どうも、こんにちは。
五月の連休中はちょっと奈良まで足を伸ばしてみました。
奈良は『京都妖怪探訪』シリーズで、妖怪「ぐわごぜ」の伝説を追って元興寺を訪れた時以来です(その詳細はシリーズ第421回と第422回を参照)。
近鉄電車(近畿日本鉄道)の「近鉄奈良」駅から東へ歩きます。
すっかり青葉の季節です。
ところで奈良といえば、やはりこれでしょう。
興福寺と興福寺の国宝館も訪れました。
中金堂など、工事中の建物もあります。
完全に復興されるのは、まだ先になるそうです。
もちろん国宝館で、あの有名な阿修羅像をはじめ、千手観音、八部衆、十二神将等の面白い仏像を観て、拝んできした。
ところで、興福寺の辺りでも、鹿、鹿、鹿。
さらに東へ。
托鉢するお坊さんの姿も、京都や奈良ならではの光景でしょうか。
私も些少ならが浄財を。
氷室神社や奈良国立博物館の辺りにも、やはり鹿、鹿、鹿。
その日はあまりに暑かったので、池に飛び込み泳いでいた鹿も。
実はその日、奈良国立博物館で開催されていた特別展「信貴山縁起絵巻・朝護孫寺と毘沙門天王の信仰」(2016年4月9日~5月22日)を観るために、奈良まで足を伸ばしたのです。
「信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)」とは。
平安時代に作られたという、国宝に指定されている絵巻物のひとつです。
あの『鳥獣戯画』や『源氏物語絵巻』などと並ぶ有名な絵巻のひとつです。
平安時代末頃に創られたらしく、信貴山(しぎさん)「信貴山真言宗・朝護孫寺」中興の祖・命蓮(みょうれん)が卓越した法力・霊力によって奇跡を起こして活躍するという説話を描いた作品です。
托鉢の鉢で倉を丸ごと空中に飛ばしたり、子供の姿をした神様を召喚して天皇の病気を治したり等。
つまりこれは、「日本版・魔法のファンタジー」みたいなものですから、ファンタジーRPGオタクである私にも非常に親しみやすい作品でもあるわけです(笑)。
「信貴山縁起絵巻」は、「山崎長者の巻」「延喜加持の巻」「尼公の巻」の全3巻あります。
今回の奈良国立博物館で開催されました「信貴山展」では、その全3巻が公開されているのです。
こんなチャンスは滅多にお目にかかれないと考え、わざわざ奈良まで足を運びました。
さて、会場で観た国宝絵巻。
さすがに実物を撮影させてもらうことはできませんでした。
が、会場の物販コーナーでは京都「便利堂」の縮小版複製絵巻が売っていました。
京都国立博物館「鳥獣戯画」展の時も、「鳥獣戯画・甲巻」を便利堂・縮小版絵巻で買いました。
しかしこれ、一本あたり3~4千円。私には高い買い物ですが……結局、誘惑に負けて3巻とも買ってしまいました。
しかしそのおかげで、複製とはいえ、「信貴山縁起絵巻」の場面の一部を撮影し、ここで公開することができました。
今回は第一巻目、「山崎長者の巻」のみを紹介しましょう。
信貴山の高僧・命連は、法力で鉢を飛ばして托鉢をしていました。
しかし信貴山麓の山崎長者は、その托鉢を嫌がって、飛んできた鉢にお金や食べ物を入れず、倉の中に入れて放置していました。
すると鉢は、納められていた倉そのもの丸ごとを乗せて、命蓮の居る信貴山へと飛んで行きました。
「山崎長者の巻」は、鉢が倉を乗せて飛んで行くのを観た人々が、驚き、大騒ぎしている場面から始まります。
長者の一行は、鉢と倉を追って信貴山の命蓮の元へ。
倉を返してもらうよう頼み込む長者の一行。
命連は「倉を返すことは出来ませんが中の米は返します」と返答します。
すると全ての米俵が空中を飛んで長者の屋敷へと返されます。
下図の右上部分には、大量の米俵が飛んで来たのを見て驚く人々の様子が描かれています。
今回は、紹介はここまでにしておきましょう。
国宝絵巻と言えば、何やら高尚で堅苦しいもののようなイメージもあるかもしれませんが、私のように漫画やゲーム(特にファンタジーRPG等)に親しんできたオタクでも楽しめるような作品でした。
おそらく元々は、現代の漫画作品のようなわかりやすく、親しみやすいものだったのではないか、という気もしてきます。
この他にも、「地獄草紙」などといった奈良国立博物館所蔵の作品も観て、楽しんで帰路につきました。
今後も絵巻物を楽しむ機会があれば。
また、絵巻物の舞台を巡る旅もしてみたくなります。
それでは今回はここまで。
また次回。
*奈良国立博物館へのアクセス・周辺地図はこちら。
*奈良国立博物館のHP
http://www.narahaku.go.jp/index.html
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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