遊亀公園附属動物園スタッフブログ

甲府市にある遊亀公園附属動物園で働くスタッフのブログです。
普段は見られない動物たちの暮らしをお届けします!

チンパンジーのお部屋改造

2018年07月15日 14時52分02秒 | 日記

皆さん、こんにちは。

更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。

時のたつのは早いもので、前回の更新から早一年が経ってしまいました

この一年あんなことこんなことありましたが、今回はチンパンジーについてご紹介します

 

当園には3頭のチンパンジーがいます。

唯一のオスで、むれを守るべき立場にいるウィリー。

男性の来園者が多いときは自分たちの群れに近づかないよう威嚇の意味もこめてさわぐことがあります。

メスたちにはいまいち愛情が空回りしている、愛すべきウィリー

 

いちばんお姉さんのジュディ。落ち着きがあり、オスのウィリーをなだめることもあります。

道具の使いかたも最初にマスターしたり頼れる存在です。表情がとてもチャーミングです

 

一番年下のティナ。当然、群れの順位も低いのですが、欲しいものには貪欲です。

見分けるポイントは毛がもじゃもじゃしているところ、愛嬌のあるティナです

 

そんな3頭のチンパンジーの生活をより楽しく豊かにすることを目的に、ワークショップを開催しました。

1回目は6/30(土)、公募でご参加いただいた16名の方と帝京科学大学の並木教授と学生さんたちと行いました。

チンパンジーにとってどんなことが幸せか?どんな行動を引き出したいか?を考えてもらい

道具・遊具のアイディアを出してもらいました

それを製作可能な形にして、10個のアイテムを作ることになりました。

予算がないので、低コストでできる材料を集めました。

消防局の方、リタイヤしたホースをありがとうございました!

 

第2回目の7/7(土)に製作です。

この日はとても蒸し暑かったのですが、道具を使い慣れていないお子さんたちも、一生懸命作ってくれました

どれもチンパンジーたちが安全に使えるように、意見を出し合いながら作ってくれました

作っていただいた道具はチンパンジーがびっくりしないよう、一週間のあいだに毎日2個ずつ、職員が設置しました。

毎日すこしずつ増える道具に最初は「ウホ!」と警戒しますが、すぐに確認して道具を楽しんでくれました。

 

そして第三回7/14(土)チンパンジーがどのように道具を使うか、観察会を行いました。

チンパンジーたちの反応やいかに

まずはこちら!

『穴あきブイ』ブイを回すと、穴からペレットやナッツ類がふり出てきます。

ひまわりの種だとわんさか出すぎることがわかり、ピーナッツに変更です。

3頭とも喜んでたべてくれました。

 

『飛び出す塩ビチューブ』棒でカットした果物をたぐりよせる道具。

指では届かず、短い棒で成功!!さらに届かなかったものは、長い棒をもってきて成功!!

素晴らしいです

 

こちらは『竹の木琴』。ウィリーがディスプレイ(誇示行動)をするときに、これで発散できたら・・

という遊具です。イライラしたときに壁に当てたり、他のメスもいじっています。

 

『ハチミツチューブ』底に入れたハチミツを、ほぐした棒につけてなめる道具。

シンプルに見えて棒の長さや硬さ、棒を入れる角度など、意外とむずかしい

ウィリーが挫折するなか、ジュディ姉さんが成功しました。ちゃんと竹のさきを噛んでほぐしています。

その後ウィリーもできるようになっています。

 

『流しそうめん風エサ入れ』

割った竹に水を入れ、カットフルーツを浮かべます。

予定では棒にさしたりたぐりよせて使う予定でしたが、ダイレクトに指が届いてしまいました。

ただ水に触れるのが苦手なチンパンジーたちが、悪戦苦闘してフルーツをとる様子がわかります。

ティナが挑戦していましたが、水にさわりたくないあまり、フルーツを多数はじきとばしてしまっていました。

 

『チューブからペットボトルへ』

チューブの横に空いた穴からペレットを棒で送り出し、受け口のペットボトルから取り出す道具。

これもジュディが竹の棒を使って、見事に成功

 

こちらは『もちはこべるタイヤ』なかにヒマワリの種が仕込んであります。

さきほど、なぜかジュディが腰にのせておんぶして持ち歩いていました。

 

最後にフルーツ入り氷を獣舎の上からプレゼントしました。

3頭とも必死でゲットしようと競い合うなか、ジュディははしごを登り上でバランスをとっています。

ちなみに、この氷を取り合うために3頭はケンカになってしまい、メスVSオスの争いに発展

すぐに仲直りしましたが、そのあとはバツが悪いのか誰も氷を取りにいかないという微妙な空気に・・

絶対に欲しいはずなのに群れの調和を大事にするチンパンジーの心理戦がとても興味深かったです。

その後、ふたたびチャレンジしたウィリーが氷を割り、無事3頭にいきわたりました。ホッ

 

他にも消防ホースを利用したブランコやハンモックを入れました。

これから徐々に遊んだり体を休めたりに使ってくれると良いと思います。

今回、みなさんのおかげで、確実にチンパンジーの生活は豊かになりました。

ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました

今後も引き続き、動物たちの暮らしやすさを追求していきたいと思いますので

温かく見守ってくださいね。 


ワラビーのポケット入り間違え事件

2017年05月14日 14時29分17秒 | 日記

皆様こんにちは。本日5/14(日)は「母の日」です。

動物園の池ではカルガモ親子が出没しているらしい今日この頃。

園内は、この春もビーバーフィーバーが巻き起こっております。

4/22にアメリカビーバーの赤ちゃんが2頭生まれ、すくすく成長しています

毎日午後2時30分からは、公開体重測定も行っておりますので、ぜひご覧くださいね。

ところで今回の主役はカルガモでもビーバーでもなく。。。。

ベネットアカクビワラビーの2組の親子です

当園には、メス4頭、オス1頭のワラビーがいて、

この春2頭のお母さんのポケットから赤ちゃんが顔を出しました。

 

ワラビーやカンガルー、コアラ、フクロモモンガなどの有袋類(ゆうたいるい)は、ご存じのとおり

未熟な状態の赤ちゃんを出産し、母親の体外のある育児嚢(いくじのう)とよばれるポケットで赤ちゃんを育てます。

ワラビーの出産育児について、ざっくりまとめると次のとおりです。

 

妊娠期間およそ1ヶ月で未熟な赤ちゃんを出産

お母さんワラビーが自分の体の毛をなめて道を作り、ポケットまで誘導する。

 赤ちゃんは自力でこの道を這っていき、ポケット内の乳首にたどりつく。

ポケット内の乳首でミルクを飲んで、すくすく育つ

↓(おおよそ半年)

顔・体の一部がポケットから出てくる

初めてお外へ出てみる

外とポケット内を行き来する(今ここ

ポケットに入らなくなる。

 といった流れになります。

 

この春顔を出した赤ちゃんの母親はアヤメミズキの2頭。

2月末にそれぞれの赤ちゃんがお母さんのポケットから顔をだし、

3月末~4月に初めて自分の足で外へ出ました。ほぼ同時期に一緒に成長した2頭。

最近はポケットから出たり入ったりして、ほほえましい様子がみられていた、そんな5月某日。

・・・事件は起きました。

 

朝から仔ワラビー1頭がビービー鳴きながら、アヤメを追いかけています。

しかしアヤメのポケットには別の仔ワラビーが。。。。

「いれてよ~」「いや、ムリだから!」

仕方なく、仔ワラビーはもう1頭のミズキのポケットに入りたがりますが、ミズキは断固として拒否!

何度チャレンジしても、ポケットに入れてくれません

 

仔ワラビーはまだ小さく、親離れ子離れには早すぎます。

このままポケットに入れないと体力を消耗してしまうため、

ぼっちの仔ワラビーとポケットに空きのあるミズキを同じ部屋に閉じ込めてみました。

しかしミズキはしっしっ!と追い払う仕草までして、入れてくれません。

仔ワラビーはビービーないています

と・・・明らかにその鳴き声を気にしているアヤメ

こどもが「びーびー」鳴くたびに柵越しにオロオロと気にかけています。。。

 

ここで私たちの疑惑がほぼ確信にかわりました。

ミズキのこどもがアヤメのポケットに入っている!!

これはワラビーやカンガルーの多頭飼育をしているところではまれに起こるようなのですが、

当園では同時期に複数頭の出産育児が初めてだったため、今回が初めてのケースでした。

 

ひとまず、2組のペアを入れ替えることにしました。

なりすましてアヤメのポケットに入っているミズキの仔は、自分から出る様子はなく、

アヤメも入っちゃったものは追い出すことはできないようです。

そこで、なりすましのポケットの中の仔に強制撤去してもらい、今後のために目印として脚にリングをつけました。

 

もう1頭のびーびー鳴いている迷子の仔ワラビーも身柄確保し、白いリングをつけました。

(ちなみに捕まえたついでに性別をみると、仔どもは2頭ともオスでした。)

そして、正しい親子ペアと思われる組み合わせに部屋わけしてみると・・・・。

あんなによその仔を拒絶していたミズキも、あっというまに我が子をポケットに迎え入れています

もちろんアヤメ親子も・・・!

ようやく本来の親子ペアに落ち着き、ホッと胸をなでおろす私たち

 

自分の仔しかポケットに入れないミズキと、別の仔もうっかり入れてしまったアヤメ

それでもわが子の鳴き声に反応があったため、無事に戻すことができてよかったです。

どちらも母性あってこそ。

 

まだ仔どもたちが小さく、再発の可能性があるため、

仔どもたちがポケットに入らなくなるまでの間、2組の親子はペアで別居してもらうことにしました。

もうしばらく、自分のお母さんにゆっくり甘えてね。

 

以上、この春起きた、入れ違え事件でした

 

 


ユキヒョウのミュウと、ペンギンの恋のお話

2017年04月15日 15時03分27秒 | 日記

みなさん、こんにちは。

遊亀公園の桜もただいま満開です

この春から新生活が始まった方も多いのではないでしょうか。

動物園でも、この春の3/6に名古屋市東山動物園からユキヒョウのミュウが仲間入りしました

 

到着直後のミュウは、人目のつかない隅っこにかくれてしまい、外へ出られるようになるには時間がかかるかな?と

心配していたのですが、予想に反して、到着3日目の朝には堂々とした姿を見せてくれ、一安心しました

ユキヒョウは、ヒマラヤなどの標高の高い極寒の環境に適応した動物です。

長くて多くてふわふわした体毛、寒い地域の動物特有の小さな耳、

不安定な足場を歩くため太くて短めの足と、バランスをとるための長く太いしっぽ。

 

ユキヒョウに限らず、さまざまな環境に適応するために進化をとげた動物たちを見るにつけ、生命の神秘を感じずにはいられません

ここ甲府でも、多くの大人、こどもたちが美しいユキヒョウや動物たちをみて、

野生動物に関心を持ってくれたらうれしいことですね。

そのためにもミュウに健康に過ごしてもらえるよう、配慮していきたいと思います。

 

なお、甲府盆地は高温になりやすいので、室内にエアコンを設置しました。

これからの季節、ミュウが自由に屋内外を行き来できるようにしますので、

見られないことが増えると予想されますが、ご了承ください

 

出会いがあれば別れもあります。

4/11にはワオキツネザルのカイが長野県の須坂市動物園に旅立ちました。

カイは2015年に生まれ、来園者からの応募で「甲斐(カイ)」という素敵な名前ももらいました。

やんちゃだけど、弟妹と遊んであげたりやさしいお兄さんでした。

これからは自分の家族を作って、元気に過ごしてね

 

さてさて、毎年この時期はマゼランペンギンの恋の季節でもあります。

当園ではオス3羽、メス2羽のペンギンを飼育しているのですが、

毎年この時期になるとメスをめぐるオス同士の戦いが繰り広げられます。

以下、つばさのリングの色で個体識別をしています。

安定のペアは、「赤緑ちゃん」と、「黒くん」のペア

 

もう1羽のメス、「ちゃん」をめぐり、「むらさき君」と「君」はライバル関係にあります

昨年までは、「ちゃん」と「むらさき君」が安定したペアだったのですが、今年の3月のある朝、

「赤くん」が「ちゃん」とカップルで個室に入っています。(↓写真:右の部屋)

「お今年はくん頑張ったのね」と見ていると、

しばらくその様子を見ていた「むらさき君」が、「ちゃん」を奪い返しにやって来ました。

「おまん、ちょっと出てこう(お前、表へ出ろ)」

ちゃんは、渡しませんからね」・・・と言ったかどうか。

隣のラブラブカップルが見守るなか、地上戦から水中に場所を移し、2羽のバトルが繰り広げられます。

 

結果・・・・、「むらさき君」が「ちゃん」奪還に成功し、2羽で別の部屋に入ります。

しかしなんと、「ちゃん」が「むらさき君」の部屋を出て、「くん」の元へ・・・

どっちつかずの罪なメス。ちゃん

 

その後もバトルを繰り返し、最終的に例年通り、「むらさき君」がペアの相手となりました。

なんとか今年こそ、お嫁さんを探しますので、「赤君」、もう少し待っていてね。

なお、2組のペアはただいま、卵をあたためています。

そんなドラマがあったことを片隅に思い浮かべつつ、観察いただければと思います。 

 

 


平成29年も動物たちに恵方巻き!

2017年02月04日 09時49分42秒 | 日記

みなさん、こんにちは。実に半年ぶりのブログ更新となってしまいました。

遅ればせながら、本年も甲府市遊亀公園附属動物園をよろしくお願いいたします。

 

さて、2月3日といえば、節分。

節分といえば、恵方巻き!今年ももちろんやります。

今年は酉年ということで、鳥たちへ恵方巻きをプレゼントしたいと思います。

 

ご存知のとおり、今年は鳥インフルエンザの影響で、アヒルとの年賀状撮影イベントも中止。

体を張ってモデルになってくれた園長の笑顔も披露できず

コブハクチョウの池への放飼も中止。

よりによって酉年を迎えるときに・・・

残念でしたが相手はウイルスです。どうしようもありません。

そうとなれば、恵方巻きと福豆で、邪気を追い払ってやりますよ

 

さて、本題です。

当園には現在借りているアヒルを含めると全部で10種類の鳥類がいるのですが、

コンドル、フクロウ、ワライカワセミは肉食。

 

フラミンゴはフラミンゴフード。

アヒル、コブハクチョウのひらべったいクチバシの皆さんはプレゼントしにくいので、

今年は4種の鳥たちに鳥類代表ということで福を受け取ってもらいます。

 

では、さっそく今年の恵方巻きを作成します。

りんご、煮にんじん、煮さつまいもをスティック状に切り、湯通しした小松菜で巻き巻きしてみました。

まずはキバタンのナナちゃんにプレゼントしてみましょう♪

良い感じに興味深々でかじっています。

というかボロボロにしているだけのような?

おしゃべりが得意のナナちゃん、「いい子いい子する?」と、なでることを強要してきます。

黙って食べないとダメなんだよナナちゃん。集中して!

 

せっかくなので、福豆もプレゼントしてみましょう。

こちらはあからさまに、ちゃんと食べています。ちょっと、どーゆーこと!?

 

お次は、ルリコンゴウインコへ。

この2羽はとても神経質でこわがりなので、止まり木の上においてみました。

お豆も餌用皿に入れたので、あとでゆっくり食べてもらいましょう。

 

甲州地どりのタレ君にも福豆をプレゼント。

つんつん、喜んでつついていましたよ。

 

 お次はこちら。

節分といえばイワシ。なぜイワシなのか、気になったのでちょっと調べました。

魚へんに弱いと書くことから、悪い者を消す?意味があることと、臭いのあるものを鬼は嫌がる、とのこと。

こちらを、マゼランペンギンにプレゼントしてみましょう。

ちょっとタイミング悪く、朝食のアジを食べた直後だったようで、ペンギンたち、見向きもしません。

それでも数時間後にはすべてなくなったようなので、

これで鳥たちの厄除け終了!

 

残すはこの方、笛吹き童子くんだけ。

今年ももりもり頬張っています~!

それでは皆様、今年も健やかな一年をお過ごしください

 

 


2016年ビーバーの性別判定を行いました!

2016年09月14日 16時20分05秒 | 日記

少しずつ、木の葉も色づき、秋の気配がただよう今日この頃・・・

甲府も朝晩は冷えるようになってきました。

 

さて今週の休園日に、今年の4/15に産まれたアメリカビーバーの性別を確認しました

ビーバーは、外観からはオス・メスの判断がとてもむずかしく、当園ではレントゲンで判断しています。

ビーバーのオスには、陰茎骨(いんけいこつ)という骨があるので、レントゲンでこの骨の有無を確認するのです。

ちなみにこの陰茎骨は、オス犬にもあります

 ↑ 昨年のレントゲン。(丸で囲まれたところに写っている骨が陰茎骨です

 

ではここで、自分を戒めるためにも、3年前の2014年に起きた失敗談をお話いたします。

この年生まれた赤ちゃんは、生後2ヶ月時のレントゲン検査で陰茎骨が写らなかったためメスと判断し、

来園者の応募から、「ジャスミン」というかわいい名前ももらいました。

・・・が

その後、他県の動物園からメスのビーバーをお嫁にほしいという申し入れがあり、

じゃあ念のため~、と確認のため再度レントゲンを撮ると・・・、なんと立派な陰茎骨があるではないですか

どうやら生後2ヶ月では未成熟な陰茎骨は、まだレントゲンにはうつらなかったようです

(お嫁入りは翌年産まれた妹がいくことになりました・・・)

その痛い失敗から、現在は生後4,5ヶ月たってから確認をするようにしています。

 

さあ、長い前置きがありましたが、今年の結果を発表します

 担当者たちから、『直(ちょく)ちゃん』(しっぽがまっすぐで細い)と呼ばれていた、こちらの仔はメスだったので「直」→「ナオコ」と命名

 

『丸(まる)』(しっぽがまるくて太い)と呼ばれていた、こちらの仔はオスで「丸」→「マルオ」と命名されました

 

これからは日が短くなり、ビーバーたちの活動も少し活発になります。

マルオとナオコもまだまだ成長期。ぜひ会いに来てくださいね!