こんにちは。
今日、Y先生からこの本が返って来ました。
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昨日の続きです・・・また、3~4分かかります。
世界一になった辻口さん、「手放しで喜べない」と言われてました。
国内外からのオファーが来たにも関わらず、
~やり残した事があるから~と洋菓子の本場、フランスに半年間の修行に出かけます。
帰国後の1998年、30歳の時、念願だった店「Mont St.Clair」(モンサンクレール)を
自由が丘にオープンします。
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当時のオーナーから納得のいくケーキ屋を作ってみなさいと、声をかけてもらい夢を叶えます。
けど、現実は閑古鳥の鳴く毎日。半年で借金が2000万に・・・
毎日大きなゴミ箱3つもの売れ残りのケーキを捨てていたそうです。
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辻口さんはオーナーが用意してくれていた6万枚ものチラシを敢えて
断ったそうです。接客も製造も指導が出来ていないのに宣伝だけが先走ると
逆に6万人の敵を作ることになる。
自分は20年、30年先まで残る店を作りたい、と考えていたそうです。
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そんな赤字続きの経営が、ある事がきっかけでひっきりなしに客の絶えない
有名なお店になりました。
「料理の鉄人」への出演です。料理人に7人のパティシエが連敗していた時、
辻口さんにオファーが! フジテレビの名物プロデューサーからは
「お前、明日負けるよ!」と言われたそうです。
「やらせかよ!」辻口さん。。。
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かねてから、もし、自分が出演したら、とシュミレーションしていたそうです。
パティシエが料理人に勝つには計量しないで自分の手で計る。計っていたらその時間に
料理人は2品作る事が出来てしまう。当然負ける。
自分の手の一掴みで粉は何グラム、グラニュー糖は何グラムになるか、いつも
一定に計れるように練習されていたそうです。
イタリアンの鉄人とバナナで対決して見事、勝利をおさめます!
全く同じものをぶれずに作るには計量は必要だが、美味しいものを作るには
計量は必要ない。 なるほど、なるほど、凄い。。。
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パティシエが料理人に勝った事で世の中でパティシエと言う仕事が
しっかりと定着されるようになったそうです。
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モンサンクレールへの道を聞かれれて、答える事がほとんどの仕事になった
自由が丘のお巡りさん。完全に人の流れが変わったそうです(^-^)
そんなある日、14年間失踪していて行方不明だった父親と奇跡的な再会が。
辻口さんの活躍をテレビで見ていた江戸川区の職員さんが、
昨日、病院に運んだ末期がんの男性、よく似た話をしていた。
身元引受のために辻口さんに連絡を取ったそうです。
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でも、名前が違う。「品川」と名乗っている。
それは辻口さんのお母さんの旧姓でした。
有名になって成功した息子に迷惑をかけたくない親心だったようです。
痩せ衰えて半分ぐらいのカサになった実の父親を前にして、14年ぶりに会った辻口さん。
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母親も呼んで、14年間の恨みつらみをぶちまけたそうです。
「ふざけるな!!!・・・」積年の思いを吐きだした辻口さん。
どんな思いで母親が兄弟を育ててきたか・・・
そして、一晩考えたそうです。父親に対して憎しみが強かった自分。
よくよく考えたら、親父が借金を背負って「紅屋」を潰さなかったら
俺はこんなに頑張らなかったかもしれない、俺も同じように潰していたかもしれない。
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あの親父がいなかったら、今の自分も無いのかな・・・
そう考えたら、言いたいことを言ったら、気持ちが晴れてきた。。。
親父が許せるようになってきた。。。
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14年ぶりに会った息子に、末期がんの患者に対して恨みをぶちまけられた
親父はどんなにか寂しかっただろうか、妻子を捨てたことで苦しんでいた
親父も過酷な14年間だったのではないか・・・。
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親父がいないからこそ自分は頑張れた・・・そんなふうに気持ちが変わって行ったそうです。
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そして、お父さんにこのお菓子を出しました。
セ・ラ・ヴィ(C'est la vie) フランス語で「人生」
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ブログの最初に載せた子ども向けの本のイラストはこのケーキが元に
なってます。
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ラズベリーの甘酸っぱさとピスタチオの香ばしい香りをホワイトチョコレートで
包みました!
日本人でありながら洋菓子に魂を注いできた辻口さんの人生を映したケーキです。
お父さん、食べて10秒ぐらいしたら涙を流し始め、ビックリするほど泣いたそうです。
それにつられて辻口さんも涙が・・・
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捨てられたと言う思いがあったけど、父がいたから自分がこの世にいる。
「子どもは親を憎めない」
辻口さんのこの言葉は簡単には言えないと思います。
この後、5年して2004年37歳の時、和のスィーツ専門店をオープンします。
実家の「紅屋」の再建とも言えるブランドは父親へのプレゼントです。
「和楽紅屋」と言います。
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新しい紅屋の再建を瞼に焼き付けて、手厚い看護の末、お父様はこの世を去ったそうです。
父の日にこんな父と息子の話をテレビで見て、ちょっと涙しました。
たまたま、今日、読書サークル6月例会で、課題本が後藤健二さんの「ルワンダの祈り」でした。
「ゆるし」がテーマだっただけに、心に残る今年の「父の日」のインタビューが忘れられなく
長いブログに書き留めてみました。
辻口さんはこの後も「日本スィーツ協会」の設立、
「スーパースィーツ製菓専門学校」開校、と精力的に働かれています。
そして、スィーツを通しての教育、世界平和へと壮大な展望も
聞かせてくださいました。
どうぞ、お身体に気を付けて、ますますのご活躍をお祈りします。
ご訪問ありがとうございました。 ごきげんよう