京都の闇に魅せられて(新館)

八坂神社と祇園祭 @ 京都妖怪探訪(564)





(記事中の写真はクリックで拡大します。プライバシー保護等の為、人の顔部分に修正を加えていることがあります)


 どうも、こんにちは。
 今年もまた祇園祭の時期になりました。
 シリーズ前々回前回からだけでなく、本シリーズでも専用のコーナーまで作って、祇園祭をとりあげてきました。
 しかし……。
 祇園祭の八坂神社そのものについて、じっくりとりあげたことがこれまでに一度もありませんでした。
 7月1日の葛城玄幽氏の京都魔界巡りツアーの第3弾レポート記事として、今回は八坂神社についてとりあげます。


 まずは、四条通り……ではなく、八坂神社参道の東端、東大路通りに面している、八坂神社の「西楼門」。





 ここで注意したいとのは、この門は「西楼門」であって、「正門」ではないということです。
 大きな通りに面しているところから、ここが正門であるかのように思う人も多いようですが、それは違うのです。
 どういうことかは、また後述。
 最寄りの交通機関は京都市営バス「祇園」停留所です。
 京阪電車「祇園四条」駅や、阪急電車「河原町」駅からもアクセス出来ます。


 ところで西楼門の下には、八坂神社の2つの神紋が刻まれています。
 ひとつはこの「三つ巴」。





 葛城氏などによれば、この「三つ巴」は水を表しているとか。
 そう言えば、前々回前回の「神輿洗い」でもあったように、祇園祭、八坂神社や祭神・牛頭天王(ごずてんのう)など、やたらと水に縁があるようです。

 もうひとつ、八坂神社の紋と言えば、参道案内の石標識にもあった、これ。





 これは「木瓜(もっこう)」とか、キュウリの断面に似ていることから「胡瓜紋」とも言われているそうで、「祇園祭の期間中は胡瓜を食べてはいけない」だとか、「牛頭天王の手下の水に棲む妖怪・河童は胡瓜が好き」などの話の元となったとか。



 八坂神社の西楼門を守る、狛犬と唐獅子。








 一般的には、「狛犬」で知られますが、頭に角がある「狛犬」と、猪(いのしし)や鹿(かのしし)と区別した獅子(しし・ライオン)である「唐獅子」との対になっているそうです。
 ……っと、確かこれも、だいぶ前に葛城氏から教えてもらったのでしたっけ。


 西楼門をくぐり抜けたところにも、狛犬と唐獅子が。





 その台座には、「四神相応」の4聖獣、玄武朱雀青竜白虎の姿も。









 西楼門から入ってほぼまっすぐのところにあるのが、境内摂末社のひとつ、「疫神社(蘇民将来社)」です。





 シリーズ第50回で紹介しましたので、ここではその詳細は省きますが、毎年の祇園祭は7月31日にここで行われる「疫神社祭(夏越祭)」で終わります。
 ところで。
 普通なら、正面入り口の鳥居から本殿まで参道がまっすぐのびているものですが(その途中に舞殿があったりもしますが)。
 本殿の正面とまっすぐつながっていない、それどころか本殿とは向きが違う。
 それで、東大路通りに面した門は「西楼門」であって、八坂神社の「正門」ではないわけです。
 実はわざと神社の入り口と本殿の向きとが故意にずらされている寺社仏閣も意外と多いのです。何故かと言いますと、そういう神社に祀られているのは、怨霊神とか、「荒ぶる神(邪神、凶神、疫神など)」など、人間にとって非常に危険な存在だからです。
 シリーズ第553回の乙訓寺や、第444回の鞍馬・魔王殿などのように、本堂・本殿前の道を灯籠で塞いでいるという場合もあります。
 疫病をばらまく神である、スサノオ(=牛頭天王)神は、人間にとって危険な存在であり、「普段は京都の町中へと出てきて欲しくない」という存在でもあるのですね。


 曲がりくねった参道を歩き、「祇園蛭子社」(シリーズ第253回第532回を参照。






 縁結びの神様として有名な「大国主社」の前を通ります。





 ところで、清水寺にも地主神社(第24回参照)があるように、昔は京都・東山付近には大国主神を崇める出雲系の人たちが居たのでしょうか。


 舞殿があって。





 本殿へ礼拝。





 この本殿には、「神泉苑や丹後などにも続いている竜穴がある」とも言われていますが、真偽の程はわかりません。
 主祭神は、スサノオ神と集合された牛頭天王
 クシナダヒメと習合されたらしい頗梨采女(はりさいじょ、はりさいにょ)
 そして二人の子供たちである八王子(ヤハシラノミコガミ)/a>です。
 葛城氏の資料にあった、
津島市・興禅寺所蔵の牛頭天王像の写真です。








 その名の通り、牛の頭(青線で囲った部分)だけでは無く、馬の頭(赤線で囲った部分)も付いている、異形の神様です。
 なお、祇園祭の神輿を先導する役の稚児を「久世駒形稚児」(※
シリーズ第446回参照)と呼びますが、その名にはこの馬(駒)の頭を持つ異形が関係しているとか。
 次に
頗梨采女(はりさいじょ、はりさいにょ)について。
 葛城氏の説に寄れば、
頗梨采女(はりさいじょ、はりさいにょ)とは、その名前からファリサイ人か、何らかの関係を持つ人だったのでは無いか、と。
 さらに
八王子(ヤハシラノミコガミ)について葛城氏は、「実は蜂子皇子(はちこのおうじ)」という人物を祀ったものではないか、という説。
 他にも驚くべき説を披露されましたが、さらに八坂神社の境内を回り続けます。


 「悪王寺(あくおうじ)社」。





 スサノオ神の
荒魂を祀ったもので、ここでいう「悪」とは「強い」という意味だと、一般には解釈されています。
 ただ、葛城氏は「いや、本来の意味の“邪悪”という解釈で正しいんじゃないですか? だって、神話上のスサノオ神って、天界で脱糞したり、馬の死骸を放り投げたりとか、悪い事ばっかりしているでしょ?」と仰ってましたが(笑)。


 「美(うつくし)御前社」。








 「ここの水を付けると美人になれる」とも言われていますが。
 ここで祀られているのは、
宗像三女神という、スサノオ神から生まれた美人三姉妹の女神です。
 この三姉妹は、海の、水の神様なのですが、ここでも葛城氏は驚くべき説を。
 この三女神、実は元々
ゾロアスター教の水の女神アナーヒターであったと。
 この女神アナーヒターは、ヒンドゥー教の河の神
サラスヴァティとなり、さらに弁才天(七福神の弁天)としても、日本に伝わったというのも結構な話です。

 以上をトンデモと言うなかれ。
 葛城氏は、「古代日本では、従来思われていた以上に中央アジアなどとの交流が行われており、古代のゾロアスター教、キリスト教などが何らかの形で伝わっており、その影響が京都各地に遺されているのではないか」と考えておられるようです。
 以下は、7月1日の京都魔界ツアーでいただいた資料からの抜粋です。

>古代の本のゾロアスター教伝来は信仰・教団・寺院が存在した事実を示すものも発見されてないが、唐時代に中国へ来ており、また日本には吐火羅や舎衛などのペルシャ人が来聴していることから、なんらかの形での伝来が考えられている。松本清張は古代史ミステリーの代表的長編『火の路』でゾロアスター教が日本に来ていたのではないかという仮説を取り入れている。イラン学者伊藤義教は、来朝ペルシャ人の比定研究などをふまえて、新義真言宗の作法やお水取りの時に行われる達陀の行法は、ゾロアスター教の影響を受けているのではないかとする説を拠出している。


 他にも「祖霊社」や「刃物の神様を祀った社」など、いろいろ面白いスポットもありますが、今回は省略。


 常磐新殿の喫茶室で、少し休憩。
 祈祷を受けたというお餅で作られた「厄除けぜんざい」をいただきました。






 八坂神社の南楼門から出ます。











 八坂神社の本殿正面へとまっすぐ続いているのは、この南楼門の方なのです。
 また祇園祭の神輿や稚児が出入りするのは、こちらの南楼門からです。
 つまり、こちらの方が八坂神社の正門にあたるわけです。
 その理由は……ご祭神・スサノオ(=牛頭天王)が人間にとって危険な存在であり、普段から直接京都の街へと出てこられては困るから、ですね。
 極端に言えば、有名な祇園祭と八坂神社は、こういう「人類の敵」とも言える存在のご機嫌を取って、共存する為のものなのですね。
 こういう先人の、自然界の驚異に対するある種の諦観や、排除せずに共存を図り、さらにその力を利用までしようという、ある種の柔軟性や寛容さ、そしてしたたかさなどが見えるようで、非常に面白いと思います。






 今回はここまで。
 さらに、「八坂の塔・庚申堂」「裏の清水・鳥辺野」「心霊スポット・旧東山トンネル」などと、葛城氏の京都魔界ツアーの記事は続きます。
 ただその前に、今年の祇園祭の記事と、
霊場魔所の蓮シリーズの記事も書きたいですね。
 では、また次回。




*祇園祭のHP
https://www.kyokanko.or.jp/gion/




*八坂神社のHP
http://www.yasaka-jinja.or.jp/




*八坂神社へのアクセスについては
こちらを参照。




*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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