青樹句会

主宰:高橋信之(花冠名誉主宰)

第9回句会入賞発表

2012-03-22 22:49:12 | 日記
◆入賞発表/2012年3月25日◆

【最優秀】
★浅間山真向いにして花を待つ/小口泰與
堂々とした浅間山に真向かい、いまだ蕾の桜が咲き満ちる姿を想う。浅間山を咲く桜をまっすぐにわが心に受け止める姿勢がよい。(高橋正子)

★卒業の歩を運びゆく足袋白き/川名ますみ
「歩を運びゆく」から、袴姿の女子学生が想像できる。白い足袋が、潔くもあり、また、しなやかである。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★雨上がり百までは数え摘む土筆/祝恵子
雨に急に丈をのばした土筆であろう。雨が上がると一面の土筆に目を見張る。気もはやって摘み取る。百本以上の収穫が嬉しい。(高橋正子)

★山畑のその二列の菜花かな/桑本栄太郎
山の畑には春大根やほうれん草などがあり、そのうちの二列には菜花が黄色く風に揺れています。春の長閑な風景です。 (井上治代)

★下草になおも活き活き落椿/河野啓一
青い草の上に紅い椿が落ちています。今落ちたばかりでしょうか。椿の精霊の息づかいまできこえるようです。 (井上治代)

★春一番過ぎゆき伊予路光り満つ/藤田裕子
強い風の春一番が過ぎると空は青く澄み、伊予路には明るくあたたかい光が満ち溢れています。伊予路には遍路道もあり、これからお遍路さんの姿も多く見られることでしょう。 (井上治代)
暖かい風が南から吹き過ぎて、伊予路に春がっやってきました。ゆったりとして辺り一面に光が溢れ、誰もが春の喜びを満喫する季節です。素直な詠みで気持のよい句ですね。 (河野啓一)

★赤土にチューリップの芽ほんの少し/小西 宏
暖かくなり、様々な花が競うように咲き始めました。チューリップの芽はほんの少し顔をのぞかせ、あたりの様子をうかがっているようです。小さいものにも愛情を注いでいる作者の優しさが伝わります。 (井上治代)
赤土に小さなチューリップの芽が覗きました。花を待つ気持と、やっと芽が出たという安堵感とが「ほんの少し」の措辞で巧みに表現されています。 (河野啓一)

【黒谷光子特選/5句】
★近況を聞きつつ彼岸の帰り道/多田有花
お墓参りの帰りでしょうか、久しぶりに出会った知人に近況を聞くのもお彼岸ならではのご縁でしょう。(黒谷光子)

★残り菜の花菜明かりとなりにけり/桑本栄太郎
白菜など畑に残った菜っ葉類が黄色い花をつけ畑を彩っています。残り菜への視線がやさしいです。(黒谷光子)

★街に子らの自転車あふれ春休み/津本けい
気候もよく進学進級などで宿題もなく、伸び伸びとした子供たちの春休みの情景が思われます。(黒谷光子)

★お彼岸や漉し餡厨に匂い立つ/佃 康水
お供のおはぎの漉し餡を作られるのですね。お手間いりのご馳走にご先祖様もお喜びのことでしょう。甲斐甲斐しい様子がうかがえます。(黒谷光子)

★故郷へ続く鉄路の陽炎えり/古田敬二
春の日差しにゆらゆらと揺らぐように見える鉄路、この線路は故郷へ続いているのだと思うと感慨深いものがあります。高齢になるほど故郷は遠くなりますが、思いは近くなっていくようです。(黒谷光子)

【迫田和代特選/5句】
★播磨灘沖行く船に風光る/多田有花
今の風は光って見えます。いいお天気だったのでしょう。沖を通る船に春の光った風が吹いていたという綺麗な句ですね。(迫田和代)

★少年のふと大人びて春休み/津本けい
少年の頃はよく変わります。そんなささやかな変化を見逃さない優しい身近な目がある幸せ 優しい心に乾杯。(迫田和代)

★お彼岸や漉し餡厨に匂い立ち/佃 康水
とても懐かしい句でした。と申しますのは、昔祖母の漉し餡の香に魅せられ 私も漉し餡を作っておりました。美味しい懐かしい句です。(迫田和代)

★群青の湖のかなたは薄霞/黒谷光子
湖の先は薄霞で見えないのでしょう。余計群青の湖が目立ちますね。湖の蒼い色は格別ですから。(迫田和代)

★お茶の葉の村の垣根の新芽かな/桑本栄太郎
もうすぐ垣根の新芽で美味しいお茶が飲めますね。お茶の垣根っていい考えと思います。(迫田和代)

【佃 康水特選/5句】
★地にすみれ空に鳥声野道ゆく/河野啓一
春の野道を愛でながら散策されて居る心の豊かさを感じます。俳句ならではの春を謳歌する季節を活き活きと詠まれています。 (佃 康水)

★春分の煙りまっすぐ空へたつ/多田有花
煙がまっすぐに立つと言うのは風の無い穏やかな日なのでしょう。春分になれば日一日と温かくなって外に飛び出して行きたいですね。 (佃 康水)

★木々芽吹く尾根に見下ろす湖青き/黒谷光子
湖とは琵琶湖でしょうか。木々の芽吹いてくる頃は空も空気も綺麗で大いなる琵琶湖もさぞ青々と美しいことでしょう。また訪れて見たくなりました。 (佃 康水)

★遅れても桜前線くっきりと/迫田和代
今年は例年に無く何時までも寒い日が続きましたがやっと桜の開花が見られる様になりました。待ちに待った桜の季節、長い川土手に満開になるのももう直ぐですね。 (佃 康水)

★地に伏せば広がる野原いぬふぐり/祝恵子
いぬふぐりは踏みそうに低くに咲いています。少し地に伏せて見ると野原が広がった様に空色の花が沢山咲いて居ることに驚きます。 (佃 康水)

【小西 宏特選/5句】
★残り菜の花菜明かりとなりにけり/桑本栄太郎
収穫されることなく残され、伸びて薹の立った野菜畑を詠われて、しかし明るく朧な花影が心に残ります。(小西 宏)

★ちょっと摘み過ぎかと思う土筆むく/津本けい
あまりに嬉しくて、せっせと摘まれたのでしょうね。お料理する段になっていささか後悔。ちょっと滑稽である詠いぶりも春らしく聞こえます。(小西 宏)

★地に伏せば広がる野原いぬふぐり/祝恵子
いぬふぐりをよく見ようと地に伏せて顔を近づければ、意外や大きな野の広がりが見えてくる。小さな者に助けられての風景の転換ですね。(小西 宏)

★見下ろせば青麦の田の湖岸まで/黒谷光子
ハイキングにいらしたときの、峠からの風景とか。琵琶湖の畔まで青々と麦の葉が広がる田園風景がゆったりと写しだされていて、春の明るさ、湖周辺の広やかさを堪能することができます。(小西 宏)

★病棟の裏より医生卒業す/川名ますみ
晴れの卒業姿。それを病棟からじっと見送る患者の優しいまなざし。そこには静かに心をゆさぶる深い思いが伝わってきます。(小西 宏)

【津本けい特選/5句】
★宿下駄を響かせ戻る春の宵/小口泰興
旅先では夕方まで下駄をつっかけて辺りを散歩するのが楽しみの一つです。下駄音がからころと付いてきて、非日常の開放感が心地よく響きます。 (津本けい)

★頂をとりまいてみな木の芽張る/多田有花
山はどの木も芽吹きうす緑に溢れます。その芽が頂をとりまいているという視点が素晴らしいと思います。 (津本けい)

★吹き抜ける風の高さや揚雲雀/桑本栄太郎
雲雀が揚る速さ、高さはいつ見てもはっと嬉しいものです。それは、風が吹き抜けて雲雀を揚げている。そうなのかと納得しました。 (津本けい)

★春耕の黒きを縫って鉄路伸び/古田敬二
耕されたばかりの黒土が日に照り、その中をうねり縫って線路が輝きます。早春の風景が明るくて心弾みます。 (津本けい)

★蕗の薹遠嶺は白く光りおり/黒谷光子
蕗の薹がぽつぽつと出始め見上げる遠嶺には残雪が輝きます。いつもの今頃の風景ですが、春を迎えた喜びは年毎に新しく、増してもゆくように感じました。 (津本けい)

【川名ますみ特選/5句】
★合格を告げて手向けぬ桃の花 / 小口泰與
可愛がって貰った親類、また、ご先祖様へ合格を報告。明るい桃色が喜びを引き立たせます。 (川名ますみ)

★ひとり来て静かに梅を見て帰る / 多田有花
平明な御句の通りでしょう。ひとり静かに梅を見る、その愉しみに憧れます。 (川名ますみ)

★残り菜の花菜明かりとなりにけり / 桑本栄太郎
その黄色が灯るように映る花菜。残り菜となっても、確かに「花菜明かり」たる姿に惹かれます。 (川名ますみ)

★チャイム押す手のひら収め沈丁花 / 佃 康水
扉の傍に思い掛けず植わっていた沈丁花。その香りをきいた手の動きが、いきいきと浮かびます。 (川名ますみ)

★見下ろせば青麦の田の湖岸まで / 黒谷光子
高台から見下ろす早春の湖岸は、より新鮮に映ったことでしょう。青麦の勢いに押されそうなほど。 (川名ますみ)

【祝 恵子特選/5句】
★宿下駄を響かせ戻る春の宵/小口泰與
外湯でもいかれたのでしょうか、宿の下駄をならし、ゆったりとした春の旅ですね。 (祝恵子)

★鶯や考えごとの中に入る/多田有花
考え事の最中にふと鶯の声が聞こえてきた。考え事を忘れて、鶯の声に聞きいる作者です。 (祝恵子)

★少年のふと大人びて春休み/津本けい
少し見ぬ間に少年の大人びた仕草に、うれしさや寂しさが、わいてきたというところでしょうか。 (祝恵子)

★お彼岸や漉し餡厨に匂い立ち/佃 康水
厨でいい香りが漂っています。お彼岸には決まって作られるお手製の漉し餡。さぞかし仏様も皆さんもお待ちかねでしょうね。 (祝恵子)

★卒業の歩を運びゆく足袋白き/川名ますみ
卒業の「足袋白き」で袴姿なのかなと思います。この時ばかりはゆったりとした歩きなのでしょう。 (祝恵子)

【入選】
★雨あとの山の鶯なめらかに/藤田洋子
「鶯なめらかに」と詠み、「山の鶯」を身近に捉えた。「雨あと」であれば、大気が澄んで、山の生きものを身近に生きいきと感じる。(高橋信之)

★清明や愛媛の空と海の青/井上治代
一句を「青」で終え、「青」が印象的である。「清明」の「青」であり、「愛媛」の青」である。「清明」を今の暦に当てはめるには、いくらかの無理があるが、「清明」には、「春を迎えて郊外を散策する日」という意味があるので、季節感がある。(高橋信之)

★見下ろせば青麦の田の湖岸まで/黒谷光子
ハイキングで小高い丘を歩かれました。青麦の色を楽しみながらのハイキング、空も湖も青くきっと爽快なひとときだったことでしょう。(多田有花)

★遅れても桜前線くっきりと/迫田和代
今年は梅が遅く、それに押されて桜前線も歩みがゆっくりです。それでも確実に列島を北上する桜、ほんものの暖かさを連れてきます。(多田有花)

★岬への道白蓮の蕾解け/津本けい
岬への道というのがいいですね。何もかもが開放的で空も広くそこにほぐれはじめた白蓮、明るいです。(多田有花)

★船ゆくや河津桜に見え隠れ/佃 康水
河津桜といえば早桜だから もう綺麗な花が咲いてるでしょう。沖をゆく船が花の影に見え隠れしている。一幅の絵ですね。それも俳句でしか出せない絵。 (迫田和代)

★陽と藁にふれて蔓伸ぶ豆の花/小川和子
杭に紐と藁を吊るしその藁に絡まりどんどん伸びて行きます。こちらは未だですが日差しを受けながら花をつけるのももう直ぐです。素朴な可憐な花ですね。豆ご飯やさや豆料理大好きで収穫も楽しみです。 (佃 康水)

★雨やめば工事の音と囀りと/多田有花
感覚がするどい方と思われます。雨が止んだら工事が始まり鳥も囀ることがはっきりお判りですもの。感心します。 (迫田和代)

★春耕の黒きを縫って鉄路伸び/古田敬二
黒土の畑を縫うように鉄道の線路が伸びてるのでしょうか。時々は列車も通るでしょう。なにか広々した大らかさを感じます。 (迫田和代)

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第9回句会全作品

2012-03-22 22:44:39 | 日記
◆第9回句会全作品/現在16名(3月18日~24日)◆

No.1 小口泰與
春の野や風花犬とたわむれぬ 
春月や見舞帰りの駐車場
合格を告げて手向けぬ桃の花
川風に光りこぼせし花菜かな
カメラ持つ我にたはむる黄蝶かな
積み肥の畦に置かれし冴え返る
さえずりやお宮の松の風やわき
宿下駄を響かせ戻る春の宵
潮騒に起こさる宿や百千鳥
久々に娘と酌みし春炬燵
歓声を上げし峠や春の海
紅梅や子等の声のせ水奔る
釣糸を手繰るや我に虻襲う
たんぽぽや瀬尻の岩のてらてらと
梅の香とともに来たりし友の顔
湖の風をまといし柳かな
まるまるの梅の蕾の弾けけり
浅間山真向いにして花を待つ

No.2 河野啓一
翁らの昔語りや春の午後
花咲いて小さきラッパは黄水仙
春の磯蟹横走る波の陰
春彼岸僧はドライブ忙しく
庭草の伸び著し春分の日
青春の息吹もかくや春一番
地にすみれ空に鳥声野道ゆく
春分の日差しのどかにレース越し
陸奥の森甦れやぶつばき
バラ芽吹く茜に燃えて朝日浴び
花馬酔木白い珠玉を連ね咲く
春分や朝日の向きの変わり来て
森の木々芽吹きみどりにいのち継ぐ
春禽の羽根休めゐる枝の先
苗木植う緑の森を夢に見て
列島の森潤して春の雨
下草になおも活き活き落椿
花韮を揺らせ駆け行く庭雀

No.3 多田有花
雨がちの午後を彼岸参かな
丁寧に彼岸の墓石を拭いけり
近況をききつつ彼岸の帰り道
播磨灘沖ゆく船に風光る
梅が枝の伸びたる先を雲渡る
見上げればつらつら椿青空に
春分の煙まっすぐ空へたつ
窓開けし目に春分の朝の霜
春分の大橋くっきり晴れ渡り
ひそやかに真っ赤な梅の隅に咲く
波型を描きつ鵯の春の空
どこからか梅が香運ぶ風なりき
観梅の人のそぞろに歩きけり
頂をとりまいてみな木の芽張る
鶯や考えごとの中に入る
雨やめば工事の音と囀りと
この彼岸入りもしまいも雨となり
ひとり来て静かに梅を見て帰る
風強し紅梅吹雪となりて散る
芽柳の明るき風に躍る昼
梅林に照りて翳りて風の吹く

No.4 桑本栄太郎
ものの芽の雨滴伝いて春の雨
生きいきと木肌色めき春の雨
牡丹餅の包みは生協入り彼岸
降りしきて竹林しなる春の雨
うす闇の花菜明かりの家路かな
生きいきと春星生まれ雨あがる
支柱までいまだ丈なし豆の花
お茶の葉の村の垣根の新芽かな
村人の吾に会釈や春の風
溝流る春の小川の樂を聞く
残り菜の花菜明かりとなりにけり
沼渡る風に靡かず蘆の角
吹き抜ける風の高さや揚雲雀
山畑のその二列の菜花かな
木蓮の芽のしかじかと咲く構え
華やげる雨の舗道や落椿
春雨の尾灯滲ませバス車庫へ
ひたひたと樋の音色や春の雨

No.5 津本けい
雲雀野の天地に囀り湧くばかり
街に子らの自転車あふれ春休み
ちょっと摘み過ぎかと思う土筆むく
春寒し空と海との境なく
際やかに春空突いて関帝廟
薄曇るコンビナートや百千鳥
少年のふと大人びて春休み
日当たりて椿落ちけりまたひとつ
岬への道白蓮の蕾解け
奥座敷まで日の眩しく春夕べ
春昼の日向に寝そべりシープドッグ
おまけよと農婦芽キャベツ摘みくれし

No.6 藤田洋子
鶯に立ち止まりつつ墓前へと
雨あとの山の鶯なめらかに
芽木ゆする風に卒塔婆鳴りにけり

No.7 祝恵子
地に伏せば広がる野原いぬふぐり
雨上がり百までは数え摘む土筆
砂均す姿見えおり春の舟

No.8 佃 康水
残り香に重ねて墓参彼岸かな
校門の祖母や抱き寄す卒業子
お彼岸や漉し餡厨に匂い立ち
船ゆくや河津桜に見え隠れ
海光る河津桜の揺るる丘
チャイム押す手のひら収め沈丁花

No.9 小川和子
陽と藁にふれて蔓伸ぶ豆の花
区画され棟上げされて薺咲く
春分の日の晴れやかに野廻りす
紫陽花の芽吹きを知れるわが視線
梅咲きみつ明るき一樹天に向く
遮断機の点滅にじむ街おぼろ

No.10 古田敬二
故郷へ続く鉄路の陽炎えり
春耕の黒きを縫って鉄路伸び
木曽からの水にきらめく春の陽よ
永遠の別れや光る猫柳
春光の木曽川遡り師へ別れ
陽炎える鉄路のむこう師と別れ
故郷の山はほほ笑む準備して
春光を浴びて故郷山丸し
放射能無き故郷の春を訪う

No.11 藤田裕子
春一番過ぎゆき伊予路光り満つ
人住まぬ家を灯せし紅梅よ
つくしんぼ袴とる児の目の輝けり
三月の光りとなりて児ら滑る
土つきし蕗の薹を愛で合えり
里の墓いつしか遠のき彼岸西風

No.12 小西 宏
まだ咲かぬ枝に春日のやわらかに
泥掻いてひかる春水かるき音
黎明の夢いつくしむ春の窓
春分の土手に威勢の赤子這う
立つ梅も広がる梅も空の青
そっけなき庭に三椏花咲けり
赤土にチューリップの芽ほんの少し
山茱萸の土手柴笛を吹き通る
気をつけて気をつけて行き菫草

No.13 黒谷光子
蕗の薹遠嶺は白く光りおり
蕗の薹土手の斜面に陽の射して
一つあれば次々とあり蕗の薹
見下ろせば青麦の田の湖岸まで
群青の湖のかなたは薄霞
木々芽吹く尾根に見下ろす湖青き
一株のすみれ清らに古寺の隅
湖に向く露座の大仏春の風
集まって蕾ふくらむ黄水仙

No.14 川名ますみ
卒業の歩を運びゆく足袋白き
病棟の裏より医生卒業す
気象庁の庭に白梅窓に雨

No.15 迫田和代
遅れても桜前線くっきりと
春の雨緑も増えて花芽にも
岬より蒼い海原 春の島

No.16 井上治代
輝やかに春の一日(ひとひ)の始まれる
満開の梅晴天にろうたける
清明や愛媛の空と海の青


※選者の選は、下記の要領でお願いします。
①上記全作品からお選びください。
②特選5句をお選びください。5句すべてにコメントを付けてください。
③選句期間は、3月24日(土)午後9時~26日(日)午前10時です。
④選句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。選者名もお忘れなきよう、お願いします。

※選句は、多少の遅れがあっても、許されますが、その場合は、ご一報ください。

▼選者の選は、3月24日(土)午後9時に始めてください。