千葉県の房総半島南部の旧国名は安房(あわ)なのでこれを一周すればアワイチであり、紛らわしいので淡路島一周はアワジイチとでも改名すべきです。そもそも淡路の語源は阿波(徳島県)への道、すなわち阿波路→淡路と変化したものなので、阿波一週とも誤解されかねないアワイチの名は返上するのが筋というものでしょう。もっとも阿波一周は距離540km・獲得標高10400mにおよぶので、普通の人間ではちょっとクリアできそうにないですが。
とはいえアワイチ=淡路島一周というのが世間一般の認識であるのも事実。仕方ないので、とりあえず安房一周は正統アワイチとでも呼ぶことにしましょうか。
まずはコース設定ですが、そもそもどこからどこまでが安房だったのか。これは簡単で、現在の南房総市・館山市・鴨川市・鋸南町の三市一町がその範囲です。
それを一周するコースを引いてみたところ、海沿いは平坦が続きますが山側は小規模ながらヒルクライムもあり、距離150km・獲得標高1300m程になりました。なかなか走り甲斐のあるコースではないでしょうか。

スタート地点は安房の北東端、安房小湊駅。ここから時計回りに一周していく計画です。今日は一日中北東風が吹く予報だったので、風が強くなる海沿いで追い風になることを狙っています。
ちなみに、八街からはこちらの方が近かったのですが、東京方面からだと内房線の保田駅の方が便利でしょうね。


まずは海沿いをひた走り、房総半島の南端・野島崎へ。安房鴨川駅周辺では海に近い路地を走りましたが、それ以降は国道128号→房総フラワーラインと道幅のある快走路が続きます。このあたりは計算どおり追い風が続き、心拍数を130程度に抑えながら35km/hで巡航。順調に進めていますが、後半は向かい風になるのがわかり切っているので今から憂鬱です。

この区間はアップダウンが少なく単調な景色が続きます。この橋は見晴らしに変化がある数少ないポイント。

野島崎についたのは11時前、ちょっと早いですがここでお昼。アジづくし定食というのを頼んでみたら、たたき・アジフライ・さんが焼と品数がやたら多くてビックリ。自転車を店内に入れさせてくれたし、大変フレンドリーでよいお店でした。
さてここからは進路が北西に変わり、追い風の恩恵がなくなります。州崎を過ぎてからは向かい風基調に変わり、ペースはじわじわ落ちていきます。

保田から県道34号に入ってすぐのところにあるのが道の駅保田小学校。廃校になった小学校を改装して道の駅にした変り種です。

給食スタイルの食堂なんかもあり興味はあったのですが、まだそんなに空腹でもないのでソフトクリームで一休み。
さて。ここから鴨川に戻るには県道34号を東に走ればいいのですが、単純にまっすぐ進む訳には行きません。なぜかといえば、この道は富津市を通るところがあり、安房から出てしまうのです。安房一周中に安房から出ちゃダメでしょ、というわけで・・・
このルートで迂回することにします。

迂回路に入ってしばらくすると、早速鄙びた雰囲気になってきました。といっても沿道には農家が点在しており、交通量がまったく無いわけではありません。ここは房総なので標高は高くありませんが、短いながらも15%近い激坂が連続します。ルートラボでルートを引いている時はこんなに急な坂だとは思っておらず、完全に当てが外れました。ここまで100km以上走って消耗していることもあり、歩いたほうが早いんじゃないかと思える速度でチンタラ登っていきます。かろうじて脚は付かずに走りきりましたが、息も絶え絶えでした。
また厄介なのが下り坂。狭くて急で路面が悪く、加えて人や車が結構いるので怖くてスピードを出せません。今回は安房一周という縛りがあるため仕方ないのですが、あまりお勧めできる道ではないですね。


とはいえ、農家があるだけにこういう眺めの良い場所もあります。隠れ里っぽい雰囲気ですが、何でこんなところに田んぼを切り開いたのか、想像してみるのも楽しそうです。
このあと県道34号に合流し、出発地点の安房小湊に向けてひたすら東へ。そして安房天津のあたりで北にそれて林道に入ります。ここからが安房一周最後のヒルクライム。
安房と上総の国境は丘陵地帯ですが、国境沿いに尾根を伝うルートは全くと言っていいほど無く、平坦な県道34号を通るしかありませんでした。この林道天津線→奥谷線のルートは安房から出ない唯一のヒルクライムだったので、正統アワイチにはぜひ組み込みたかったのです。

この天津神明宮という神社が林道天津線の入り口。最初のうちは農家が点在する穏やかな道ですが、徐々に険しい道に変わっていきます。

この道の標高は一番高いところでも300mに届きません。だからそんなに激坂ではないだろう・・・と予想していたが甘かった。下りと平坦をちょいちょい挟みますが、登りになると10%は当たり前、きついところだと15%オーバーになります。先ほどの迂回路と向かい風で大ダメージを受けており、ただでさえパワー不足の俺の脚にはかなり過酷な斜度でうんざり。
とはいえこのヒルクライムで今日はおしまい。最後の力を振り絞って何とか登り切ったものの、さすがにしんどかった。


登りきったところから、林道奥谷線→県道285号を通ってスタート地点の安房小湊にゴール。所要時間は昼飯などすべて含めて約9時間でした。
・・・というわけで正統アワイチを走ってみましたがいかがでしたか。関東人にとっては淡路島一周なんてそうそう行けるものではありませんが、安房一周であれば気楽に行けるはずです。ここはひとつ正統アワイチを盛り立て、アワイチを僭称する淡路島一周からアワイチの名を取り戻そうではありませんか!(阿波の方をチラ見しながら
