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“文学少女”見習いの、卒業。

2010-08-31 23:40:46 | コミック・ラノベ
"文学少女"見習いの、卒業。 感想



 『"文学少女"見習い』シリーズ、完結。



"文学少女"見習いの、寂寞。

 菜乃の親友、冬柴瞳をキーパーソンとするお話。

 突然、瞳と付き合うと言い出した、心葉。
 その真意を探るため、菜乃は2人をストーキングする。
 そんな菜乃と一緒になって、涙目でストーキングする、ななせが笑えた。


 今回の題材は、夏目漱石の『こころ』。
 瞳と忍成先生の秘密を知る心葉は、ヒントとして菜乃に『こころ』を手渡すのだが、

「カッコいい同性にドキドキしちゃうのって、よくあります。だから櫂くんもKや"私"みたいに、先生のことが好きだったとしてもおかしくないです。一方、先生は、誰のことも愛せない孤独なクールビューティーで、『こころ』の先生みたいに悪気なく男心をもてあそんで、それで痴情がもつれて、こんがらがっちゃったのかもしれません。
 ただ、そこまでハードになってしまうと、わたしの感覚では理解できないんですよね。男同士の愛を否定するつもりは、まったくないんですけど……。『ヰタ・セクスアリス』とか『仮面の告白』とか読んで、がっつり勉強すべきでしょうか?」

「なんでそっちへ行っちゃうの! てゆーか、きみの頭の中では『こころ』の先生は、すでに男心をもてあそぶ魔性のクールビューティーで確定なの? まずその認識をあらためるべきだ。夏目漱石が草葉の陰でひっくり返ってるよ。それに、忍成先生と櫂くんだって勝手に同性愛者にしたら気の毒だよ」

 色々あって、菜乃はボーイズラブ説を主張しだしてしまう。
 この作品を読んで、そう捉える人がいるとは思わなかった……。
 調べてみたら、実際、外国では、同性愛小説として読まれてたりもするらしい。恐ろしい。


 櫂が3人で観たかった映画が『青空ソラに似ている』だったいうのは、やられた。
 心葉が、自分が『青空に似ている』の作者「井上ミウ」だと名乗り、羽鳥と樹の“現実”を語るシーンが泣ける。


 『卒業』の話になるが、瞳の「これから先生のあとを追いかける」が文字通りの意味だったのには驚いた。
 てっきり、近い将来、出国するという意味だと思っていたら、もうコンゴでの生活をスタートしたとは。
 まだ高1だったというのに、どうやって日銭を稼いでいるんだろう? 忍成先生の家で家事手伝い?



"文学少女"見習いの、卒業。

「日坂菜乃さん、ぼくはきみが大好きです」

 『卒業』は、心葉のこの一言に詰まっているなぁ。
 第一巻『初戀』で「大嫌いだ」と言われた菜乃は、最後に叶わない願いを叶え、そして失恋する。


 題材は、アントン・チェーホフの『桜の園』。



「ようこそ、新しい生活」



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