◆彗星の正体
彗星は太陽系の彼方から太陽に近づき、そしてまた太陽系の彼方へ帰っていく星で、その正体は数十キロの大きさの「汚れた氷のかたまり」です。そのかたまりが太陽に近づくと表面がとけはじめ蒸発したガス(イオンテール)やチリ(ダストテール)が吹き飛ばされて尾ができるのです。
◆彗星の故郷
再び同じ彗星を見るには数十年から数万年かかるといわれていますが、ハレー彗星(周期76年)など周期の短いものを短周期彗星、周期が200年以上のものを長周期彗星と呼びます。ヘール・ボップ彗星は長周期彗星の仲間で、太陽から約560億㎞(太陽~冥王星の10倍の距離)のところからやってきました。このような彗星の故郷は「オールトの雲」と呼ばれ、太陽系をぐるっと取り囲んでいると考えられています。約46億年前、太陽系が誕生したころに惑星になれずに取り残された物質が太陽系の果てにたくさん散在していますが、それらのうち何かのはずみで太陽の引力に引き寄せられて太陽の周りを回るようになったものが彗星です。
◆ヘール・ボップ彗星の発見からの歩み
95年7月23日、アメリカ人のアラン・ヘールとトーマス・ボップによって発見。絶対等級では人類の目撃史上1~2位の大型彗星。発見時の地球からの距離が約7天文単位(約10.5億km、木星軌道の外)と遠いのに見かけの明るさが11等級もあり、これはハレー彗星の百倍の明るさになる。直径は20~40㎞。速さは発見時で秒速16㎞、地球や太陽に接近した時で秒速44㎞。地球との距離は最接近の97年3月22日に1億9700万㎞、太陽との距離は4月1日に1億3700億㎞まで近づきました。