上北沢暗室雑記帳

写真に関するよしなしごとを

写真展巡り 5月第3週

2006-06-01 23:00:49 | 写真展
 仕事の合間にちょこちょこ見に行っていたのが貯まってしまっていた。

060513
■平井純一/疾走する風景/コニカフォトギャラリー
 好きなテーマだ。変貌を続ける東京の都市景観。このところマッシブなビルがてんこ盛りの再開発地区ばかりで、それが周辺にもたらすインパクトは絶大なのだが、旧来の中低層市街地風景との対比という語り口はもはや使い古されていて、面白味に欠ける。ただ、DMにも使われていた、大半の建物解体が終わってぽつんと煙突が一本残った景色(超大型重機が必要になるので、煙突とか高架水槽の解体はたいてい最後になる)だけは、何度見ても絵になるなあと思う。

■栗原滋/SO・U・ZU・KA ―夢の皮膜―/コニカミノルタプラザ
 「SO・U・ZU・KA(ソウズカ)とは、いわゆる「三途川」のこと」。へえっそうなんだ!?。日常的な場でありながら、現世と地獄、生と死、彼岸と此岸の「境界」を思わせるシーンが提示されているんだなと思って見て回ると、どれも何か背筋がやや寒くなる雰囲気が感ぜられなくもない、不思議な気がした。

■中藤毅彦/From Bulgaria/コニカミノルタプラザ
 めずらしいブルガリア共和国内各地の街角スナップ。画面の人々に活気が感じられるも背景に写ったうらぶれた建物が、荒々しいモノクロプリントで語られると、何十年も前の撮影のように見えてしまい、ナマの色が知りたくなった。

■金子圭太郎/境界線/Contemporary Photo Gallery
 確信は持てなかったが、真っ暗な部屋の壁に整然と展示されていたのはただの鏡だろう。アイデンティティは人とのつながりにより、ということで、最後に写真を撮られた。その成果が展示される予定は確定していないとのこと。学生時代、他校の写真展に出かけて、ギャラリー内でスタッフのポートレートを撮らせてもらう、という企画を、ギャラリージャックと名付けて始めたものの、3展ほどで終わってしまったことがあるのを思い出した。

060515
■藤田弘基/マナスルを巡る/ペンタックスフォーラム
 初登頂山から50周年だとかで朝日新聞にも紹介されていたのを記憶している。ほぼ水平方向からの日差しに山頂部だけがシャドウの中に浮かび上がるシーン、半ば記号的ではあるが、やはり美しい。

■梶井照陰/NAMI/epSITE
 第1回フォイルアワード受賞作品で、さっそく写真集も出ていることも知っていたが、作家が僧侶であることは知らなかった。それを知ったとたんに作品の見え方が変わったのがちょっと恥ずかしい。が、そのことが面白くもある。作品自体はひたすら波、波。日本海の重い波しぶきだ。なぜ見え方が変わったのか。たとえば若い女性作家の手によるものと言われたらどうか。やはり偏見はよくない、なんて言って締めくくる気はない。作家の属性も写真の発するメッセージの一部だと思う。

060516
■渡部さとる×8.5photographers/旅するアジア/新宿野村ビル1階ギャラリー
 ウェブの日記が楽しみな渡部さとる一派の旅写真展。どの作家も作風がはっきりしていて展に奥行きが出ている。立体的と言ったらいいのか。見ていて楽しい。腰を据えたポートレート作品はアジアならではという気がする。こんどはミャンマーに行くらしい。
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