12月期現在の有利子負債合計(単体)は1兆1707億9300万円で、取引金融機関はメインバンクのみずほ銀行のほか、中国や韓国などアジア各国の金融機関、日本の生命保険会社など約30先。」
大手自動車部品メーカーのマレリ(株)が中核です。
「マレリは、空調システムや内装など自動車部品の製造を手掛け、旧:カルソニックカンセイ(株)として知られる。2005年に日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、法人番号:9020001031109、横浜市西区)の出資を受け、連結子会社となっていた。その後、日産自動車の事業再編により、2016年に米国投資会社KKRのグループが当社を買収し2017年5月に上場廃止した。
2018年3月期にはマレリ単体では売上高3523億7100万円、当期利益103億2400万円を計上。2019年にはイタリアの大手自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリと経営統合し、事業拡大を狙っていた。事業再編や構造改革を進めていたが、主要取引先の日産自動車の不振や新型コロナウイルスによる自動車メーカーの生産数の減少、半導体不足などから経営が急激に悪化。2020年12月期(2019年に決算期変更)は売上高2148億2600万円まで落ち込み、3期連続の赤字となる282億1400万円を計上。資金繰り悪化による当社の支払い振りに注目が集まっていた。」
決算書が公開されていないので、はっきりしたことはわかりませんが、たぶんイタリアのメーカーを買収するなどして債務が膨らんだのでしょう。米国投資会社が買収した際の債務も含まれているのかもしれません。単に業績不振で、債務整理という話ではないのでしょう。
日産自動車の不振が資金繰り悪化の理由のひとつに挙がっていますが、日産の不振は日産ゴーン事件がきっかけですから、東京地検がマレリを破綻寸前に追い込んだといえなくもありません(もちろん他の要因も大きいでしょうが)。
[社説]マレリの失敗を教訓に(日経)(記事冒頭のみ)
「自動車部品大手のマレリ(旧カルソニックカンセイ)が私的整理のひとつである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を申請した。事業を継続しながら金融機関に債権放棄を要請し経営再建を目指すことになるが、負債総額は1兆円規模と過去最大級で関係者間の調整を注視する必要がある。
事業再生ADRは原則、全ての金融債権者の合意が必要だ。今後の協議次第では法的手続きに移る可能性も排除できない。」
主要取引先の日産自動車が不祥事などの結果、深刻な販売不振に陥ったことや、新型コロナの影響(需要減・生産停滞)、欧州でのリストラ遅れなどを、経営状態悪化の理由に挙げています。
金融機関や取引先(仕入れ先の8割は中小企業とのこと)への影響が懸念されます。金融機関は、引き当て済みだとは思いますが...。
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