(シルバー庭師は“社会の底辺”ゾーン?)
先日、ふと立ち寄った国道添いの大衆うどん店で、X氏の姿を見かけました。地元に本社がある大手エネルギー系のインフラ会社の元役員の方です。なぜ彼のことを知ってるかと言えば、シルバー剪定で年に2回程度、X邸を訪ねているからです。彼は筆者のことは知りません。
80代半ばになるその男性は、筆者から言わせれば、これでよく役員まで上り詰められたものだと思われるタイプでした。会社の役員というのは、過去の仕事上の実績はともかく、人柄がかなり重視されます。肩書きは一応、会社の顔ですからね。公益性が高い会社だけにちょっと気になった次第です。
このX氏は目下、一人暮らし。妻は7~8年前に病死。その後、息子夫婦と暮らしていたのですが、X氏と息子夫妻とは折り合いが悪く、食事も別々だったとか。そのうち、X氏が入院中(いろんな病気を抱えている)に、息子夫婦は荷物をまとめて家を出てしまったのだそうです。
かつてX宅で家政婦をしていたおばさんが漏らした話を、あるルートを通じて知った情報です(仕事先のプライベートなことを漏らしていいのか、という問題はあります。…が、ここ田舎では多くの人は秘密情報を知っているのです)。
このX宅を長く担当している庭師によると、休憩時間(午前10時と午後3時)に、お茶菓子や飲み物が出たことはこれまでないそうです。お茶菓子を出す出さないは剪定依頼主の判断で、出さない家は他にもあります。それはまあいいとしまして、X氏は我々が作業中、めったに顔を出さないのですが、外出する用があって玄関先に現れた時は、あたりを睥睨するような目つきで、「ご苦労!」と口にして出かけるのでした。時代劇で見る「殿」のようだ、と誰かが言っていましたっけ。
われわれシルバー剪定メンバーが“、社会の底辺ゾーン”に属していることはあえて否定しませんが。
その元家政婦さんによると、この元役員氏は企業年金として元のインフラ会社から毎月50万円もらっているとのこと。まあ、企業の格付けを元にした相場からいえば、そんなところでしょうね。
(X氏と同年生まれのシルバーY氏の昼休み)
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このブログのサブタイトルを「人生の収支は同じか」にしましたが、上の写真(脚をのぞかせて休憩している男性)は、このX氏と小学校時代同級生だったのです。Y氏は国民年金だけのため、生活は厳しく80歳代になってもこうして働いているのです。
シルバー庭師の仕事は、平日の朝から晩まで働いてもせいぜい月20数万円です(日・祝日と雨の日は休み)。お金の面だけでみれば、X氏との差は比較にならないことは言うまでもありません。
筆者は、このY氏宅をこれまでに何度か訪ねましたが、いつも感じるのはその家庭の賑やかさです。娘さんはよくできた人で、玄関のインターホンを押すと、「ハーイ」と大きな声で返事して現れ、はきはきした声、笑顔で接してくれます。Y氏の孫たちも賑やかに現れます。
その次男夫婦は、近所に住み(Y氏所有の土地に家を建てた)、しばしば訪ねてきています。
庭師の仕事はいろんな家庭(受け持ちは90数軒)をj訪問しますので、その家がどんな雰囲気なのかみんなわかっています。
こう書けば、幸福と不幸の家を図式的に示したようですね。
ふと、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の有名な書き出し、「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」が口をついて出ました。(続く)
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