糸乃こまりのストーリー

川柳と小説〜下町とチワワはhttps://plaza.rakuten.co.jp/daigotyokotan

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23 インド洋の海水

2024-11-28 10:13:34 | 世界一周ひとり旅
インド洋の海水を引いてプールになっている。裕子はインド洋で泳ぐなんて一生に一度出来事だとさっそく申し込んだ。ただこうやって船に乗ることは1人分300万ぐらいで済むらしいがインド洋のプールで泳ぐとなると別に必要になる。アップする。また別に申し込むとアップする。最後はアップアップの裕子だ。
 そんなことより裕子が心配したのは別のことだった。ベッドの横に置いてある時計がカチッカチッとするだけで静かだ。誰もいない。裕子はバスルームにいた。息を止めたのにギチギチ音がする。裕子が持ってきた水着が縮こまっている。イヤ、縮こまったわけではなくて船に乗って美味しいものばかり食べて来たから身体がぶよぶよになっただけ。汗がどっと出てきた。要するに冷や汗😅
 みんなでプールに入った。まるで女子高生がプールに入ったような賑やかな声。プールの周りにスタッフの何人かが立っている。その中の一人。
「はーい、皆さん!! ゲームを始めま―す。もしかしてまさか泳げない方はいらっしゃいませんよね」
 みんなでコクンとうなづいたが裕子が叫んだ。
「私泳げません!」
 どっと笑い声。スタッフも苦笑いで
「では水の中で歩くゲームをしましょう」
 舌を出した裕子は周りの人に謝った。少し離れていた聡美が人をかき分けながら近づいて来た。
「よかった! すぐに見つけられると思ってたけど人が多くてビックリ!! 泳げなくてよかったわ」
「なんか慌てて聡美さん探す余裕なくて」
 裕子は水着のお腹あたりにスカーフを巻いている。それがプールの水に漂っている。
「裕子さんおしゃれ!! 水着の白とスカーフのピンクがよく合ってるわ」
「いいえ、たまたま」
 水着はやっと着れたけど着てみるとお腹がまるで相撲取りに見えた。それに白い水着のあそこあたりのヒゲが少々長くて見えそうで気持ち悪い。女性用ひげ剃りは船にもあるだろうけど買いに行く時間も全くなかったからね。非常に緊張したプール遊びとなってしまいました。








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22 グリコアーモンド

2024-11-28 10:09:18 | 世界一周ひとり旅


クルーズ船の廊下を裕子は歩いていた。階段の途中で同じ階の夫婦と出会う。妻は上海のデパートで共に過ごしていた仲間。喜んで一緒に歩くことにした。

 彼女の話で今日のレストランではインド料理の有名シェフがインドカレーを作っているという。レストランに入り裕子は夫婦と同じテーブルに座った。食べるの大好きな裕子はもうワクワクしていた。頼んですぐにインドカレーが3人のテーブルにやって来た。

「いい香りですね!」

 妻も大きくうなづく。ナンも来た。ドキドキしながら口にする裕子。

「美味しい〜」

 喜んでパクパク食べる。ナンも食べながら

「ナンもカレーと合いますね!」

 妻を見ると困ったような顔をしている。夫は食べているが首をかしげている。キョトンとし頼んで裕子。

「カレー苦手ですか?」

「いいえ〜ただこの人(夫を見ながら)大好きなんですけど」  

「だったら」

 口元を隠して、

「好きなのはグリコアーモンド。アレ甘いでしょ。これとは違うそうですよ」

 クツクツ笑う裕子。他のテーブルを見ながら、

「グリコアーモンドはないようですけど、ナンの代わりにごはんはもらえるかも!」 

 聞いた妻は立ち上がってスタッフに近づく。夫は裕子に感謝していた。

 その時近づいて来る聡美。。

「裕子さん、こちらにいらしたのね」

「あら、聡美さん。おいしいから、私もごはんいただこうかしらと思って」

 ごはんを持って戻ってきた妻に挨拶しながら聡美は

「私はナンしか食べなかったわ」

 夫の前にだけご飯を置いた妻も

「私もごはんは食べません!」

「えーっ」

 と叫ぶ裕子。怪訝な顔になる。聡美と妻は二人でニヤッと笑って

「忘れちゃったの?」

「何だっけ?」

「ナイショ」

「意地悪ね」

 聡美と妻は声を合わせて

「今日はこれからプールよ!」

「あ〜。そうだった!?」

 立ち上がる裕子。

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21 浅野内匠頭

2024-11-28 10:02:34 | 世界一周ひとり旅

裕子は自分の部屋のベッドに寝転んでいる。ノートにメモを書いている。「寄港地上海、日本は清潔、シワ取りクリーム、クマ取りクリーム」

と思い出しながら書いている。

「あっ! シルクのパジャマ」

 と書きながら

「忘れてた!」

 ベッドから降りて、紙袋に入れたままのシルクのパジャマを引っ張り出す。

「試着試着」

 バスルームに向かう。数分経ってベッドルームに戻って来る。ピンクのシルクのパジャマを着ているが、鏡に写してゲラゲラ笑う。袖口も裾も長い。

「まるで松の廊下の浅野内匠頭だ」

 笑いながらバスルームに戻る途中にひっくり返ってベッドの角に頭を思い切りぶつけた。しばらくの間、頭をかかえる。またベッドに寝転ぶ。

「いたた」

 ベッドのテーブルにいつも置いてある小さな鏡で見るとコブが出来ている。 少々目立っている。裕の声が聞こえる。

「そそっかしいから気を付けて下さいよ」

 舌を出してコブによだれを付ける。    

 仕方なく裕子は船の診察室に出かけることにした。

 診察室は静かな部屋だった。たった一人でやってるのかなとキョロキョロと眺める。

 裕子の頭を見ている医師は頭を動かす裕子に少々困っている。

「母はくも膜下、父は脳軟化、私も血管弱いんじゃないですか?」

「大丈夫です。お薬付けましょう」

 と言いながら塗り薬を付けている医師は

「でもそそっかしいから気を付けて下さい」

 ハッとして医師を見つめる裕子の目から涙がボロボロ落ちてきた。

「どうしました?」

「主人が私によく言ってたんです。先生と同じこと」

 裕子にティッシュペーパーごと渡す医師。

「主人は先生と同じ仕事をしていたんです」

「なるほど」

 また泣く裕子。

 裕子は夜また部屋でベッドに寝転んでいた。ノートに「浅野内匠頭」と書いている。

そして裕の位牌を横目で見ながら「パパのライバル」とも書いて位牌の隣に置く。そして 電気を消した。

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