流転の底に ・・・ ２．人間となるべく

手拭はその使命上　濡れては乾き　乾いては濡らされる

　　その単なる繰り返しであるかもしれません。


人生も泣き笑いの繰り返しという点では

　　一面手拭に似ているいるけれども

　　・・・　人間の場合は単なる繰り返しでは終わらないはずです。


一喜一憂することによって

人生経験を重ねることによって

　　私たちは　みがき上げられてゆくということがあります。

　　・・・　これを見落としてなりません。



私たちは　生まれながらにして人間であるのではありません。


いうならば
　
私たちは　人間になるべく生まれてきたのでしょう。

私たちは　その生涯をつくして

　　人間となってゆく努力を続けねばなりません。



苦難にあうことによって　・・・

私たちに与えられている力が試され

　　人生経験が豊かになるとともに

　　・・・　私たちの人生が深まり広がってゆくのでしょう。

限りなく広く。


それこそ　どこまで深く広く生きるかによって

　　人間としての生き甲斐がきまるのではないでしょうか。


それが　額に皺（しわ）として刻みこまれて

　　老人の顔を立派に荘厳（しょうごん）してゆくのでしょうね。





＊　２０１０．１１　　東ブータンで