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クリスマスの魔法~その7
〈百花〉
駅前はたくさんの人でごった返していた。
ぼぉっと歩いていると、向こうから来た人にぶつかってしまう。
譲二「百花ちゃん、こっちにおいで…」
マスターは私の手をとって引き寄せてくれた。
マスターは手を握ったままだ。
そして、そのまま私たちは並んで歩いている。
(マスターと手を繫いじゃった…。マスターの手…。大きくて温かい)
大好きな人とこうして手を繋いで歩けるなんて、とても嬉しい。
なんだかドキドキしてしまうけど…。
マスターは大人だからドキドキなんてしないんだろうな。
譲二「イルミネーション、見事だね。いつも通りがかりにしか見ないから、じっくりと見たのは初めてだよ」
百花「そうなんですか?」
譲二「ああ、男一人で見に来てもしょうがないしね」
マスターは苦笑いする。
譲二「だから、じっくりとイルミネーションが見られるのは百花ちゃんのお陰だな」
百花「お陰だなんて…でも私も嬉しいです」
私がマスターの手をしっかりと握ると、マスターも握り返してくれた。
大好きな人と今こうしていられるのは…。
百花「まるで魔法みたい…」
譲二「ああ、幻想的だね…」
マスターは、私がイルミネーションのことを魔法みたいだと言ったのだ、と取ったようだった。
そっと見上げるとマスターの綺麗な横顔がイルミネーションをバックに浮かんでいる。
私は小さな幸せを感じながら、大好きな人の手の温かさに浸っていた。
その8へつづく