気持ちに余裕がない

長袖の季節となり
新しい服を初めて着たので　母に

これ　おかしくない？

って聞いたら何思ったのか

いいんじゃないの？ライブ行くんならそれで

はあ！！？
平日の昼日中からわたしライブ行かないよ！
わたしはここに缶詰だよ！
何でライブなの？！

今月の日曜日にライブがあって
この服を着て　この靴を履いて・・・
という話はしていたけど

きょうライブ行くとか言ってないし！
なんかマジ切れしてしまった
気持ちに余裕がない

母がしょぼんとなっている
デイサービスのない日で
母が家にいる日だった

作ったおかずは捨てておけ！

牡蠣の味噌煮を作っていたら

急な連絡で母が親戚の不幸に行くことになり
呼びつけられた形で実家に急いだ

父がひとりになるので
会社もあるし　わたしが小さい長男と泊まった

それが気に入らなかったのかどうなのか
夫から電話で

フライパンでおかずが腐ってるじゃないか！
なんで捨てとかないんだ！

・・・。

作っててそのまま出てきたのに？
じゃあこれからは
作ったおかず全部出来たのから捨てていけばいいの？

閉め切った初夏の２Kのアパートのキッチンで
フライパンの上の牡蠣の味噌炒めは

蒸れて腐っていたのだった

おかあさん 死んじゃいやだ

たぶん幼稚園児だった頃の二男と
家庭の医学という辞典を見ていた時のこと

しわくちゃの顔のおばあさんの写真が載っていた

おそらく　
人は誰でもそんな風に年を取って
死んでいくんだよという意味で
なにげなく

おかあさんもいつかは
おばあさんになって死ぬんよ

人が死ぬなんて観念
まだないと思えた幼い子どもである

ふう～～～ん　

ぐらいの反応だと思っていたのに
ぽろぽろ涙を流し始め

おかあさん　死んじゃいやだ　わあ～～ん

と泣きだして面食らってしまった
今すぐ死ぬわけじゃないから！

そんなこと言うからだ！
夫に怒られたが　

そんな息子が愛おしかった

怒りが抑えられない

どれ着たらええんやろ

ああでもないこうでもない
さんざん一緒に考えてやっとこれでいいんじゃない？って
決めたのに

お迎えの人が来て出かけるとき
全然違う服に着替えて２階から降りてくる

それなら
最初っから聞かないでくれないかな

ファッションは疎いというのに
一生懸命考えたのに

きょうは作ったばかりの
今晩のおかずにするはずの
もやし炒めが
気がつくとごっそり
流しの三角コーナーに捨てられている

何で作ったばかりのもやし炒め捨てるの！！

語気が荒くなる

太もやしと豚バラ肉をいつものように
放置炒めして

炒まったところで

母が途中から　自分で塩胡椒して仕上げて
勝手にお皿に移していた

自宅おかずにタッパーに詰めて
肉は二人とも食べないので
もやしだけ食べる分だけ残すはずだった

仕方がないのでお皿からタッパーに
お肉は全部取り去り
もやしだけを食べる分だけ残しておいた

それがごっそり
ゴミに捨てられている
がっかりだ

それなら全部タッパーに入れて
自宅送りにするんだった

しかたがないだろ？
わかっとることだろ？

息子にそう言われても
気持ちが収まらない

涙ぐむ祖母を孫息子が
散歩に誘って出て行った