ちょっと寄り道

日々のつぶやき、ガーデニング

勇退

2010-06-10 23:19:07 | ひとり言

 我が家では10年以上同じ調律師の方にお世話になっていて

 娘がピアノを止めてしまってからは、2年に一度のお付き合いになっていました

 調律師らしからぬ大柄な体格と、柔らかな物腰

 かなり年配の御老人なのだけれど

 上質なスーツを着こなし、いつもイブサンローランの靴を玄関で綺麗に揃えて

 ニコニコしながら入ってくる紳士でした


 社交辞令のような会話の苦手な私は、「珈琲もお茶もいりません」と言う

 彼の仕事の姿勢にとても好感を持っていました

 2~3年前に体調を崩し倒れた・・と言う話を聞いて

 もう調律は彼じゃない始めての人になるのかと思うと

 ちょっとブルーな気持ちになっていました


 そんな時その方から電話があり

 「お客様は〇〇様だけにしておりますので、ご要望があればいつでも伺えます」

 そんな電話を頂いて、ありがたくお願いしたのです


 ピアノの前に座った彼は、ちょっと言葉が不自由で、片方の指先も

 少し硬直していました・・。

 それでも明るく「大丈夫ですよ。耳は確かですから^^」・・と一言。

 私には何の不満も感じる事の無い、いつもと変わらない淡々とした時間

 それでも2時間弱の時間は結構ハードだったに違いない

 外では、奥様が車の中でずっと待っていました・・。

 そんな付き合いを4~5年続け、この春彼がついに仕事をおやめになったと

 会社の方から電話がありました


 自分の仕事に誇りを持ち、自分の仕事をこよなく愛していた

 プライベートな話は決してせず、

 ただ自分の健康だけを、自嘲気味に話す方でした


 今頃は、お孫さんに囲まれて、ゆったりと毎日を過ごされているのでしょうか
 
 どうか幸せな毎日をお過ごしください

 そう願わずにはいられない、長い長い時間のお付き合いでした

                
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