株式をあらかじめ定めた条件で購入する権利を、新株予約権という。
投資をしていると、企業がそれぞれの方針により、役員へ新株予約権を報酬として払っている(この場合、新株予約権はストックオプションと呼ばれることもある)局面に出会う。このとき、「どのような条件で役員に渡しているか」を見ると、株主に対する考え方が分かる。大まかに、割安で買えるかどうかが分かれ目である。割安で買える場合には、例えば今後10年間にわたり1株1000円で〜万株まで購入できる権利などがある。
このような予約権があると、株主は今後の価値向上から、予約権行使による株価の引き下げを考慮しなければいけない。これは計算しやすい架空の会社を考えるとわかりやすい。
5万株発行している会社に対して、時価総額が5000万円、1株1000円のときに1万株、1000万円分買い付けたとする。そしてこのとき同時に1000円で株式を買える新株予約権が1万株役員に配られたとする。
1株1500円、時価総額7500万円まで上がってきて、自分はそろそろ売ろうと考える。
5万株あるうち1万株持ってるのだから、自分の持ち分は1500万円で、当然利益は500万円だ…と考える。
しかしそのとき新株予約権が全て(1万株)行使されると、時価総額7500万円に対して発行株式は6万株になり、自分の持ち分(1万株)は時価総額の6分の1、つまり1250万円に目減りしてしまうのだ。
250万円はどこにいったのかといえば、役員の手元にいったのである。役員は1000万円を払い込むだけで1万株、すなわち1250万円を手に入れたのだ。
最近でも、転職しないことを行使の条件として長期にわたり固定価格で新株予約権を発行する企業は存在する。確かに、「役員を株主とすることでオーナーシップをもって働いてもらう」「引き留めておく」という目的はあるのかもしれない。
しかし「ストックオプションだから株を買う」「やめようか悩むけど、ストックオプションが得だからやめないでおこう」という位の気持ちでいる役員に、どれほどのオーナーシップや主体的な働きが見込めるのだろうか?
役員にオーナーシップがあれば、自分で株式を買うこともできるのだ(売買期間を限定することでインサイダーのリスクにも対処可能なはずだ)。
現金で払えば報酬の金額はその場で明確になり、投資家として企業価値影響を評価しやすいところ、ストックオプションだと権利行使(いつあるのかも分からない)まで最終的に株主資産にいくらの費用を計上するのか現実には分からない。
その意味で、ストックオプションは株主・投資家を不利な立場にしているといえる。家計を元手に動く個人投資家が増えつつある中、投資家を不利にする動きは減らすべきだと思うし、投資家はそうした企業活動に気をつけるべきだと思う。
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