(ナースコール用のボタン)
「山重水複疑無路、柳暗花明又一村といふ、人間の運命も。
会社の運命もまことに多岐であり微妙である」
<漢詩の読み方>さんちょうすいふく みちなきかとうたがう りゅうあんかめい
またいっそん。
(『藤原銀次郎回顧八十年』講談社から)
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ついに庭木剪定中、脚立から転ちて背骨を圧迫骨折、入院してしまいました。脚立事故は庭木仕事に付きもので、ヘルメットを付けず落ちた場合は、ほぼ即死というケースも少なくないようです。
私が運ばれた病院にも、剪定中に木から落ちたという80歳前後の男性が入院していました。その人は膝を強打して手術、2カ月近く入院しているとのことでした。
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入院経験がない私としては、病室で過ごす日々は興味深いものでした。
枕元にナースコールのコードがぶら下がっていました。看護婦詰め所(ナースセンター)に用がある時に使います。(写真参照)
この病院の看護婦さんは皆さん体格が良く、ナースセンターの雰囲気は体育会系の部活風。テキパキと仕事をこなしていました。入院患者は大半が80代、90代の高齢者で、耳が遠い人も少なくなく、事務的に対処しなければならないようです。
日曜日の昼のこと。ある入院患者がナースコールのボタンを押したようで、ナースセンターから着信メロディーが流れてきました。(ナースコールの呼び出し音は、中学校で習う世界の名曲です。この時は“乙女の祈り“でした)
若い看護婦は大きな声でこう対応しました。「どうしたあ」と、語尾を上げて、コーチ風に。…ウームです。筆者には、やや冷たい対応に聞こえました。高齢患者と言っても、皆さん繊細な心を保っています。ここは、丁寧かつ柔らかな口調で「はい、どうしましたか?」などと言えないものでしょうかねえ。
高齢者に対する温かな対応力。-それは看護婦としても、結婚して家庭を持った時も大事ですよね。