植物を育てています

盆栽の手入れをしながら感じたことをお話ししようと思います

五葉松の石付き

2020-12-13 01:49:41 | Weblog


さいたま市 大宮盆栽美術館において 毎年 さいたま国際盆栽アカデミーを開催しておりましたが、前年度 その上級コースの実技部門の講師を務めさせていただきました。

たしか、今年の2月の下旬 その年度の春から五葉松を 正面を決める→樹形構想→剪定→針金掛け→植え替えて完成。 その「植え替えて完成」の講座の時に 時はコロナ。


延期に。

 
ほかのことでも そうですが、 最後の完成!!の直前の延期。・・・





手前での延期には、美術館としても苦渋の決断だったと思います。



本年度は 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今年度の盆栽アカデミーは中止になってしまいましたが、

その 植え替えて完成の講座を 10月に 前年度の補講 という形で 何とか行えました。

人数を減らして 2回に分けて 時間短縮 さらに換気対策 フェイスシールド マスク 手袋等 全員着用。



そんな中、K様 撮影してくださったので 紹介したいと思います。




前年度 上級コースの実技のお題は「五葉松」

最初に 五葉松を見て、どこを正面として、どのような樹形に仕上げるか決め、 樹形構想をご本人が練って それを全員の前で発表。 

そこから 剪定→ 針金掛け→ 植え替え(鉢などの選択を含む。) 

こちらの場合 針金掛け のち 石付き盆栽 を選択しました。





植え替え前


今回は石付きなので 準備が少し増えます。


準備する道具。



上から
ピンセット
又枝切り
剪定ハサミ
ヤットコ
針金切り
根ほぐし




次に 土



やや細かめな赤玉土/桐生砂  下に敷く大きめの赤玉土/桐生砂





けと土 (けと土は 植え替えをする前に 十分に練る。)



赤玉土の微塵 または極小粒を少し混ぜる。



この時 いっぺんに入れず、少しずつ。



※けと土の状態 を みながら 赤玉土を足したり、霧吹きなどで水分を足したり。









今回使う クラマ石





底網を付ける。 固定する針金を通す(針金は十分に長め)
 底網の止め方は 前回の五葉松の植え替えを参照




この石の場合、土台が安定しているので 2組のみだが 
安定の悪い場合は 状況に応じて針金の組数を増やす。





けと土で 石の上に 土手を作る。細くて高いのではなく、土台は十分太めに。



針金が下にならぬよう浮かす。



石付きなので 苔も用意しておく。





鉢から抜く




この時 根の状態を よく確認する。

明るい色の根がたくさんあるか?
黒ずんだ根が多くないか?
太い根が 周りにないか?
腐ったようなにおいがしないか?


現状の根の形と次に植える鉢との形の相違による 難易度がどれくらいであるか?
(通常、仕立て鉢から 植え替えて 「見せる鉢」に変える場合、小さくなる。
そのため 根の総量が場合によっては30%程度までしか残らなくなることも想定される。)

現在の根の姿が 本当の樹勢なので まず周りを回っている根の状況から判断して
新しい鉢に植え替えた際、どの程度のリスクがあるかを判断する。
(通常は 根の状態を完全に把握することはできないが 抜いた時には はっきり見えるし 臭う。)







基本、最初の作業は 根張りを出すのだが、この木の場合、正面決める際、針金掛けの際にも 
根張りは ほぼほぼ出してあるので、石付きにするため  まず 高さが問題なので 下の根をほぐす。



通常 元気な盆栽ほど 根を処理するのが大変です。




ほぐす際 力いっぱい ザクザクほぐすのではなく、根に引っかかった際も
無理に断ち切るのではなく、なるべく 丁寧に。時にはやさしく。

そのため このように、握りの部分が太い一つ爪 の道具もあるとよい。





ある程度 ほぐせたら 根の全容を確認、 石の上に時々合わせて

ほぐしすぎ、切りすぎがないようにする。




残る根の量を確認しながら ふと根を処理する。







細い根の処理は なるべく 植えこむ直前に。










もう一度 石と合わせて 根の量、入れられる土の量 

石に対して土の部分が多すぎないかどうかの確認。





ちょうどいい画像がないのですが、この後 
仮に 石の上に五葉松を置いて 
けと で作った輪郭と 五葉松の根の量 入れる土のスペースがあるか 

もちろん 構図に問題はないか を確認します。



これで 問題なし、 決定となったら 
植える直前に 余剰の根を切る。









やや大きめの用土を少し入れる。
その上に 細かめの用土を 中央付近を山にしていれる。






けとの土手を壊さぬように 根を回しながら押し付ける。


正面、横から 位置を確認する。

目線は見下さず、見上げず。 盆栽の中央の高さに目線を置く。









問題がなければ 針金で固定。




余りの針金は そのまま残す。








余りの針金を使い けと土の土手の中に その針金を外に出ないように
埋める。(決壊防止)







根と用土に隙間がないように 箸でつついて確認する。






けとの土手の上の部分を伸ばすように用土となじませ、

しっかり押さえる。



この時 余剰な用土、けと土は取り除く。






けとの土手のラインが直線、整った曲線にならないようにする。
(可能なら 凸や凹 を作る。)








ここまでに費やした時間が長すぎる場合は ここで水やり。

(細根を切って、けとを押さえるまでの時間)

根に負担が少ないならば、そのまま苔張り。

そののちにたっぷり 水やり。








8か月?遅れでの 完成 でした。
















で、 k様  ご自宅で 飾られた 画像が こちら。







 植え替え作業の 一部始終を こんなにも撮影してくださって、 k様、本当に、ありがとうございました。













 で、も、 この石付き、K様のですよねぇ?・・・



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2 コメント

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Unknown (K)
2020-12-13 15:34:14
ハイ、ちゃんと先生のご指導を傍らでしっかり拝見しておりました!(見るもの修行www)
先生がササッと描かれる構想図や手早くて的確な作業を見ているのがとても好きです。今後ともよろしくお願いいたします!
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Unknown (K)様へ (カン本人です)
2020-12-14 00:08:36
Unknown (K)様 コメントありがとうございます。

た、 確か 上級コースの実技 は 自分で全部 やる。 では なかったでしたっけ??(笑う)

おかげさまで 以前から わたくしの得意分野の 石付きの 解説が 出来ました。

 今後とも、よろしくお願いいたします。
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