さて、兼好を楽しんだ小生、その後軽く昼食を食べ、なかの芸能小劇場に戻った。そう、この日は12:30から小里んの独演会があるのだ。
実は、オフィス10が発足したのが昨春。そこから早くも100回を数えたということで、その記念にこの会へのご招待を受けた次第。
柳家小里んという噺家はご存じない方も多いと思う。マスコミには売れていないが、先代小さんの弟子で、今の風貌は小さんにかなり近くなっている。
さて開演。開口一番は小多けだ。以前も聞いたことがあるが、始めたのが「出来心」。結論からいうと昼食後の眠気に負けてしまった。
テンポもまったりして、しかも最後までやり・・・30分は長い・・・
と、気をとり直して小里んの登場だ。最初の一席目は、季節感のあるマクラから「青菜」に入った。この辺なんかは小さんの匂いがプンプンする。
逆にいうとオールドファンにはなんとも安心して聞いていられる。これだよこれって・・・そう、風貌だけでなく、口調や演出も小さんによく似ている。
最近、こってりした演出の青菜ばかり聞いていたが、この青菜は緑のシャキッとした感じが漂うみずみずしい、いい青菜だった。
中入りを挟んで再開。相変わらず中野区役所近くということで、都議選の選挙カーの声が時々入るのが嫌だが・・
出囃子が・・・おお、「序の舞」だ。小さんの出囃子じゃねえかって。黒っぽい紺の高座着で、これは重い噺かなと・・・
と思ったら、なんと「山崎屋」ではないか。しかし、自慢にもならないが、小里んの話しが始まって、マクラの15秒くらいでネタが判明した。
これは小生が通だというのでなく、小里んのマクラが基本通りのオーソドックスなものだからで、これまた古典的な展開だ。
確かこのネタは以前中野ゼロで聞いた・・・と思ったら、2010年に三三がやったのを聞いて以来だ。
これまた奇をてらった演出もなく、安定した仕上がり。飽きさせることもなく、しっかりとサゲまで。
大満足で帰路についた。帰路で思ったことがある。喬太郎は小生お気に入りの一人だが、いわばラーメン二郎みたいな・・・と評したことがある。
すなわち、一度食べるとやみつきになるか、二度と口にしたくないかという芸だが、小里んや兄弟弟子の小袁治は、昔ながらの中華そばの味わいだと。
毎日食べても飽きのこない芸だが、変化や強い味付けを好む向きには物足りないのかもしれない。
この会場は110名という小さなところだが、それでもまだまだの入り・・・複雑な気分にはなった。
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