平の高房は、元々木材を扱っていたご主人が始められたお宿ということで、木をふんだんに使用していて、建物がぜいたくそのものだ。
玄関を入ると今では珍しくなった下足番の方が案内してくれる。そしてここから上がる階段の幅も広く、フロントに上がる。
そこに続くロビーは天井が高く、なんとも大きな空間をゆったり使っている。これが時間の流れをゆったりさせてくれる、このロビーの広さは特筆ものだ。
チェックイン手続きをすると、いつもの中居さんが部屋に案内してくれる。そうお互いに顔なじみなのだ。
以前も記事にしたが、こちらの女将さんは上品で知的なイメージの方だが、中居さんたちとの会話を聞いていると、ほんとに対等に話されていて、スタッフさんのESの高さがうかがえる。
またいい意味で素朴な佇まいのご主人も、ほんとにお人柄が見えるような方で、夕食時もご主人も女将さんも一スタッフとして汗をかいている。
料理は囲炉裏で仕上げるイワナや一升べらなどに加えて、山の幸を中心にしたもので、質も量も満足させてくれる。
そしてこちらの凍結竹酒が抜群に美味しく、ついつい飲みすぎてしまう(苦笑)。そうそう食事処も屋根が高く、ゆったりしているので密とは程遠い。
この空気感が最高のおもてなしだ。こちらの中居さんや下足番の方などもすべてがおもてなしに徹してご対応いただいているのが気持ちいい。
そうそう、こちらのお宿は、夕食時におふとんを敷きにきてくれて、朝食時にはおふとんを上げにきてくれる。
最近は、チェックイン時には敷いてあって、帰るまでそのまま・・・というところが多い中、ある種昭和なサービスがオヤジ世代には心地いい。
コロナ禍で、そういう対応が気になる方もいらっしゃるかとは思うが、個人的にいえば、ある種ノスタルジーも感じるおもてなしのひとつひとつが、ご主人と女将さんのお人柄のなせるものと感じられる。
最初におじゃました時は、売店の対応を今は亡き大女将がされていた。当時、すでに90歳になんなんとする貫禄だったが、とても魅力的な方で、ご主人のお人柄も大女将からのDNAとうかがえた。
今も、温泉の成分評価の申請書には大女将の名前が書いてあるほどだ。
さてチェックアウト時に玄関のところで話声が聞こえてきた・・・下足番の方と番頭さんが世間話をされていたのだが、それもまた自然なもので、嫌な気分にならないのは、全員がおもてなしのマインドがしっかりされているからだろうか。
帰りは車が見えなくなるまで、番頭さんが手を振って見送ってくださった。こうしたひとつひとつが、自然で気持ちいい・・・
同行者と、「やっぱりいいお宿だね」と確認しながら帰路についた。
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