旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

チベット十字絞りティクマのホース・ブランケット「タ・ケップ」

2024年01月20日 | チベットもの



ティクマ(またはティグマ)を追いかけて、
もう10年以上は経つだろう。

今まで、
多くのティクマ柄を扱ってきました。

今回は、
チベット仏教の十字紋様ティクマの
白地のホース・ブランケットです。

「ティクマ紋様」と一括りに言えど、
対象となる物、
古さや色は勿論の事、
現地での価格、
デザインや形、
来歴や、用途や、大きさは、
様々であります。

ティクマが表現される対象は、
結婚式等の祭事用の十字絞り柄衣装タンザッ(ク)や、
チベット本土の祭事用衣装、
ラダックやザンスカールの民族衣装ゴンツェやリンツェ、
僧侶の座布団など多岐に渡ります。

なお、
ティクマは、
「ティグマ」と表記する場合もあります。

僕は、チベタンの発音上、音聞き上、
便宜上、今までも「ティクマ」と表記しています。

今回は、
ティクマ紋様の物の代表格とも言える、
ホース・ブランケット「タ・ケップ」の紹介でござる。

チベット語で、
タは馬、
ケップは布を表すので、
「馬布」となるでしょう。

馬の鞍の下に敷く馬具ですな。

正確には、
古い物と新しい物を区別する為に、
古いホース・ブランケットは、
ニンバ・タ・ケップとなるかもしれません。








十字紋様の表現方法は、
絞りだけではなく、
織り、刺繍や押印、摘んで染める、など
色々あります。

これは摘んで染色する方法。
一見、押印(スタンプ)に見えるけど、
染色手法は異なります。

そして、数が少ない、
白地ベースの古いタイプ。

地の生地は柔らかい手織り羊毛。






裏地も様々で、
しょぼいプリント柄の裏地が付いている場合もあるが、
これはフェルト状の無染色の羊毛原毛。





良き。




上部(馬の首元側)の生地の色や種類も色々あって、
これは上部と左右部分にはコーディロイが用いられている。

コーディロイ生地の下地にも、
十字紋様は残っております。




古い。
実用されていた痕跡が残るオリジナル。

良い雰囲気である。




大きさもある。
かなり大きな部類。
厚みもある。

実は写真上、同じに見えても、
大きさが異なる場合もある。
同じ、ホース・ブランケットでも
小さなサイズもありますて。

もちろん、古さも様々です。


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今や、
「もう新しい物は入ってこないよ」と誰もが言う。

そして、
前回の僕が現地滞在中にも、
一枚、他の店で、僕が見送った物が売れていたのも知っている。

かつては、あまり注目されていなかった筈である。

今や、古く良い、オリジナルのティクマは、
数も極めて少なくなってしまった。

いずれ、姿を消す物でしょうね。


以上、
サクッとティクマ紋様のホース・ブランケットの紹介でした。




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