「モグラ原っぱのなかまたち」1968/1/1
古田足日
この本は、たぶん小学校3、4年生あたりで読んだのではないかと記憶しています。
学級図書で借りたか?図書室で借りたか?記憶が定かではないのですが、ギリギリまで返却せず繰り返し読んだ記憶があります。とにかく面白かったのです。
それから何10年もたって、古本屋で見つけたときは、懐かしくて思わず手に取って、購入することにしました。
その後、本棚の奥にしまい込んでいて、すっかりその存在を忘れていましたが、今回何10年かぶりで読んでみることにしました。
時代背景は昭和の高度成長期ごろでしょうか?
東京のはずれにある小学校の、2年2組の仲良し4人組(あきら、なおゆき、かずお、ひろ子)が主人公。
1話目は、川口さんの畑のカボチャ全部に、マジックインキで「へへののもへじ」を書いたという話。
この4人組がやったことは、バレていて、さらに夏休みの宿題帳も出していないという・・・
担任の洋子先生から「カボチャにいたずらしたのは、きみたちでしょう。そんなんことしてるから、しゅくだいがやれなくなったのよ。いそいで、できるところだけ、やってきなさい」って言われるところなど
なんだか、この時代はのんびりしていたのだなあと感じました。
カボチャは弁償しなくてもいいの?などと大人になった私は心配になってしまいましたが、宿題帳をできるところだけやってきなさいってところは、自分が子供のころだったら小躍りして喜んだかも(笑)
それにしても、子供の頃、なんでこの作品がそんなに面白かったのだろう?
児童書って大人が読んでも面白い作品と、子供だからこそ面白いと感じる作品があるのだな、と感じました。この作品は後者だと思います。
その中で、物語を通して感じたのは、とにかく担任の洋子先生がすばらしい!生徒たちの気持ちをいちばんに考えて行動するところがすごいと思う。ここは素直に感動しました。
あと、「モグラ原っぱ」や「ドーナツ池」、「フクロウ森」などのネーミングにも心惹かれました。
物語の最後は、モグラ原っぱが市営住宅の建設のため、つぶされてしまうというお話で、なんとも心が痛みました。
仲良し4人組が洋子先生や、自分たちの親など巻き込んで、市長に直談判するも
市営住宅の建設を中止することはできず、でも住宅の外れに遊び場の公園を作ってもらう約束を取り付けました。
原っぱがなくなることは、残念なことなのだけれど、洋子先生や子供たちの親や工事関係者など、親身になって子供たちのことを考えてくれた大人がいたという事実は、将来大きな宝物をなるのではないかなと感じました。
私は幼少期を東京の下町、その後は隣県の住宅地で育ったので、あまり自然にふれあう機会はありませんでした。
それでも、小さな空き地などで、おままごとなどしていたなあと思い出しました。今では空き地があってもロープが張られていて、入れなかったりするし、なんか息苦しい世の中になったもんです。