原田泰治は3月2日享年81歳で亡くなりました。長野県出身の画家です。私は四季折々、全国津々浦々のふる里を描き続けた絵画が好きでした。彼の絵は見て心楽しくなる画風です。長野県諏訪市には原田泰治美術館があります。日本の素朴な風景画が展示されています。
「蔵の里」
口語短歌
「家並みが ひときわ目立つ 蔵の里 忙しさにも 子供の寂しさ」
1989年9月
福島県・杉山集落は、1本の道をはさみ、どっしりとした土蔵の家並みがひときわ目を引きます。野良仕事に追われる人々が耕運機に乗り、忙しそうに通り過ぎて行きます。残された子供等は道端の草花で寂しさを紛らわせ遊んでいます。(原田泰治)
「ハス(蓮」田の美と労苦」
口語短歌
「蓮の花 朝もやに咲き 神秘的 レンコン堀りの 労苦はいずこ」
198年9月
ハスの田は、見渡す限り、大きな緑の葉の敷物をしきつめた様に美しく見えます。その美しさとは裏腹に、レンコン堀りは根気のいる苦しい作業だと聞きます。しかし、初夏の朝もやの中に咲く、ハスの白い花は神秘的で、レンコン堀りの苦労を忘れさせてくれるそうです。(原田泰治)
「散歩」
口語短歌
「乳母車 スヤスヤ眠る 赤ちゃんを 思わずみかけ 顔がほころぶ」
1987年9月
不思議なことに散歩道は、誰がきめたのか知らないが、多くの人々が通ります。きっと車も少なく歩いているだけでも楽しい木や建物があるのでしょう。私はその中でも乳母車の中でスヤスヤ眠る赤ちゃんを見かけると、知らずに顔がほころんでしまいます。乳母車などに乗れなかった時代の私の願望のせいでしょうか。(原田泰治)
「トンボ」
口語短歌
「秋の使者 飛び交うトンボ 銀色に 羽を輝かせ 泳ぐ青空」
1986年9月
青空の雲も、吹く風も、九月になると、何となく秋めいてきます。実り前の田は風が吹くたびに波打ちます。そんな田を、羽を銀色に輝かせて飛び交うトンボは、秋の使者にみえます。(原田泰治)
「ふるさと」をテーマに、自然の中で慎ましやかに暮らす人びとや農村風景を愛情込めて描き続けた画家、原田泰治(はらだ たいじ)。
1940(昭和15)年4月29日、長野県諏訪市で生まれた泰治は1歳のとき小児マヒを患い、両足が不自由となる。4歳のとき、まったく農業の経験のない父が泰治を自然の中で育てたいと思い、一家で伊賀良村(現長野県飯田市)に開拓農民として入植し伊賀良村で中学校までの10年間を過ごしたのである。
1963年に武蔵野美術短大を卒業後、伯父の経営するアートスタジオでデザインを学び、1965年頃から少年時代を過ごした伊賀良村の思い出を描き始める。
1982(昭和57)年4月から127週(2年半)にわたり、朝日新聞日曜版に“日本のふるさと”をテーマとした絵と文による「原田泰治の世界」を連載して好評を博した。
参照
https://taiziharada.jp/
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