桑原名誉顧問からの投稿
群雄割拠する格安スマホ市場 (2014年12月19日)
関東電友会桑原名誉顧問からの投稿
格安スマホを提供するMVNOとしてはNTTコミュニケーションズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ビッグローブ、ユーネクスト、ケイオプティコム、日本電話の6社が大手で、これに契約者数が1〜2万件の中堅業者を加えると事業者数はすでに20社を超えた。格安スマホ数は4月以降に倍増し、9月末の段階で100万台を突破したという。 |
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格安スマホ市場に火をつけたのは国内小売業最大手のイオンである。本年4月に格安スマホの提供を始めた。スマホ端末代と通信料を併せて月額2980円という安さとともに、ショッピングセンターのイメージが頭にあるイオンがスマホサービスを始めること自体に多くの人が驚いた。8000台限定販売数は日を置かずに売り切れたと聞かされている。 |
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イオンに続いてビックカメラが格安スマホのサービスを始めた。スマホを販売するだけでなく、通信サービスもはじめるというのだから、これも驚きである。さらに追いかけてヨドバシカメラが始め、少し間をおいてヤマダ電機も参入した。これで量販店大手がすべて格安スマホ事業者になったわけである。 この頃、コンピューター周辺機器ベンダーのエレコムがデータ通信のみであれば月額780円、通話ができるメニューでも同1080円という超廉価サービスを始めるというニュースがあった。さらに、SIMカードを付けたフリーテルというプラスワン・マーケティング社製スマホを1万2000円で100セット限定販売するという。 |
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ものは試しと購入してみたが、これは失敗であった。初期設定を電話でアシストしてくれるのだが、パソコンの設定と同様でいろいろと聞きなれない専門語が飛び出すから思うように行かない。コールセンタに何度も電話をして数日かかった。おまけに300kbpsという低速回線は光の高速通信に慣れた身には使い勝手が悪く、結局無駄にしてしまった。 |
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11月に入り今度は楽天が参入した。月2.1GBまではLTEの高速回線が使えるメニューで月額1728円(税込、以下同様)と他社より安い。これに台湾エイスース製ゼンフォン5という比較的高機能のスマホを2万8512円で提供する。これを24カ月払いにして月額1188円を加えても、2916円なので魅力的だ。発表会には三木谷会長兼社長が自ら登壇して「1000万台を目指す」と大変な鼻息である。 |
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岡田社長自らデジタル事業の確立を社員に訴えるイオンも負けてはいられない。国産では初めて登場する富士通製スマホ「アローズ」を1652円で、またLTE対応のタブレット型パソコンを3866円で提供すると発表した。 |
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どんなタブレットなのかに興味があって、イオンの店舗へ出かけてみた。タブレットには着脱式キーボードが付いており、外観はマイクロソフトのサーフェスにそっくりである。メーカーはマウスコンピューターとあるがあまり聞いたことがない名前だ。帰宅後に調べると、もともとはパソコンショップで、親会社はマイクロソフトなどの正規代理店であった。 |
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今日では、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」と、1個でスマホの基本機能を満たすLSIと、液晶パネルなどの基幹部品を組み合わせれば、誰でもスマホメーカーになれるのである。 |
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こんなとき日本郵便が来年から郵便局で格安スマホを発売すると発表した。端末はこれも富士通製である。MVNOによる格安スマホは顧客との接点になる店舗が少ないことが弱みであった。ところが郵便局は保険や貯金業務など高齢者の利用客が多い。保険のように窓口でスマホの説明をして設定も手伝い、契約などの手続きを代行すれば膨大な顧客にスマホ販売が可能である。格安スマホの普及に大きく貢献するかもしれない。 |