今年、園長は降誕会の話に宮沢賢治さんの代表作でもある「ツェねずみ」の話をしました。原作はとても素晴らしいのですが、5分くらいで話をしないといけなかったので、多少脚色しながらお話させていただきました。貸出絵本として注文していますので、いつか子どもたちが借りて帰るかもしれません。
この話に出てくるツェねずみという主人公は、その名の通り「チェッ」とすぐ舌うちするような性格のねずみです。ある屋敷の屋根裏にすんでいます。ある時、友だちのイタチが戸棚にある金平糖(子どもに説明しにくいので、美味しそうなクッキーとしました。)を見つけてツェねずみに教えます。喜んで金平糖を取りに行きますが、すでにアリの兵隊がきていて追い払われます。「こんな弱いねずみをだますなんて」と、イタチに言い決めゼリフ「償ておくれ(まどってくれ=わかりづらいので、つぐなっておくれと代えました)」としつこく言うので、親切で言ったつもりだったイタチはカンカンになりながらも自分でとってきた金平糖を全部やります、こんな性格のねずみなので動物は誰も相手をしなくなり、ついには柱やバケツ、チリトリ等と友だちになります。ところが柱さんが冬の支度にツェねずみにすずめの巣にある羽を拾っておくといいと言うと、喜んで何度か巣に羽を運びます。そして足を踏み外しこけてしまいます。柱はとても心配して怪我がないかと気を使うのですが、ツェねずみは柱にも「いなぬ指図をするからこんな痛い目にあった」と言い「償ておくれ」と言いだします。
またある日チリトリはツェねずみに最中をやりました。次の日ねずみは腹痛をおこし、チリトリニにも「償ておくれ」と言いだします。
バケツは洗濯ソーダをやりました。毎日これで顔を洗うことをすすめたがゆえに、ひげが10本程ぬけたとケチをつけ「償ておくれ」としつこく250程言います。
そんなねずみにもう誰も近寄らなくなったのですが、たった1人だけまだこのねずみと近寄っていないものがいました。それは、ねずみの大敵である「ネズミとり」でした。
ネズミとりは毎日ツェねずみに「あそびにおいで、今日は魚の頭がえさに置いてあるよ。大丈夫、しっかりと入り口を押さえておくから」と誘います。
「へん、うまく言ってらぁ」とネズミは相手にしませんが、ある時「今日はおいしいはんぺんだよ」と言うと「本当にエサだけくれるのかい?」と言い中に入って食べました。
何事もなく帰り、それから何度かえさにありつき調子にのったねずみは、「今日も来てやったぞ」とえさそうに行って入るようになりました。
すると「今日のはんぺんはくさっているではないか。こんな弱いねずねをだますなんて」
「償っておくれ」その瞬間、怒りで手をすべらしてしまい、うっかりとぬずみとりの入り口が閉じてしまいました。
怒ったねずみはねずみとりの針金をかじったり、あばれたりしましたがもう二度と外へ出られなかったという話です。
みなさん、このツェねずみさんのことをどう思いましたか?
こんなひどいねずみはいやだなぁと思いましたけど、もっとよく考えたら自分のことだなぁと思いました。みんなにもこのねずみさんのような事があるはずです。
人の親切や恩にたいして、ありがたいと思わない者はけっしていいことにはなりませんね。。。