秋に想う2
夜も涼し 寝覚めの仮庵(かりほ) 手枕(たまくら)も
真袖(まそで)も秋に 隔てなき風 (兼好)
夜も憂し ねたく我が背子(せこ) 果ては来ず
なほざりにだに しばしとひませ (頓阿)
「よもすずし/ねざめのかりほ/たまくらも/まそでもあきに/へだてなきかぜ」
「よるもうし/ねたくわがせこ/はてはこず/なほざりにだに/しばしとひませ」
文節の頭文字を繋げると、兼好の場合は「よ・ね・た・ま・へ(米給へ=米を下さい)」になり、後ろから繋げると「ぜ・に・も・ほ・し(銭も欲し)」とつまり「米たまヘ、銭も欲し」と無心したのに対して頓阿の返句が「よ・ね・は・な・し(米は無し)」、「せ・に・す・こ・し(銭少し=お金なら少しなんとか)」「米はなし、銭すこし」と返事した。