時よ
時よ
いま わたしが
一番知りたいと
思っていることは
与えられた
「長さ」では
ないのです。
いけませんか
正直なのはいけませんか
素直なことはいけませんか
すべてのものがあわただしくて
正しいことが強いことだと
だれも言えない世の中だから
心をひらいちゃいけませんか
信じることはいけませんか
やさしいことはいけませんか
人と人とが傷つけ合って
愛さえあれば生きてゆけると
だれも言えない世の中だから
恋などしてはいけませんか
お金がなければいけませんか
地位がなければいけませんか
みんながうとそつき合って
無理に笑顔をつくっても
秘密ばかりの世の中だから
明日を夢みちゃいけませんか
それはやっぱり朝がいい
遠い旅に出るのなら
陽のよみがえる時がいい
青い風吹く時がいい
さよならをした
すぐあとの
夜はあまりに長いから
愛してくれた人たちが
涙で夜をすごすのは
あまりにつらいことだから
別れに変わりはないけれど
ひとりで旅に出るのなら
それはやっぱり朝がいい
新聞
よろこびのニュースだけを集めて
新聞を作る会社があったら
ぜひ このわたしを
記者にしてください
あなたは心を
私のかじかんだ冷たい手を
大きな両手であたためてくれる人よ
あなたは自分の心が悲しみにかじかんだ時
いったい誰にあたためてもらうのですか
希望
あなたが幸福な時
わたしは静かに眠ります
あなたが悲しく つらい時
どうぞ わたしを呼んでください
どうぞわたしを思ってください
積み木
思い出は 積み木です
よろこびやかなしみの
それぞれの色をぬって
ひとつずつ重ねます
きょうはバラ色の
光る積み木ができました
悲しみだって同じです
思い切りずぶぬれになってしまったら
もう 雨を
恐れなくてもいいのです
思いきり
泥にまみれてしまったら
あとはどんなに汚れても
平気な顔でいられます
悲しみだって同じです
だから背負って歩けます
思いきり
涙流したそのあとは
前を見つめて歩けます
だれだって
だれだって
淋しさを
”さ び し さ”と
優しさを
”や さ し さ”と
全部ひらがなで書いたら
淋しさの四分の三は
優しさだっていうことに
きっと気がつくことでしょう
ボタン
まだ時間はあるさ
かけまちがえたと
気づいたら
もう一度
はじめからやりなおす
それも立派な勇気なんだよ
人生だって
おんなじことさ
あやまちに気づいたら
もう一度
やりなおせばいい
だれも笑うことなど
できはしないよ
心
心はね からだの中の
みずうみさ
小さな小さな
みずうみさ
こわさや悲しさ知った時
それは 冷たく凍りつく
かたくて重い かたまりさ
何かに怒りを燃やす時
水面は荒れて 白い波
大きく揺れて 波しぶき
優しい人に会えた日は
鏡のようにおだやかで
すべてが素直に映るのさ
心という名のみずうみは
きれいな青空 映すのさ
時は河
時は河
愛は舟
櫂はいのち
そして
その舟は
決して ひとりでは
こいでゆけない舟
浮かぶことのない舟
おこれ
足を
おこれ!
この手を
おこれ!
涙を
おこれ!
わたしよ
おこれ!
わたしを
おこれ!
自分を変えられるのは
自分自身しか ないんだから
夢咲き峠
さあ 何色に
咲きますか
いくつの花を
染めますか
人として
生命の旅の
その途中
そうです
ここが
夢咲き峠
わかれみち
神様からもらった
たった一度の人生
右へ行くのもいいさ
左へ行くのもいいさ
どちらを選んだとしても
山あり 谷あり
運命という奴は
とてもいたずら好きだから
たやすくはないけれど
困難を乗り越えようと
懸命に燃えている
いのちの炎は
たとえ小さくても
美しい色をしているはずだよ
風邪薬
「心の風邪に
よくきく薬
ございます」
そんな広告を出した店を
もしも どこかで見かけたら
すぐに 私に知らせてください