皆様こんにちは。本日5/14(日)は「母の日」です。
動物園の池ではカルガモ親子が出没しているらしい今日この頃。
園内は、この春もビーバーフィーバーが巻き起こっております。
4/22にアメリカビーバーの赤ちゃんが2頭生まれ、すくすく成長しています。
毎日午後2時30分からは、公開体重測定も行っておりますので、ぜひご覧くださいね。
ところで今回の主役はカルガモでもビーバーでもなく。。。。
ベネットアカクビワラビーの2組の親子です。
当園には、メス4頭、オス1頭のワラビーがいて、
この春2頭のお母さんのポケットから赤ちゃんが顔を出しました。
ワラビーやカンガルー、コアラ、フクロモモンガなどの有袋類(ゆうたいるい)は、ご存じのとおり
未熟な状態の赤ちゃんを出産し、母親の体外のある育児嚢(いくじのう)とよばれるポケットで赤ちゃんを育てます。
ワラビーの出産育児について、ざっくりまとめると次のとおりです。
妊娠期間およそ1ヶ月で未熟な赤ちゃんを出産
↓
お母さんワラビーが自分の体の毛をなめて道を作り、ポケットまで誘導する。
赤ちゃんは自力でこの道を這っていき、ポケット内の乳首にたどりつく。
↓
ポケット内の乳首でミルクを飲んで、すくすく育つ
↓(おおよそ半年)
顔・体の一部がポケットから出てくる
↓
初めてお外へ出てみる
↓
外とポケット内を行き来する(今ここ)
↓
ポケットに入らなくなる。
といった流れになります。
この春顔を出した赤ちゃんの母親はアヤメとミズキの2頭。
2月末にそれぞれの赤ちゃんがお母さんのポケットから顔をだし、
3月末~4月に初めて自分の足で外へ出ました。ほぼ同時期に一緒に成長した2頭。
最近はポケットから出たり入ったりして、ほほえましい様子がみられていた、そんな5月某日。
・・・事件は起きました。
朝から仔ワラビー1頭がビービー鳴きながら、アヤメを追いかけています。
しかしアヤメのポケットには別の仔ワラビーが。。。。
「いれてよ~」「いや、ムリだから!」
仕方なく、仔ワラビーはもう1頭のミズキのポケットに入りたがりますが、ミズキは断固として拒否!
何度チャレンジしても、ポケットに入れてくれません。
仔ワラビーはまだ小さく、親離れ子離れには早すぎます。
このままポケットに入れないと体力を消耗してしまうため、
ぼっちの仔ワラビーとポケットに空きのあるミズキを同じ部屋に閉じ込めてみました。
しかしミズキはしっしっ!と追い払う仕草までして、入れてくれません。
仔ワラビーはビービーないています。
と・・・明らかにその鳴き声を気にしているアヤメ。
こどもが「びーびー」鳴くたびに柵越しにオロオロと気にかけています。。。
ここで私たちの疑惑がほぼ確信にかわりました。
ミズキのこどもがアヤメのポケットに入っている!!
これはワラビーやカンガルーの多頭飼育をしているところではまれに起こるようなのですが、
当園では同時期に複数頭の出産育児が初めてだったため、今回が初めてのケースでした。
ひとまず、2組のペアを入れ替えることにしました。
なりすましてアヤメのポケットに入っているミズキの仔は、自分から出る様子はなく、
アヤメも入っちゃったものは追い出すことはできないようです。
そこで、なりすましのポケットの中の仔に強制撤去してもらい、今後のために目印として脚にリングをつけました。
もう1頭のびーびー鳴いている迷子の仔ワラビーも身柄確保し、白いリングをつけました。
(ちなみに捕まえたついでに性別をみると、仔どもは2頭ともオスでした。)
そして、正しい親子ペアと思われる組み合わせに部屋わけしてみると・・・・。
あんなによその仔を拒絶していたミズキも、あっというまに我が子をポケットに迎え入れています。
もちろんアヤメ親子も・・・!
ようやく本来の親子ペアに落ち着き、ホッと胸をなでおろす私たち。
自分の仔しかポケットに入れないミズキと、別の仔もうっかり入れてしまったアヤメ。
それでもわが子の鳴き声に反応があったため、無事に戻すことができてよかったです。
どちらも母性あってこそ。
まだ仔どもたちが小さく、再発の可能性があるため、
仔どもたちがポケットに入らなくなるまでの間、2組の親子はペアで別居してもらうことにしました。
もうしばらく、自分のお母さんにゆっくり甘えてね。
以上、この春起きた、入れ違え事件でした