保育士検定の語りは「アレンジ型」

保育検定を保育士検定と勘違いして、2010年と2005年、それぞれに出版された検定用の本を読んでみました。

実技の試験は、「音楽」「絵画制作」「言語」の3分野から2つを選んで受験するとのこと。ここでは「言語」について書きます。実際におはなしを語る、という試験です。

2010年の本によると、おはなしのタイトルを言った後、3分間にまとめて話すことが大きなポイントのようです。3分にまとめて分かりやすいようにアレンジすることと解釈しました。
 他には、3分前に退出できない、ということ。それから、子どもに聞かせるので軽いジェスチャーを交ぜやすいかということ、3歳児の言語の発達状況に合っていることは大切なこと、20人くらいを目の前にするように話すこと、絵本や紙芝居や人形など道具を使わないこと、自作・他作構わないこと、内容は童話・神話・民話・昔話構わないこと、などが、2010年版の本には書かれています。これが最新情報だと思います。
 それにしても、3歳というのは年少さんです。そういえば私も、保育園の年少組で、「おむすびころりん」をやってみたことがあります。3分くらいだったけど、結構聞いていましたね。「とりのみじいさん」というタイトルで「あやちゅうちゅう」を参加型にしてこれは年中さんだったかな、これも3分くらいにしました。現実にそのくらいの子どもを目の前にしたら、その長さでしかできないと思うものね。

 暗記して声に出して練習すること、3分でまとめられるようになったら他の人に聞いてもらうこと、テンポよく、抑揚も適度につけること、などとも書いてあります。この場合の「暗記」というのは、内容を暗記することであって文字を暗記することではないと思うのです。そうでなければ3分でまとめられないケースがほとんど。
 参考として、人気の題材が書かれています。おむすびころりん、おおきなかぶ、北風と太陽、おおかみと七ひきの子やぎ、日本の昔話(桃太郎、さるかにかっせん、三枚のお札など)。名作でも、自分の言葉に置き換えて語っていいということと理解しました。

 2005年の本は、返却してしまったので今手元にありません。内容は、3分の制限は書かれていませんでした。おはなしのことを「ストーリーテリング」と説明し、本を暗記すること、子どもの言語育成は大切なのでなるべく正しい言葉遣いをすること、しかし方言はいいこと。参考図書として、おはなしのろうそく、子どもに語るグリムの昔話、イギリスとアイルランドの昔話・・・など、図書館おなじみの本のタイトルが書かれていました。(この項はあとで確認して書き直します)。それぞれ数冊シリーズなので、学生はそれらを読破してその中から選ぶわけですが、子どもの発達程度に合わせるという意識があまり見られない。

 ところで、新潟市の高校や中学などの図書館司書は、保育士検定を受けるかもしれない学生がたくさんいるということに想像が及んでいるのでしょうか。例えば自分が朗々とグリムの昔話を暗誦したとして、学生はどう思うか、考えたことがあるのでしょうか。
 学生が、「書き言葉を暗記するのがストーリーテリング」と思い、アレンジするという概念を持たないまま保育士検定を目指した時、これは大変な思いをするよね。
 
 学校教育は、子どもが主体で大人がサポーターです。これは子どもの権利条約がPRされた頃からそういう認識の下でやるように動いています。つまり、子どもが語れるように大人がサポートする、ということ。フィールドにいるのが学生・子どもですから、学生が自ら工夫、アレンジできるように、司書は外野から応援する、ということですよね。
 自分がフィールドにいて正確に上手に演って、子どもから喝采を浴びるような気持ちになっていないか、とお尋ねしたいのです。

 そして、ボランティアです。上手に暗誦している「元司書です」という人々を見て、「まあ、あんなに素晴らしく語っているわ」と尊敬していないか、ということもお尋ねしたい。それは、逆から見れば「学生がアレンジして語れないような見本を見せている」ということでもあるのです。
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