遅くなりましたが、神奈川高齢・退職者連合(通称:神奈川シニア連合・会員数33,000名)は11月9日(水)神奈川県、11月14日(月)相模原市、
11月21日(月)川崎市、
11月25日(金)藤沢市・横浜市(写真は藤沢市)
11月28日(月)寒川町
の行政に対し次の内容の要請行動を神奈川シニア連合4役を主に現役の連合神奈川と各地域連合の支援を頂き実施しましたのでご報告します。
「介護保険制度の充実」等に関する諸要請
神奈川シニア連合
1.「未届老人ホーム」の継続した実態把握と利用者の支援対策について
平成28年1月末時点における未届け施設数が明らかにされたが、未届施設は需要がある限り供給はこれからも増え続ける。経済的理由でやむなく無届施設を利用せざるを得ない弱い立場の高齢者の人権と安全を守るため以下の要求と提言をする。
(1) 未届施設の実態を常に把握できるよう継続した調査により、届け出促進に向けた取り組みを強化すること。
(2) 未届施設がガイドラインを満たしていなくても、まず届出を出させるよう柔軟な対応をし、それが困難であっても指導・改善を求め続けること。
(3) 未届施設であってもその存在を地域住民に明らかにし、地域ボランティアとの交流を図れるよう施設と住民との風通しを良くすること。
2.地域包括ケアシステムの構築について
(1) 地域包括ケアシステムの構築が進められている中、医療機関と介護関係をはじめとした異職種間の連携づくりや、地域に存在する福祉資源の活用や生活支援の住民参加など、やるべきことは多いと理解する。
システム構築のための担当職員を配置し、「住み慣れた地域で安心した療養生活」が送れるよう、更には「家庭での看取り」までのシステムを構築すること。
(2) 2025年の地域包括システム構築に向けた取り組み内容を開示すること。
3.介護保険制度について
(1) 予防給付の新総合事業への移行について
① 要支援1・2の予防訪問介護・予防通所介護サービスが2018年3月迄に市町村の新総合事業へ移行されるが、基準緩和による移行後における取り組み状況の内容詳細、及び事業費予算や有償ボランティアの単価を含め明らかにすること。
② 制度改正を理由とした、サービス内容の変更や切り捨て、利用料の引き上げを行わないこと。
③ 要介護認定にあたっては、現状の要介護認定システムを基本とし、認定申請時の基本チェックリストの強要やサービスの振り分けを行わないこと。
(2) 認知症施策の拡充
① 新オレンジプランの基本理念「認知症の人が住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現をめざす」を踏まえ、地域のなかで認知症の人とその家族を支える「見守り・声掛け・相談・支援」の仕組み作りを推進すること。
② 医療・介護連携による認知症の早期診断・早期対応の体制整備を図ること。
(3) 安心して暮らすことのできる居住の場の整備
① 特別養護老人ホームの整備・拡充(増設)を図るとともに、個室・ユニット型居室の整備等居住環境の改善を図ること。
② 低所得要介護者が安心して暮らせる場を確保するため、養護老人ホームの整備・拡充(増設)と施設の機能強化や職員配置を改善すること。
(4) 介護労働者の処遇改善と人材確保
① 2015年度改正の介護報酬処遇改善加算の実施状況を把握・分析するとともに、事業者に対して人材確保に資する各種交付金等も積極的に活用して実質的な処遇改善を促すこと。
② 介護職場における労働法令違反を根絶するため、労働行政と連携し雇用条件・環境の点検・改善の取り組みを強めること。
(5) 被保険者・市民参画の促進
介護事業計画や総合確保基金の活用計画等、各種事業計画策定にあたっては、介護保険の被保険者・保険料を拠出する労使代表等の市民参画体制を確立すること。
(6) 国への働きかけ
介護保険について、次の諸点を国に働きかけること。
① 介護保険費用の国負担分25%のうち、現在調整交付金に充てている5%は国で別財源を措置し、25%全額を保険者に交付すること。
②「認知症基本法」の制定、認知症高齢者に起因する損害について、発生を防止する社会的な施策を整えるとともに、家族に過剰な賠償責任を負わせない方策を検討すること。
➂15年制度改正で実施されつつある、予防訪問介護・予防通所介護の新総合事業への移行を撤回し、予防給付に戻すこと。「基本チェックリスト」を要介護認定申請前段に位置づける方針は、申請権の侵害につながるので撤回すること。
④ 「1億総活躍社会・50万人分の施設整備」は、特別養護老人ホーム増設と併せ、使い勝手の良い地域密着型小規模多機能型施設の増設によって地域包括ケアシステム構築に繋げること。
⑤「介護離職ゼロ」を実現する前提として「介護職員離職ゼロ」になる介護関係労働者の抜本的処遇改善を図ること。
4.地域公共交通の充実について
(1) 2013年12月に制定された交通基本法の趣旨を踏まえ、高齢者や障害者の通院、日常の買い物等交通弱者の生活に必要な移動手段確保にむけ、地域交通の充実を図ること。
(2) 自治体における総合計画や都市計画については、地域の活性化や地域事情を踏まえた交通サービス、バリアフリー化、シームレス化等、安心・安全に住み続けられるまちづくりに向け、住民のニーズを反映した交通政策を策定し展開すること。
5.悪質な訪問販売、電話勧誘販売などの迷惑勧誘行為にたいして、「事前拒否者への勧誘禁止制度」の導入など勧誘規制の強化を図ること。
低所得高齢単身女性問題に関する政策・制度要求
㊟日本退職者連合
神奈川シニア連合
退職者連合は、低所得高齢単身女性が日々の暮らしのなかで直面している、さまざまな課題の解決に向けて、国ならびに地方自治体に対し当面次のとおり要求する。
1.認知症対策について早期に推進すること
(1)国は認知症対策基本法を制定すること。
(2)認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)に基づき具体的な環境整備を早急にはかること。
(3)すべての市町村に、認知症初期集中支援チームの設置を実現すること。
(4)認知症の人が住み慣れた地域で可能な限り生活を続けていくための支援整備をはかること。
2.生活困窮者自立支援法の実効性を高めること
(1)生活困窮者支援を、地域と各自治体全体の課題として位置づけること。
(2)相談窓口の充実(相談窓口の周知、適正な相談員と配置、利用される相談時間と施設)をはかり、就労支援、居場所づくりなど生活支援を強化すること。
(3)2013年8月から実施されている生活保護基準の引き下げと、「冬季加算」「住宅扶助」の引き下げについては行わず、憲法25条の生存権保障の理念を守ること。
3.安心して暮らせる居住の場の確保について
(1)国・地方自治体は、居住の継続が困難な状態にある低所得高齢者、とりわけ低所得高齢単身女性に対し、一定の質が担保された住居の確保と速やかな入居・転居を図ること。
(2)国・地方自治体は、個人情報に配慮し、常に低所得高齢者の住居の種別実態ならびに暮らしの状況把握を行ない、低所得高齢者、低所得高齢単身女性が安心して暮らせる住環境の整備をはかること。
(3)国・地方自治体は、空き家を活用した生活支援サービスと組み合わせた機能的な健康を維持できる街づくりをはかること。
4.社会的孤立や孤独死の防止について
(1)国・地方自治体は、高齢者の社会的孤立や孤独死を防止するため、地域社会におけるきめ細かな見守りや支え合いの体制整備を急ぐこと。その場合、地域包括ケアセンターや民生委員、町内会、自治会等をはじめ、ライフライン事業者(電気・ガス・水道等)、民間事業者(郵便配達、新聞配達等)などとの連携による効果的なネットワークを構築すること。
(2)具体的な活動推進に当たっては、個人情報の共有を図ると共に、その取り扱いについては慎重を期すこと。
5.年齢によらない働く場の確保・拡大について
高齢社会にあって、健康で働く意欲のある高齢者や、各分野で活用しうる技術・能力を有する高齢者が定年制などによって、そうした意欲や技能を生かし切れていないケースが少なくない。国・地方自治体は、各機関との連携を密にし、年齢によらない男女の働く場の確保・拡大の実現をはかること。
6.移動困難者対策について
国・地方自治体は、買い物や通院など日常生活において、移動困難者に対し、「交通政策基本計画」に基づき、公共交通機関をベースとした切れ目のない移動支援に取り組むこと。
㊟日本退職者連合(通称:退職者連合)は全国組織の会員数約84万人で神奈川シニア連合も加入しています。