京都の闇に魅せられて(新館)

京都妖怪探訪(197):三室戸寺(前編)





 また久々の、今月に入ってから初めてのシリーズ記事更新になります。
 先月の終わり頃、宇治・三室戸寺に行ってきました。

 最近、ツイッターやっていてお知り合いになったカメラマン・yasuo nakayama氏こちらの作品を見て刺激され、蓮や紫陽花の写真を撮りたくなったのです。
 7月の終わり頃、紫陽花の時期は過ぎてしまいましたので、京都の蓮の名所を訪れたいと思って、三室戸寺の蓮園を見つけたわけです。
 これがそもそも三室戸寺を訪れたきっかけなのですが、実際に三室戸寺を訪れてみたら、妖怪など不思議な伝説がいくつも残されている場所だったということがわかりました!
 そこで今回、本シリーズにもこの古刹の記事を加えることにしました。

 ここに伝わる妖怪などの不思議な伝説には、例えば以下のようなものがあります。

*蟹の恩返しと大蛇の霊の伝説
*菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)とウサギの道案内の伝説
*牛玉(ごおう)と宝勝牛の伝説

などなど。
 これらの伝説の残る境内のスポットを、境内の蓮や庭園の光景と共にお届けしたいと思います。

 京阪電車・宇治線の「三室戸」駅






 そこから徒歩でおよそ15~20分ほど東へと歩きます。








 静かな住宅地の中を横切る道を歩き続けます。
 京阪宇治バスの「三室戸寺」停留所ならすぐそばまで行けますが、あまり便数はないようですのでご注意を。


 三室戸寺の入り口への参道です。






 ここが三室戸寺の入り口ですが、実はここに、ひとつ目の妖怪伝説のスポットがあるのです。





 この入り口の手前にある小さな橋を「蛇体橋」と呼びます。
 三室戸寺HP内の紹介ページには、この橋に伝わる「大蛇」と「蟹の恩返し」の伝説が記されています(以下、引用)。



>  宇治の三室戸寺には、参道の入り口に小さい橋がある。名を蛇体橋というてな、 なんでも雨の降る日には橋の裏側に、蛇の影が現れるのやそうな。  ずっと、昔のことや。山城の綺田(かばた)村に、三室戸の観音さまを信仰している心のやさしい娘がいた。

 ある時、娘は村人が蟹(かに)を殺そうとしているのに出くわし、 「魚の干物をあげるから、逃がしてやっておくれ」と頼んで、蟹を助けてやった。  さて、ある日のこと。その娘の父親が畑に行くと、蛇が蛙(かえる)を飲み込もうとしていた。 そこで父親は、「蛙を放してやりなさい。放したら、わしの娘をやるから。」と、蛇に言うたのや。蛇はすぐに蛙を放し、やぶの中に消えていった。

 その夜、蛇はりりしい若者に姿を変え、父親のところへやってきた。 「約束通り、娘をもらいにきたぞ。」  父親はびっくりぎょうてん。 「三日後に、来てくれ」 と、言い逃れをして蛇を帰したのや。

 三日後、娘は戸をしっかり閉めて部屋に閉じこもると、三室戸の観音さまを念じながら、一心に観音経を唱えた。 恐ろしくて気が遠くなりそうなのを必死でこらえてな。 外で娘を待っていた若者は、ついにしびれを切らし、蛇の姿にもどると、尾で戸を打ち破った。 「観音さま!」  娘が叫んだとたん、たくさんの蟹がこつぜんと現れ、はさみをふり立てて蛇に切りかかった。怒り狂う蛇を退治したのや。

 翌日、娘は三室戸寺へお礼参りに、出かけた。途中で雨が降りだし、三室戸寺についたころには、本降りになっていた。 娘が参道の橋を渡り、なにやら気配を感じて振りかえると、橋の上に蛇が横たわっていた。 蛇は悲しげな目で娘をじっと見つめると、橋の裏側にまわり、ふっと姿を消したのや。  雨が降る日には蛇の影が現れる。 いつしか人々は、この橋を蛇体橋と呼ぶようになったのや。


(引用、ここまで)



 「蛇に食べられる蛙を助けるために、自分の娘をやる」などという約束を普通するか? どんな父親なんだ? ……などと突っ込みたくなりますが(笑)、それはさておき。
 こういう何気ない小さな橋にも、そんな伝説が残されていたのですね。

 ところで、この橋には「雨が降る日には蛇の影が現れる」という話ですが、この時はその真偽を確かめることが出来ませんでした。
 実は、ここへ来る直前まで雨が降っていたのですが、ちょうどこの時やんでしまっていたのです。
 うーん、実に惜しかったですね。
 もっと早い目に、雨の降っているうちに訪れたら、大蛇の影が見られていたかもしれないと思うと。妖怪ヲタクとしても、実に惜しい。
 また蓮の花は、雨が降っている時に美しく映えるとも言われています。
 もっと早くに着いていれば、とも思うのですがもう仕方ありません。

 なお、雨の日にここを訪れて、蛇の影を見て、さらに写真を撮られたという方がもしおられましたら、こちらまでご一報くださればありがたいです。


 気を取り直して、境内へと入ります。

 入り口から入ってすぐのところに立つ「新羅大明神」と狛犬。












 さらに境内の道を進んでいきます。















 本堂前の蓮園手前。






 これは「宇賀神」の像です。





 宇賀神(うがじん)とは、一般的には宇迦之御魂神(うかのみたま)に由来するものと考えられているそうです。
 つまり、伏見稲荷など全国の稲荷社で祀られている神様なのです。
 稲荷社というと狐のイメージがありますが、狐は稲荷の神様・宇迦之御魂神の使いなのです。
 人面にとぐろを巻く蛇の体で表現されることが多いのですが、その頭も老人であったり、女性であったりとか様々だそうです。
 竜神や蛇神の化身だと考えられています。

 さて、何故こんなところに、「宇賀神」の象があるのか、という問題ですが。
 実は先述した「大蛇」と「蟹の恩返し」の伝説には後日談があります。
 大蛇の霊を供養するために娘は、宇賀神の木象を奉納しました。
 その象は非公開だそうですが、寺ではその象に似せた大きな石像を新設したそうです。
 それが、この像です。
 蛇の尾には金運、翁のひげには健康長寿の御利益があるそうです。


 本来は蓮の花を見に来ただけなのですが、その先でこんな妖怪伝説のスポットに当たるとは。
 こんなシリーズをやっているものですから、これも縁というやつでしょうか?(笑)
 あるいは、京都の古い寺社仏閣多くには、その長い歴史ゆえにこのような話しのひとつやふたつくらいあるということなのでしょうか。


 さて、記事そこそこの長さになりましたので、今回はここまで。
 この続きはまた次回。
 この三室戸寺に伝わる伝説と共に、名物の蓮園の光景をお届けまします。







*三室戸寺へのアクセス・周辺地図はこちら


*三室戸寺のHP
http://www.mimurotoji.com/




*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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