新装!中島賢介研究室

勤務大学における授業内容や雑談に関する説明などを中心に綴ります。よかったらお立ち寄りください。

本日の石川日独協会

2010-02-17 09:06:53 | 子育て
 本日の石川日独協会は、今回新しく会員になられた元吉瑞枝さんをお迎えして、「ベーター・ハントケの人と作品について」という講演会を催します。
 その予習にということで、昨日から元吉さんが訳された『幸せではないが、もういい』、『空爆下のユーゴスラビア -涙の下から問いかける-』と、
 阿部卓也訳の『こどもの物語』を通読しています。

 語学研修という名目で、学生時代にドイツに2ヶ月ほど行ったことがあります。
 細川政権が誕生したというニュースもドイツで知りました。
 もう一つ知ったことは、ユーゴ情勢の凄まじさでした。
 日本においては、まだまだ大々的に報道されていない時期だったので、自分が今ヨーロッパにいるということが恐ろしくなりました。
 しかし、それよりも恐ろしかったのは、すでに数百万人の難民・避難民が出ているというのに、ここドイツがとても平和なことでした。
 (もっともネオナチがトルコ人施設を襲撃したという事件がありましたが)

 先日、世界遺産の番組で、コソボの中世建築群を特集していました。
 その建築群はそこを空爆したNATO軍が警備しているとの話を聞いて、民族間の溝の深さを映像を通して知ることができました。

 ハントケが内戦当初から反対表明を行ってきたのは、自分がスロベニア人の母親から生まれたことと決して無関係ではなかったと思います。
 その母親の死を契機に、母親の生涯を作品化したのが『幸せではないが・・・』です。ハントケから見た母親が妙に屈折したタイトルに表われています。
 そのハントケ自身が今度は親になり、子育てしている姿を書いたのが『こどもの物語』です。これはかなり身につまされる思いで読んでいます。
 にわか通読の段階で、かつそれ以前に発表された作品を知らない私にとって今回の講演会もとても楽しみです。