街道をゆくシリーズは40巻を越え、中には海外の街道のものまである。
全部読んだ訳じゃないし、全部読む気は無い。
気になる街道があるとつまみ読みする感じで何巻か持っている。
街道をゆく・司馬遼太郎
バイク乗りにもいろいろとあるだろうけど
カスタムやメンテのバイク弄りも必要最低限だし、
いつもバイクをピカピカに磨き上げているなんてタイプじゃ無い。
もうスピードは求めていない。
景色でも眺めながらのんびり旅したい。
そうなって来ると旅をどう楽しむかがとても大切になって来る。
ただただ人馬一体を求めて駆るのか
流れ去る景色の中に移ろう季節を楽しむのか
それもいいだろう。
しかしもう一つ、街道の云われを知っていたなら、
その旅は深みが増すってもんだ。
同じように道路を走っていても、この路は昔の〇〇街道だなって知っていれば
ちょっと気持ちが違うんじゃぁ無いかなって思ってる。
富山から飛騨高山へ向かうR41は旧飛騨街道(越中東街道)だ。
飛越の堺近くに茂住という小さな集落がある。
バイクで駆って行くと1分程で通り抜けてしまうような小さな集落だ。
街道をゆく・29に飛騨紀行がある
「金銀のわく話」という章があって、昔茂住に金銀が出る鉱山があってたいそう賑わっていたという。
山々を削って流れる高原川と並行してR41が茂住を南北に縦断している。
峡谷の集落に平地など殆ど無い。
そんな集落に鉱山の最盛期には数千人の人が住んで、妓楼や酒店が軒を連ねていたというのだ。
当時の里謡の歌詞に
酒は酒屋に、良い茶は茶屋に、女郎は茂住の銀山に とある。
高山へのR41は年に数回駆るツーリングコースだが、
一分も掛からずに通り過ぎてしまうこの集落を抜ける時
ボクには領主宗貞の城のような屋敷や、軒を連ねる妓楼、酒店
往来を行き交う人々の賑わいが見える気がして実に爽快だ。
百寺巡礼・五木寛之
この本も上記「街道をゆく」と同じような使い方をしている。
たとえ横を通り過ぎるだけだったとしても
そこにある寺の云われや歴史を少し知ってるだけで
見えて来る景色は知らない人のそれとはやはり違う。
いつか時間を作って
いつも通り過ぎてしまっている奥能登の
阿岸本誓寺を訪ねてみたい。