一時ダイレクト録音が流行りました。何枚か持っています。
LPレコード最盛期の頃でした。ミキサーは経由するけれど、レコード原盤に刻み込む。それを元にスタンパー(LPレコードプレス原盤)を作る。ポリ塩化ビニールにスタンパーで熱圧整形して作る。
デジタル録音が出る50年前程前まではテープ状の磁性体に記録するオープンテープ録音でした。テープ素材の経年劣化は激しい。減磁も起きる。マトモな状態ではほとんど残っていないでしょう。
今となっては元の録音状態を保っているのはLPレコードです。音は機械的な凸凹として記録される。ポリ塩化ビニールの劣化がなければ半永久と考えます。
SPレコードの素材はシェラックで経年劣化がある。針圧は数10g以上と重い。針も鉄製(レコードの摩耗を嫌って竹針、サボテン針もあったようです)で現在のダイアモンド針と比べるとレコード盤にとって過酷でしょう。SPレコードは再生回数に限りがある消耗品です。
CDでLPレコードの音の再現は可能か。
CDはレコードが持つ宿命的なスクラッチノイズがない。静電気によるパチパチノイズはない。
デジタル録音のCDに伍するため、LPに入っている音を加工していると思います。
イコライザーを掛けることにより、雑音を減らすことはできる。スクラッチノイズも減らせるでしょう。
似て非なるものと考えます。
(脱線)
モノラル録音を刻んだオリジナルモノラルレコードをステレオカートリッジで再生するため、ステレオレコードの溝の両側に同じ溝を刻み、擬似モノラルレコードとして再生する。これも似て非なるものです。
カセットテープ時代に「ドルビー」が一世を風靡しました。今や死語?でしょうか。
比喩として分かり易いのは絵画です。
全く同じ作品の細密画(本画とデジタル版画)をルーペで見比べたことがあります。
違います。
リトグラフ、シルクスクリーン、銅版画、木版画・・・それぞれに技法に応じて、好みはあるでしょう。方法は違っても突き詰めれば印刷物です。
今、本画に一番忠実度が高いのはデジタル版画(印刷)です。似て非なるものです。