植物を育てています

盆栽の手入れをしながら感じたことをお話ししようと思います

真夏の盆栽管理 移動編

2022-07-07 16:13:46 | 盆栽教室





先日 盆栽教室のM様から問い合わせが。


暑くなりましたが、盆栽たちは 炎天下でも 大丈夫ですか?

 とのこと。




真夏に3回程度、(朝、昼、夕方)確実に 水やりができるならば、

五葉松、黒松、赤松、真柏、 等は 朝から晩まで陽に当たるところでも 大丈夫です。

藤は炎天下で 受け皿(鉢が三分の一程度水に浸かる) ようにすれば朝、晩の2回で持ちそうです。



少しだけ 西日が避けられるのであれば、ほぼ全日陽当たりで 問題がないのは

サクラ、梅、長寿梅、ザクロ、百日紅、などです。

画像のブーゲンビレアも ほぼ陽当たりがよいでしょう。



半日程度 (可能ならば西側)の方が良いものは、

ヤマモミジ、宮様カエデ カエデ、 ケヤキ、楡ケヤキ、等です。 


直射が半日以下 が 望ましいものもありますが 

清姫、清玄、鹿島、(いずれも モミジの種類) アメリカツタ、竜神ツタ、ツタも葉狩りをした場合はこちら。


エゾ松などは 午後から当たらない方が てっぺんが 焦げにくくなります。



1日に3回も水やり出来ない方は 大勢いらっしゃるかと。

杜松は 日当たり好みですが 水切れには 弱いので みずやりが間に合わなくなる恐れがあるならば、

日照時間を短くする工夫を、または水苔をたっぷりのせる、

または 鉢の下2CM程度水に浸かる受け皿に入れる。などの対処が必要です。


水やりの回数を増やせない場合は 受け皿などで1回目の水やりで受け皿に たっぷりたまるように 

しけおけば 2回で済ませられます。 

鉢の上に水苔を乗せるのも有効です。(日当たりの良い場合は、両方とも でも良い)




もう 梅雨明け してしまったので 今更なのですが、 

梅雨明けの日に エゾ松、モミジ類 は 

その日だけで上の方の葉が焦げてしまうことが 多いようです。

斑入りの植物も 3時間程度直射日光にあたってしまうと 焦げやすくなります。



盆栽の移動は、 日当たりから やや陽が当たらない場所への移動は、 時を選びません。

が、 日陰から日向への移動は、 必ず、雨の降る日、曇天の日を選んでください。

日よけを取り除くのも 同様の日を選んでください。

せっかく無事に 焦げを防いだのが、移動した日に 焦げることになってしまわないよう 気を付けてください。




松の場合は おかしい? と 気が付いた時には 間に合わない場合が多いのですが、

落葉広葉樹の盆栽の時には 発見次第、

日陰に移動、水をたっぷり頭からかける。 

で、 3時間後くらいには 葉っぱが元に戻る場合もあります。

既に 葉っぱがダメになっていても 1週間以内に葉を自力で枯れた葉を落とせるならば 

次の葉が出てくる可能性が高いです。 この場合は 根が傷んでいるので 事故を発見した次ぐ日の水やりから

 「水のやりすぎ」に 気を付けましょう。



かんたん盆栽講座 「こけ玉をつくろう」

2022-06-05 11:15:54 | 盆栽教室




令和4年6月3日(金曜日) さいたま市 プラザノースにて  かんたん盆栽講座 「こけ玉をつくろう」 を 行いました。



今回の主木としたのは デショウジョ

出猩々(デショウジョ) ムクロジ科<カエデ科?> カエデ属 

イロハモミジの仲間で、新芽が真っ赤に出てくるところが 特徴です。時間が経つと緑の葉になり、秋の紅葉には  また 真っ赤となり美しくなる。



添えは コウチョウボク

コウチョウギ 又は コウチョウボク(香丁木)  コウチョウゲ(紅丁花)とも。

アカネ科 ハクチョウゲ属

春と秋の年2回、薄紫色の花を咲かせる常緑樹。











今回 1時半からの講座スタートでしたが、皆さん お集まりになるのが早かったので、

始める前から、来始めた方たちと 苔玉の土となる「ケト土」のこねる作業を いきなり始めてしまいました。

ほとんどの方が、今回が「初めての盆栽」で初めての「盆栽講座」なのに、 来て いきなり 汚れそうな、肉体労働をさせられて さぞや 驚かれたのではないかと?

例年の盆栽講座の中でも 「苔玉」は 汚れやすいし、結構ハードな作業 なのです。


そのかいあって、今回は「底が抜ける」ことがほとんどなく 状態の良い「ケト土」が完成しました。


ほかの材料を使っても、この「ケト土のこねる作業」をしっかりやっておけば 失敗することなく 作れるかと思います。


準備するのは

苔玉の主役となる 素材
今回は デショウジョウ (縦に伸びながらも 横にものびてゆく植物)


 添えとする 素材 
今回は コウチョウボク (横に広がってゆく植物)


他にも 皆さんの好みで

トクサ (縦に伸びるが線として)

タツナミソウ (横へと広がる 高さは競わない)

アサギリソウ (横、縦共に伸びるが 高さは競わない)

  を用意しました。














主木、添えの取り合わせは

1 日照時間(陽当たり好みか?日陰が好きか?)

2 水を多く必要な植物か? (乾きに弱い?乾きに強い?)

3 育って行く方向が異なっているかどうか?(縦に伸びる?横に伸びる? 住み分けが可能か?)

この3つを考慮して組み合わせを決めてください。



次に 苔 やはり苔も日向で採取したものは日向がこのましく 日陰で取ってきたものは日陰でないと育ちません。

 
受け皿 (作って間もないころは 簡単に底が抜けてしまうので ひと月くらいは 持ち上げずにすむものを用意しましょう。


ケト土 素材の大きさにもよりますが、ソフトボール程度の量が必要になります。

水苔(こぶし程度)

混ぜる赤玉土(出来れば粉にして ケトに対して10対1未満)

底用赤玉土(一握り程度)

黒っぽい糸 (けと玉、苔玉の崩壊を防ぐ。)

ビニール手袋 用意できれば丈夫な土の袋。

バケツ 

汚れても問題のない服装

エプロン

霧吹き


回転台があると便利です。




手順


いつでも手が洗えるように 水を汲んだバケツをそばに用意しておくと便利です。


市販されているケト土の状態では 苔玉にするのは非常に難しく まず最初に 

丈夫なビニール袋(土や砂などの袋を使います) を用意して

ケト土+赤玉土(ごく少量)+水苔(少量)+水(少量ずつ、※入れ過ぎると使えなくなるので、霧吹きで足すぐらいの方が失敗が少ない) これらを 袋に入れ 下が平らで 小石などがないところで スニーカーなどで踏みます。

広げてはこね、広げてはコネを繰り返し 用土の硬さが 耳たぶ 程度まで繰り返します。

固くて混ぜにくく、ポロポロなら 水(スプレーがあればスプレーで) または濡らせた水苔を、 

逆にトロトロなら 乾いたミズゴケか粉の赤玉土を

少し足します。

程よい伸びが得られれば ソフトボールの玉のようにします。

こねるのに使ったビニール袋の左右を切って1枚のビニールにします。

中央で半分に折ります。

その真ん中にけと玉を入れて  けと玉をだんだんにつぶし

🅼サイズの厚い生地ピザの大きさ程度に します。

この時に 端っこを起こしても形が維持できることを確認しておく。


乾燥が早いので そのままビニールはかぶせておきます。


次に

主木 添え その他の植物の根をほぐします。

この時期(6月上旬)だと正直なところ植え替え適期とは言い難いので やんわりほぐす程度に。

主木の正面(一番かっこよく言えるところ)を決めて 添えの 位置関係もしっかり決めます。

正面と主従の位置関係が決まったら「主木の根」と「添えの根」の間に少しだけケト土、

または濡れた水苔を挟んで もう一度位置、正面を確認。 

問題がなければ 糸を使い しっかりくっつくまで10周くらい巻きます。

※根をほぐしすぎて 土がほとんどない場合には 少し濡らした水苔を この本体に巻きます。
(いっぺんにくっつけるのは難しいので 糸を使いながら水苔を巻き込む感じ。)


円盤状に広げたケトの中央に 軽く一握りの赤玉土を乗せます。

その上に主従一つになった本体を持ち ビニールの下から 周りのけと土を包み込みます。

本体を包み込むように周りを立ち上げたら しっかりよく本体に密着すように丸め込む。

正面と角度を確かめながら 2回程度 少し持ち上げて ドン と 落とす感じで

底の部分が平らになるようにする。

静かにビニールを広げる。  この時に 余分なケト土は 取り除く。

丸よりも円錐形の方が 苔が張りやすいので 円錐形になるよう形を整える。

(回転させる都合もあるので ビニールもこの時にほぼ 少し大きめの円形に切っておくと後が楽です。)

持ち上げる前に 糸で、(特に下の方) 周りの土手が崩れぬようしっかり巻く。


三番目以降の根の場所を必要なもの は ここで けと玉に足します。

例えば トクサ

※ ピンセットや割りばしで穴をあける程度で済む場合は 一番最後

そっと斜めにして 底と根元近くの部分を 糸で巻く。 いっぺんに持ち上げると底が抜けるので、90度くらいづつ ずらしながら 伊とを巻いてゆく。

ある程度底が抜けなくなったら 持ち上げて 底が
抜けないように さらに糸を巻く。

次に 苔をはります。 やはりはがれやすいので うまくいかないときには 糸を少し使いましょう。

一通り苔がしっかりはれたら また 糸を巻きます。

円錐形では?と形が気に入らない場合は ここで 形を 整えます。(苔が終わってから糸をしっかり巻いてあれば 垂直に近くても苔ははがれない)

主木 添えの根元付近のケトはなるべく取り除きます。(唯一の水の給水口) 代わりに苔をのせる。

ここで 最後のパーツを植えこみます。

今回は アサギリソウ タツナミソウ


お皿にのせる。(一か月くらいは持ち上げないように)


水やり。  10秒かけて 20秒くらい休み、また10秒 。 それを3~4回。


今回はデショウジョウ、コウチョウボク なので 半日程度の日照が無難です。

欲を言えば西日が当たりにくい場所が 望ましい。



最後に 付け足しした 

アサギリソウ (朝霧草) 銀色の葉が特徴。 日照が多くても少なくても育つ。

トクサ  日照時間長いほうがよく育つ。水に濡れたままでも可。

タツナミソウ これから紫色の花が咲きます。 やや日照好み、日陰でも育つが伸びてしまうかも。

増えすぎた場合には はさみで切って へらしてください。



普通の鉢物と違い 水が簡単にはしみわたりません。 これからは毎日一回 水やりになると思われます。

その一回が  面倒でも 1回かけては 休み かけては 休み。 もう一度かけて。

3回くらいはかけ直ししてください。

とりあえず 肥料は1月ほど無し。

 皆様 苔玉 お大事に。





今回は忙しくて、途中の撮影は出来ませんでした。

撮影時 後ろが白なので せっかくきれいな苔が 黒くなっちゃって すみません。

お家で苔玉を飾った画像を 私に送っていただければ 後日 公開したいと思います。

陶芸+盆栽「手作り鉢で盆栽に挑戦しよう!」

2021-12-14 21:52:49 | 盆栽教室
 11月29日(月) さいたま市 プラザノースにおいて、 陶芸+盆栽「手作り鉢で盆栽に挑戦しよう!」
の4回目 自分だけのマイ盆栽に挑戦! を行いました。

去年に続き 今回は2回目。

 下山先生のもと みなさんが 作った鉢に、植物を植えて盆栽にしました。

















今回の樹種は 真柏 長寿梅 から選んでもらいました。





 真柏は 盆栽の種類の中でも 一番丈夫な樹種です。 陽がよく当たる場所でも、日当たりが悪くても、育ちます。
暑さ、寒さにも かなりの耐性があります。盆栽を育てるのに自身のない人にお勧めの樹種です。





長寿梅は 四季咲きで 満開というのはあまりないのですが、一年を通してぽろぽろと咲きます。
温かくなり始めたり、日差しが増したり、肥料をもらって1週間後 など、ちょっとした変化で 花が咲きだしたり、葉が急に落ちたりします。真柏とは対照的にその時々の変化が楽しめる樹種です。置き場所は日当たりが良いところの方が良く開花します。真夏でも炎天下で問題はないのですが、非常に水を好むため、水切れには注意が必要です。




長寿梅の根は ほかの樹種と違い、一本の根が木全体を養っていることがあります。
周りを回っている根の所在を確かめずに切ってしまうと 根がほとんどなくなってしまうことがあるため、
切っても残る根が十分あることを確認します。






みなさん、鉢全体的に苔をはっていましたが、植え替えをして 根が減っていることを含めなくても
これから2月下旬くらいまで 乾きがわかりにくいので、苔をはがしてみて 
赤玉土の乾きを確認してから水やりをするようにしてください。風が強く、陽によく当たる場所だとしても二日に一回程乾くことはないと思います。 おそらく3日~5日に一回程度だと思われます。 







また冬の水やりは 午前10時~午後3時くらいの間に済ましてください。早朝、夕方、深夜に水やりをしなければならないときには、その直後半日程度は屋内の寒いところに移動してください。(凍結防止)

基本的に さいたま市程度の冬 であるならば 真柏、長寿梅ともに、軒下程度(霜に直接当たらないところ)で問題ありませんが 発泡スチロールの箱のようなものの中に入れ、蓋はしない程度の防寒をしてください。(箱の下の方に水が抜ける穴をあけておく) (2月下旬または3月初め頃まで)







家の中に飾ってみていただくことも あるかと思いますが、連続で屋内に置く場合は二日以内にとどめてください。




針金で少し曲を付けてみました。 針金を外すのは 来年の夏を過ぎたころ。



長寿梅の剪定は枝が10cm程度伸びてきたら 2,3芽残して切り込みます。
また根元や枝元から出てくるヤゴ芽は ソコに必要のない枝ならば、元から切ります。



花も花弁が散り始めたら 種を残さず、取り除いてください。
実をならせてしまうと養分が実に取られてしまうため、花が咲かなくなるばかりでなく 実のなっている枝そのものが枯れてしまいます。



真柏(糸魚川真柏)5月ごろになると新芽が伸び始めます。まだ輪郭が必要なところはそのまま伸ばし、樹幹の部分など これ以上の伸ばしたくないところは 手の腹で摘み取ります。 (爪を立てたり、はさみを使わない。)




やや下向きにした枝は 上向きの枝に比べると 栄養が届きにくいので、それほど上向きの枝が伸びていなくても芽摘みをするようにしてください。



真柏、長寿梅ともに肥料は来年の春からになります。



盆栽の方は育つし、やや大きめの方が 枯れにくいこともあり、少し鉢が大きく見えてしまいましたが、2年くらいで盆栽の方が追いつくので ご容赦ください。
それで 黄金シダを一緒に植えこみました。





真柏は 肥料が効きすぎたり、植え替えをしないでいると 「杉っ葉」が出てきます。(普通の葉は 先がとがっていないのですが、先のとがった葉が出ることがあります。)

この場合は 肥料をやめる。剪定や芽摘みを秋になるまでしない。







盆栽には 太陽の方角、または風の方角を 取り入れる決まりがあるのですが、じゅうぶん 風が表現できたのではないかとおもいます。





みなさん、雰囲気の出た作品になりました。

植え替えについて

2020-09-15 09:18:00 | 盆栽教室
植え替えについて


※植え替えは なぜ行うか?

盆栽は限られた鉢の中でしか根が成長できないないため
種類によっては一年で、遅い場合でも10年程度で 土を入れ替えないと
真夏の水やりが困難になり、枯死する可能性が高まる。

剪定や針金かけ等により 正面や角度が変わってしまう。
またその時の育て方の変更により スピードを求めるとき。または逆に老化を求める時。

盆栽の持ち主が変わったり、置き場所の変更があり 水やりの環境変化により維持管理が困難なとき。



植え替えの注意点

健康な状態であるかどうか。 その種類にとって適した時期であるかどうか。

植え替えは 人間にたとえるならば、胃腸の外科手術と同じ、古くなった根を切り取り、
新しい根が育ちやすい環境にすることにより、木が若返り、ゆえに100年を超す盆栽がある。

可能な限り 短時間で。そのために 準備は完全に整える。(次の鉢 土 固定等アルミ線 底網 道具 水平の作業台)



作業手順

1 上根をかき出す。(根張りを出す)

場合により金属の道具も使うが、先をとがらせた竹箸などで ていねいに掻き出す。
根張りより高くなってしまう部分は可能な限り切り取る。



2 下の部分をほぐす。

 角度が変わる場合は 上にはみ出る部分、下にはみ出る部分を先にほぐす。
太い根が出てきた場合 切らずに残しておく。



3 周りをほぐす。 

1,2、で残しておいた太い根野所在を確認して細い根と立て替えられるところで 太い根を短くする。
または元から切り取る。

下に落ちた土や根の量が半分以上になったら 残る根のことを考えて さらに慎重に。

金属の道具はなるべく避けて箸などで すすめ、はさみも 根の切り口がきれいだと成長も早いので
切れる鋏を使用する。

大まかに根を切り一度 次に植える鉢に乗せ 前後左右底 の隙間の確認をする。
問題なければ 全体の根をしっかり切る。



4 選んだ鉢にもよるが ゴロを敷き 次に 植え土をほぼ中央を盛るように敷く。
次の正面を見据えながら 気持ち抑え込むように植えこむ。

前から、左右の位置と傾き、横から ほぼ中央に位置しているか、前後に傾いていないか、 を確認する。
問題がなければ、針金で抑える。


植え土を入れる。
 少し低めの位置まで土を入れたら、箸2本で 土が入っていないところがないか 確かめながら
土を入れる。
最後にもう一度前、横から 正面、角度、位置が間違っていないか確認。



5 水やり。
 最初の水やりは、水をやり始めると、下から濁った水が出てくるが、
それが澄むまで 溢れさせないよう、植え土が動かぬよう丁寧に何度か水やりを続ける。
下から出てくる水が澄んだら 終了。



春の植え替えでも秋だとしても 可能なら 朝日が当たり夕方はかげる場所が望ましいが、
元場所しかない場合は、規則正しく与えられるなら葉水も有効。

最初の1か月くらいは根元の元からある土の部分の渇きを見て水やりの判断にするとよいでしょう。