「こころと脳の対話」2011/6/26
河合隼雄・茂木健一郎
臨床心理学者の河合隼雄氏と、脳科学者の茂木健一郎氏の対談です。
P148
河合:違ういい方をすると、苦しんでる人がこられたら、苦しみをとるんじゃなくて、
苦しみを正面から受け止めるようにしているのが僕らの仕事やと思っています。
茂木:逃げちゃいけないということですか。
河合:逃げない。まっすぐに受ける。
だいたい、まっすぐに受けてない人が多いんです。
たとえば「私、困ってるんですよ。だいたい、うちの家内が……」とかいって
奥さんの悪口ばかりいってくる人を、ふつうの人はまっすぐ受けないんです。
「問題はこの人の奥さんか」と思いながら、さっと逃げてるわけですね。
それを僕らのように正面からグーッと聞いていたら、
「いや、もしかしたら私も悪かったかな……」とかいうことになってきて(笑)。
そこに焦点をあてる。
☆感想☆
10年近く前に私もカウンセリングを受けたことがあります。
ペットロスからなかなか立ち直れず、かかりつけの内科の医師に相談し
紹介されたクリニックで受けてみたんですが
これがもう全く合わなくて、数回やってやめました。
その時は、昔のことばかり根掘り葉掘り聞かれて、私は今が辛いんだよ😿
今現在の辛さに、なんで寄り添ってくれないんだよってことでやめたんですが
おそらく、そのときのカウンセラーとの相性が悪かったんだろうなと、今は思います。
生い立ちから現在までのことを、聞かなくてはいけないルールみたいなものがあるのかもしれませんが
おそらく当時の私は、悲しい苦しいという感情を、ありのまま聞いてほしかったんでしょう。
河合先生のお話を読んで、そうなんだよなーってしみじみ感じました。
まっすぐにただただ受け止めてほしかった。そこからあとは時間薬が解決してくれる...
だけど、そういう人との出会いはある意味奇跡に近いんだろうなぁ。
ジョン・ペリーというアメリカの学者のこともすごく興味深かったです。
河合先生が「どうやって治していくんですか」と訊いたら
相手がきたとき、いつも端にいるんだけど「中心をはずさずに」そこにいる。
それができれば、その人は治ると。
これもなんとなくわかります。ただジーっと座って話を聞き続けることってかなり体力使いますよね。
しかも中心をはずさずにってことは、聞き流しているわけではないってことですよね...
ちょっとショックだったのは、P71
河合:僕がよくいうのは、話の内容と、こっちの疲れの度合いの乖離がひどい場合は、
相手の症状は深い、というんです。
河合:だからね、そういう人はかわいそうに、やっぱり人に嫌われるんです。
なんかそういう人と会っていると、みんなしんどくなるから。
☆感想☆
なるほどね。私はいつからか人と話していても、本音を語らなくなってしまっていて
もちろん、それにはいろいろな理由があるのだけれど
聞き手に徹してしまうようになってから、なんとなく人間関係が続かなくなってしまいました。
本心を話さないから、本来の自分との乖離があって、相手もしんどくなるのでしょう。
でも、正直私も、人の話を聞くのにすごく体力を使うようになって、疲れてしまうので
シリアスな話はもう聞けないですね...
趣味の話など、共通の話題がいちばん楽です。