「夏への扉」1979年
ロバート・A・ハインライン
再読です。前回読んだのはたぶん20年以上前で、まだ私が猫と暮らす前だったように思います。
コールドスリープとタイムトラベルを扱った、古典的なSFでかなり有名な作品です。
今回読んでみて、翻訳の文章は古いけれど、内容がとても心に突き刺さりました。
作者も猫を飼っていたからか、猫の習性やかわいらしさがよくわかっていて、猫のピートが冬になると、夏への扉を探すのは本当によくわかります。
主人公のダンが親友と恋人に裏切られ、1970年から30年後の2000年までコールドスリープするところなど、ものすごく共感できて、しかも愛猫と一緒に眠ることができるなら、もしも運悪く目覚めなくともかまわないよなあと感じてしまいました。
P14
「そうだ。冷凍睡眠(コールドスリープ)という手があった。スコッチのグラスをもてあそびながら、いつしかぼくは考えていた。この悩みを、眠って忘れてしまえばどうだ?外人部隊に参加するよりは快適だし、自殺するよりいくらか清潔だ。それに、ぼくの人生をこうまで踏みにじった連中や思い出も、完全にぼくから遮断してしまえる・・」
主人公は30年後に目覚めたあと、今度は30年前にタイムトラベルするという、かなり強引な設定ですが、それが許せてしまうぐらいなサクセスストーリーで、スカッとしますね!
物語の最後の言葉も好きです。天気が悪い時のために、ピートに猫用トイレ?を作ってあげたのに相変わらずピートは戸外に出たがるのだ・・・
P307
彼はいつまでたっても、ドアというドアを試せば、必ずそのひとつは夏に通じるという確信を、棄てようとはしないのだ。
そしてもちろん、ぼくはピートの肩を持つ。