IT分野での10年変化は大きい(2015年8月21日)

2015年08月21日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

IT分野での10年変化は大きい (2015年8月21日)

 
 筆者はパソコンでのメール送受信に「サンダーバード」というオープンソフトを用いている。近頃サンダーバードを開いたとき『モジラがサンダーバード1.0をリリースしたのが10年前です。この10年間サンダーバードは多くの人に支持されるメールクライアントであり続けました』との宣伝文が出てくる。そこで10年前の自分の新聞掲載記事を繰ってみた。

 
 『友人からウェブブラウザにファイヤーフォックを、メールソフトにサンダーバードを試してみろと言われ、使用した結果は快適だった。ウィンドウズに比べて普及していない分、ハッカーなどの標的になりくいのもメリットだ』と書いている。当時すでにウィルス被害が多く、米国人にもモジラの愛用者が多かった。しかし、筆者が所得税の電子申告を最初にトライした際に途中でつまずいて国税庁のホームページを参照すると例として示されたのがインターネットエクスプローラだったので、仕方なく戻した経緯がある。

 
 10年は短いようでもIT分野の変化は大きい。サンダーバードはバージョン38にまで進化している。フェイスブックがサービスを開始したのと、グーグルが株式上場してから11年しか経っていない。その間に、フェイスブックは14億人の利用者を集め、またグーグルの株式時価総額はアップルに次いで世界第2位の40兆円になっている。

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中国の紫光集団による米マイクロン・テクノロジーの買収(2015年8月21日)

2015年08月21日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

中国の紫光集団による米マイクロン・テクノロジーの買収 (2015年8月21日)

 
 中国半導体大手の紫光集団が米半導体メモリー大手、マイクロン・テクノロジーを買収するという報道はIT業界の多くの人に衝撃を与えた。この買収は製造業の高度化をめざす習政権の方針に沿ったものであり、買収額は3兆円近いという。しかし、これには米議会が待ったをかける可能性があるようで、今後も曲折がありそうだ。

 
 マイクロンは13年に日本のDRAMメーカー、エルピーダメモリーを買収した。エルピーダは1999年に日本電気と日立製作所のDRAM事業部門を統合してできた会社で、一時はサムスン電子、SKハイニクス(いずれも韓国)に次ぐ世界第3位のシェアを有しており、日本唯一のDRAMメーカーと言って良い存在であったが、リーマンショック後の不景気と超円高の中で巨額の赤字を続け、12年に会社更生法を申請するまで追い込まれた。こうした中でマイクロンにより僅か600億円程度の金で買収されてしまった。

 
 一昔前、半導体は産業のコメと言われた時代があった。しかし今日、日本で半導体メーカーと呼べるのはフラッシュメモリーの宗家である東芝しか存在しない。その東芝も不適切会計処理問題でてんてこ舞いの状況である。紫光集団がマイクロンを買収しても日本の主導権がないことに変わりはないが、レアアース輸出規制の先例のある中国なだけについ恐怖感を抱いてしまうのである。

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移動通信に10年ごとに現れる画期的な変化(2015年8月21日)

2015年08月21日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

移動通信に10年ごとに現れる画期的な変化 (2015年8月21日)

 
 ドコモ副社長寺崎明氏が面白い話をしてくれた。“移動通信は10年ごとに大きな変化が起きる。それも西暦で9の付く年である。1979年に自動車電話が生まれた。1989年に我が国初の携帯電話「ムーバ」がサービス開始した。1999年に携帯インターネットの先駆者「iモード」が始まった。2008年(1年違うが)「アイフォーン」が日本で発売された。次の2019年は日本オリンピックの前年であるが、果たして何が出てくるか楽しみだ。”
参考:1959年船舶電話サービス開始、1968年ポケベルサービス開始

 
 アイフォーン以来、スマホが全盛である。スマホに対し、日本の高機能携帯電話はガラケー(ガラパゴス携帯)と揶揄されている。しかし、ようやくスマホにも陰りが見えてきた。特に日本ではガラケーが高年齢層に根強い人気がある。旧型OS(基本ソフト)搭載のガラケーが製造打ち切りとなり、代わりにアンドロイドOSの携帯が発売された。ラインなどのアプリも実装されていることからガラホ(ガラケー型スマホの略)と呼ばれて評判が高い。

 
 スマホに代わる端末機として、時計型やメガネ型のウェアラブル端末が誕生した。しかしスマホの副産物の域から抜け出てはいない。5Gの超高速移動通信と無線LAN、さらに準天頂衛星やGPS、4Kに代表される高品質画像などを組み合わせて画期的なシステムを創れないか、それも日本人のアイディアで、というのが我々の切なる願いなのである。

 
 本文を書いているとき、マイクロソフトが5の付く年に大きな変化をしているのに気が付いた。まずビル・ゲーツとポール・アレンがマイクロソフトを設立したのが1975年、今から40年前である。(1986年に100%出資のマイクロソフト日本法人を設立した。) 1995年には有名なウィンドウズ95を発売し、ウィンドウズ時代が始まった。そして今年2015年7月、「ウィンドウズ10」の無料更新が始まった。OSのライセンス供与を収益の柱とする時代が終わり、クラウドを主軸とするサービス会社を運営する方向に舵を切ったのである。

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台湾EMSの巨頭、鴻海を猛追するペガトロン(2015年8月21日)

2015年08月21日 | 随筆

桑原名誉顧問からの投稿

台湾EMSの巨頭、鴻海を猛追するペガトロン (2015年8月21日)

 
 台湾経済界はEMS(電子機器の受託製造サービス)最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が過去9年続けて君臨してきたが、近頃その座を脅かすライバルが出現した。社名をペガトロン(和碩聯合科技)と言い、パソコン大手のエイスースから分社した会社である。
toukou-2015081801

 
 エイスースが受託製造だけに飽き足らずに自社ブランドの製品を出荷したことから、委託元がノウハウ流出を恐れて発注を控えるようになったため、対策として生産部門を分離した。分離・独立は08年のことで、新会社は社名をペガトロンとした。ペガトロンとは、ギリシャ神話に出てくる飛翔する馬「ペガサス」にちなんだ名だという。

 
 当初はノートパソコン専門のEMSで、エイスースで培った設計ノウハウや素材の目利きを活かし成長した。その後ネットブックスマホなどに手を広げ、13年のアイフォーン「5C」の大量受注で存在感を高めた。15年に発売が見込まれる次世代アイフォーンはその5割強をペガトロンが受注すると見られている。

 
 アップルはアイフォーンやアイポッドの多くを鴻海に発注してきた。しかし自社の主力製品を1社に依存するリスクを軽減したいとの発想と、鴻海がアップルに連絡することなく部品調達先を変更するなど完全には制御できなくなった事例から、調達先を分散させようとしている。こうした環境の下でペガトロンの飛翔が始まった。今後の成り行きが注目される。
toukou-2015081802

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