東京都公園通りギャラリーへ。
「共棲の間合い‐「確かさ」と共に生きるには‐」開催中。
会期は2月10日~5月12日。
東京都渋谷公園通りギャラリーは、アートを通しダイバーシティの理解促進や包容力のある共生社会の実現に寄与するために、アール・ブリュット等の様々な作品を紹介する展示事業・交流事業・普及事業を展開している。
今回の展覧会は、住む、暮らす、生活する、共に行うことを起点に表現する3名1組の作家たちの作品や活動を紹介している。
出展作家は、折元立身・酒井美穂子・スウィング・村上慧。
折元立身。
折元立身(1946~)は川崎市生まれの世界を舞台に活躍する現代美術家。
顔にパンを巻き付けて至る所に繰り出す「パン人間」と、自身の母の介護を作品とする「アート・ママ」など、生活と芸術の境界を揺るがす。
「アート・ママ」は折元立身と母親・折元男代(1919~2017)が織りなすパフォーマンス。
男代は藝大受験を7回失敗してとうとう日本の大学には入れずにニューヨークへ渡った立身を見守り続けた。
秩父の農家に生まれ、早くに父親を亡くし12歳から働き続け、3人の子供を育て上げた気丈な男代だったが、認知症と鬱病に蝕まれていった。
立身は約20年にわたり介護を続けた。
出口の見えない辛い辛い日々だったことは想像に難くない。
けど、立身と男代はアートへと昇華させていった。
ここのところ親による子供の虐待死が報じられる。
どの事件がどれだかわからなくなりそうなほどに。
むろん、昔からそういうことはあった。特に継子虐めは。
折元男代と立身親子のパフォーマンスを辿る時、無償の無尽蔵の愛というものがあるとすれば、ここが始まりなのだろうと思うのであった。